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2020/09/06

木質ペレットの生産量統計を読む

林野庁の統計発表。 「木質ペレットの生産状況」

令和元年における木質粒状燃料(木質ペレット)の生産量は前年から1.6万トン増加の14.7万トン(対前年比112.1%)となりました。一方で工場数は147工場で、前年から7工場の減少となりました。
生産された木質ペレットを用途別に見ると、燃料用としての生産がほとんどを占め、14.2万トン(構成比96.7%)となりました。
また、原料入手別に見ると丸太・林地残材からの生産が6.3万トン(構成比43.0%)、製材工場等残材からの生産が5.9万トン(構成比40.3%)、建設発生木材が2.4万トン(構成比16.4%)となりました。
丸太・林地残材から生産されたものの樹種別で見ると、スギが3.8万トン(構成比60.2%)、マツが1.9万トン(構成比29.4%)、ヒノキが0.5万トン(構成比8.1%)となりました。

この数字を見ていろいろ考えるのもよいが、問題は、用途。ほとんど燃料用とあるが、何の燃料だろうか。ペレットストーブがそんなに増えたとは思えないから、やはりバイオマス発電だろう。だが、発電用の燃焼炉はチップでもいいのじゃないか。わざわざペレットにしなくても……。ペレットにすると保管しやすいとか、何か別のメリットがあるのだろうか。そういや、バイオマス燃料として輸入されるのには、木質ペレットが多かった。

そして、本当の疑問はこちら。燃料以外の利用法は何か。3.3%を占める木質ペレットの用途は何か。単純計算では4851トンだ。燃やす以外の使い道は……ネコ砂とか(笑)。油の吸着剤なんてのもあるな。

ちなみに原料も、林地残材が4割以上と多いが、これって、わざわざペレットにするため伐採しているのか。そして粉になるまで粉砕する……。なんか「もったいない」。樹種は、マツが3割とわりと多い。そんなに建材としては出てこないマツが、こんなに多いのは支障木か。それとも、わざわざ伐採しているというのなら不思議。

地域別の生産量。

Photo_20200906121301 

生産地は北海道(約1万2000トン)が圧倒的に多い……と思っていたら、なんと岡山がその倍以上もあった。2万5766トンである。これは真庭地方のバイオマス発電のためだろうか。使い道も、工業用とか農業用がそこそこある。どんな使い方だ?
次が宮崎県で、1万9467トン。そして愛媛、高知、秋田、福島、長野、新潟……。
それぞれに、どういう背景があるのか、考えてみると面白いなあ。

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コメント

木質ペレットで岡山がトップなのは真庭のお陰ですが、バイオマス発電で木質ペレットは使っていないはずです。
ついで宮崎県や北海道や愛媛県が上位ですが、昨年との伸び率を比較してみると面白いのですがこれら3県でぐっと生産量が伸びています。
3県とも木質ペレットをガス化させるバイオマス熱電併給装置が動いたので需要量上がっているんですよね。

輸入木質ペレットが発電用なのは間違いないですが、真庭の発電施設は使っていないはずですねえ。
ようするに製造して、他地方のバイオマス発電所に供給している?
そこにコジェネ式のバイオマス発電の導入が関係している可能性はありますね。先日、愛媛の内子バイオマス発電所では熱をもう一度発電に還流させる仕組みだと聞きました。

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