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森と林業と田舎の本

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2020年10月

2020/10/31

『獣害列島』、電子版が発行される

タイトルどおりだが……なんと、もう『獣害列島』の電子本が出版された。

普通なら紙の本が出て、その売れ行きが一段落してから電子化するのだと思うのだが、この版元イースト・プレスは仕事が早い(笑)。

ほとんど紙の本と同時(同月)だからね。紙の本が手に入れづらい環境の方や、電子本の方が都合のよい方、どうぞアクセスしてみてほしい。
ちなみに価格は、新書版が946円に対して858円。多少お得です。

■配信が開始された主な電子書店
Amazon Kindle

楽天Kobo

honto

Apple Books

Google Play ブックス

紀伊國屋書店

BookLive!

ReaderStore

ebookjapan

こうして見ると、壮観だわ。まだ他にも配信予定があるらしい。

私自身は、あんまり電子本は買わない。どうも画面だと読む気にならない(^^;)。ただ、最近久しぶりに「マンガ」を読んでみようかと思い出して、ネットとスマホでゼロ円マンガを大量に読み出した。今頃のマンガの傾向はどんなもんかという興味から始めたが、分野の広がりや表現方法の変化まで隔世の感がありますなあ。片っ端から目を通してゼロ円以外は読まない。課金対象になったとたんに止める。……ま、それではナンだから、そのうち金を払ってみようかと思っている。払い方も知らないから経験してみたいんで。払いたくなるマンガがあれば、だが。

『獣害列島』はどうだろう。電子本としては、誤字などを直していることは特典だ(笑)。

2020/10/30

首里城再建。文化か森林か……とモヤる

10月31日は、首里城火災が起きた日。つまり昨年の火災からちょうど1年である。そのためか、このところ新聞やテレビなどでは首里城に関する特集記事や番組などがいくつも組まれている。

それらを見ていると、ふと心にモヤモヤした気分になった。沖縄の人々がいかに悲しんでいるか、早い復元を望んでいるか……を語るのはよいのだが、現実の再復元には途方もない壁がある。そもそも(焼け落ちた首里城の)1992年の再建からして、いかに苦労したことか。だいたい再現したい過去の首里城を見た人がいない(過去の姿とは江戸時代のことを指すうえ、沖縄戦で資料のほとんどは失われた)のだから。

ただ私の興味は、つい木材の調達になる。大径木材が大量に必要だったからだ。すでに沖縄には本来使われた樹種(イヌマキ)の大木はない。そこで前回はタイワンヒノキに目をつけたのだが、台湾でも伐りすぎによって伐採禁止。……そこで何とかできないかと模索するのだが、そこで描かれる“苦労”が、どうも引っかかる。特別に伐らせてくれないかと考えてしまうのだ……(結局、すでに伐られて材木店の在庫として眠っていたタイワンヒノキの製材を集めた)。そこでは、首里城は特別なんだから、という意識がかいま見える。

いや、これは首里城だけの話でない。21世紀は木造建築物の復元ブームのようなところがあり、各地で大径木材の奪い合いが起きているのだ。名古屋城の本丸御殿や天守閣、あるいは平城宮の大極殿、そして興福寺の中金堂……巨大木造建築物なら何でもなのだが、〇〇〇復元のために大木が必要だから、森にわずかに残されていた大木を伐らせてくれ、ご神木も伐らせてくれ、カナダやアフリカの原生林から伐り出してもいい、という発想がちらつくのだ。

これは復元を担う建築家や文化関係者の発想だろうか。文化(建築)と自然(森林)を天秤にかけて、つい文化の方が大切だと考えてしまうのは。

しかし、首里城もその他の天守閣や寺院も古代宮殿も、別にないと困る施設ではない。あえて言えば観光には役立つだろうが。もちろん復元することで多くの人々が過去の文化・歴史に触れることができ想像力が高まるとか、あるいは復元工事を通じて過去の伝統工芸の技法を追求できるとか、何とでも言えるのだが、それに比べて数百年かけて自然が育んだ大木と、それらを取り巻く森林生態系の劣化をいかに考えるか。あんまり想像力を働かせていないように感じる。

すでに令和の首里城復元計画は進んでいる。主な木材は国産ヒノキを使うのだそうだ。調達できる目途が立ったとも聞く。首里城の柱は直径60センチ級らしい。それぐらいならあるだろうな、というのが私の感想。しかし直径60センチの柱となる木材とは、おそらく樹幹としては80センチくらいは必要だろうし、そうなると150年~200年生のヒノキだろう。これ以上の太さとなると、かなり厳しいが、今ならかろうじて200年生のヒノキは残っている。
おそらく、神社の境内に生えるご神木クラスか、はたまた山主が「この森で1本だけ残しておいた」ヒノキを拝み倒して伐り、かき集めるのではなかろうか。

まったく伐るなというつもりはない。ヒノキもいつかは枯れるわけだし、その前に木材として使われるのも宿命だ。しかし象徴的に数本、というのではなく、全部の柱を無垢のヒノキで、となると無理が出る。それに今全部を根こそぎ伐って使ってしまったら、今後出てくるでなろう、ほかの文化財としての木造建築物の修復・復元に使える木がなくなることも意味する。
それは、ほかの素材も同じだ。とくに首里城は漆塗りが多いらしいが、国産漆は極めて少ない。首里城再建のためとごっそり集めたら、ほかの文化財級の漆芸で困ったことになるだろう。

しかし建築側の気持ちとしては、今自分の担当する建築物は全部無垢の木(や国産漆)を使いたいという願望が強いようだ。それが森を破壊しかねないと気づいても、目をつぶってしまうのか。また厳密な復元・再建を言えば、樹種も揃えないといけないはずだが、イヌマキでもヒノキでもタイワンヒノキでも、いやアフリカのアパやカナダのウェスタンレッドシダーでもいいというのは、いかがなものか。無垢の木にこだわりつつ、なぜ樹種はこだわらないのか。いっそ樹種を重視すれば、首里城は細いイヌマキを集めて寄木にするという手もあるのではないか?

……とまあ、そんなことをもやもやと感じたのであった。これは森林側視点の発想だろうか?

文化のためなら自然破壊も致し方なしとか、森林こそ至上のもので文化は二の次とか言うつもりはないが、もっと穏やかに対応できないか。首里城の正面の数本は無垢の大材だけど、ほかのものは集成材を使う……という折り合い方だってあるはずだ。
ちなみに現在東大寺大仏殿は、江戸時代に再建されたものだが、柱のほとんどは寄木づくりだ。それもヒノキだけでなくスギやマツも混ざっている。その時代には、大木がなくなっていたからだ。ただ虹梁だけは無垢の大木を日向から運んだ。それが今や国宝だ。

ちなみに国産材ならスギは60センチ級、いや80センチ級の材でもまだまだある。そして集成技術も防腐技術も進歩している。この際、スギを使うとか、集成材や鉄骨を使って建てて、それなりの価値を生み出す建築に挑戦する勇気はないのか?

ちなみに以前、このような記事も書いている。

首里城復元に使うべき木材はスギだ。琉球の歴史をひもとけば見えてくる木材事情

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2006年に訪ねた際の首里城。

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大仏殿。柱は様々な樹種の材を鉄鋲と銅の環で束ねた寄木である。

2020/10/29

夕刊フジに『獣害列島』書評

相変わらずクマの出没は各地で続いているようで、まさに『獣害列島』営業マンの活躍だが……。

初めての紙の書評は、夕刊フジだった。

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10月22日号(21日発行)である。有り難や。ま、コロナ禍も獣害である……というのは、明らかになる真実というより、わりと初っぱなに書いてしまっているのだけどね(^^;)。むしろ「共存の道はあるのか?」という難問の方が大変。ヒントは奈良のシカにあり?

 

2020/10/28

合板用とバイオマス用の木材価格差

ちょっと、よくわからない記事が流れていた。

長野県が、新型コロナウイルスの感染拡大で滞留する合板用の県産木材を木質バイオマス発電の燃料用材として販売する際に差額を一部補助するそうだ。コロナ禍の影響で住宅着工数が減少したため合板需要が減り、合板工場では原木の入荷を制限している。それが林業界に悪影響があるからと、バイオマス発電燃料に回すように指導している。そこで、その価格差を県が補助するというのだが……。

当たり前だが、バイオマス用は製材や合板用と比べると安い。私が以前聞いたのは、1立方メートル当たり合板用は1万円しないぐらいで、バイオマス用はFITで嵩上げすることで約7000円ぐらい……という。つまり価格差は3000円以内。(本来のバイオマス用は2000円もしないから、FITで5000円以上嵩上げしていることになる。)

ところが長野県は、合板用とバイオマス用の価格差を6000円と想定。差額の2分の1を補助する(3000円が上限)というのだ。えっ?

6000円という差額はどこから出てきたのだろうか。何か事情が変わったの? 合板用が高くなった? しかし1万3000円ともなると、製材用A材だろう。九州なら、製材用だって1万円ぐらいだという。
バイオマス用のFIT価格が下がったとも思えない。県内では3つの木質バイオマス発電所が稼働しているというが、海なし県だから輸入燃料は使いづらい。燃料用木材を取り合えば価格は上がるはずなのだが。

もともと合板用どころか製材用、そして製紙用のABC材も全部燃料にしてしまっていることが問題だったのではないか。仕分けせずに皆伐した木を全部バイオマス発電所に運んでいる話もよく聞く。

どんな計算方法を取ると、差額が6000円になるのか。誰か教えてください。すでに2020年度9月補正予算に6000万円を計上したというが、対象事業者は森林組合や木材流通業者などだろう。2分の1補助といいながら、全額補助になってない? 

なんか貰い得の補助金ではないか。いや、もらい毒かも。

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写真の丸太は何用かわかる? 3メートルあってそこそこ直材ぽく見えるけど。ふ節は多くて傷も付いている。

これは、みんなバイオマス発電所の横に積んであった燃料。見本のようなもので、実際燃やしているのは廃棄物じゃないかと疑われている発電所だけど、そこで見せている燃料は、合板用になら十分なりそうな丸太が多かった。

なぜ補助金が必要なのか。なくてもバイオマス用に回しているじゃないか。

2020/10/27

Y!ニュース「ノンヒューマン・パーソンズ~」を書いた理由

Yahoo!ニュースに「ノンヒューマン・パーソンズ~動物に“人格”が認められる時代がやってきた」を執筆しました。

これまで『獣害列島』発刊記念?として、野生動物は増えている!日本の獣害がいかにひどいか、という視点からの記事を書いてきた。それらは、「野生動物はいずれも人間に追われて絶滅寸前」とか「動物は保護するものだ」とか、単に「動物、殺すのカワイソウ」とのたまう能天気な連中をたたくためだが(笑)、だからと言って、野放図な駆除をよしとしているわけではない。

ネコやイヌは、せっせと保護活動が行われていて、たかだか年間数万匹しか駆除されていないが、イノシシとシカはどちらも毎年60万頭前後が駆除されている。クマは5000頭(昨年は5900頭)、サルでも3万頭ぐらいの駆除数になる。さらにノネズミ、ノウサギ……と数えていくと、嫌になるほどの頭数だ。

野生動物との共生とは、人が動物を可愛がることではなくて、人と動物が生死を含めて対等に向き合うことだろう。

その理論的バックボーンとして、「アニマルウェルフェア」と「ノンヒューマン・パーソンズ」を紹介しようと思ったのだ。動物の法的人格を意識しつつ人間社会に害をもたらす動物は、駆除する。その覚悟を持つべきだ。

もっとも、私自身はまだ「ノンヒューマン・パーソンズ」には違和感がある。法的人格とか、この思想自体が人間の都合的発想だ。それでも、考える一助にはなるだろう。

2020/10/26

バイオマス発電のPKS燃料に認証を求める動き

少し、お固い話題。メモ代わり。

私はバイオマス発電批判を続けているが、肝心のバイオマス燃料が移り変わりが早くて追いかけるのに苦労する。
最初は国産の未利用材と呼ぶ林地残材を燃料とするのが日本のバイオマス発電の基本だった。ところがとても足りないとわかると、今度は一般木材に入る輸入燃料、とくにPKSと呼ぶヤシ殻が増えた。そして木質ペレットになり、さらにパームオイルの廃油まで登場している。

さて、現在の主流はPKSだ。その雲行きが少し変わってきた。

経済産業省は、22年4月1日から発電事業者が使用しているPKSは、子ども労働などの人権問題や、熱帯雨林破壊などの環境問題について配慮しているか審査する第三者認証を取得していないものは、FITによる売電を認めないとする方針だからだ。もともとこれは、昨年の11月にの有識者会議が決めた方針だが、いよいよ現実味を見せ始めた。

稼働中の発電所は、22年3月末までに認証を取る必要がある。第三者認証を発行するのは「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」と「持続可能なバイオ燃料のための円卓会議(RSB)」の2つの組織だ。プランテーション経営で、

まあ、この二つがどれほど立派かどうかわからない。それでも今の野放図プランテーションよりはマシだろう。

2019年のPKSの輸入量は、11年と比べて約59倍(通関ベース)に拡大し、通関価格は1.2倍の1トンあたり1万1216円に上昇した。18年に消費された木質バイオマス発電燃料のうちPKSのシェアは約1割だったが、19年末までにPKSを含む燃料が5割に迫る。

しかし輸入しているPKSは、「認証を受けた国内事業者はゼロ」。とても22年3月までに取得できそうにない。あきれたことに、発電事業者や輸入商社は独自の団体を設立して独自の認証制度を設けた。ようするに思い切りチェックの緩い認証制度ね。
……なんか、森林認証制度に関して、日本ではFSCなどの国際組織に反発して、SGECを設立したのに似ている。SGECは何でもありの形ばかりの認証だったが、その後PEFCに加入するために、多少は厳しくなったかな。

だが、その認証を取得しても、今のところはFITで売電することは認められていない。実績がなく、認証の妥当性や透明性も怪しいからだ。PKS輸入に歯止めになる可能性がある。当然パームオイルそのものにも認証は必要となる。

従来の団体の認証を取得できなければ、別の燃料への切り替えねばならないが、木質ペレットは、とても量を確保できないだろう。国産は価格が引き合わないし、木質ペレットにも森林認証を求める可能性も出てくる。すると稼働停止しかねない。ああ、それで林野庁や資源エネルギー庁も、天然林の広葉樹の燃料化なんて言い出したのか。

政府のことだから、あっさり「日本独自の認証」を認めて骨抜きにする可能性も低くはないが、肝心のプランテーションは海外だから、あんまり思い通りにいくまい。足元見られて値上げを吹っ掛けられるだろう。
PKS輸入の雲行きが怪しいとなると、バイオマス発電そのものにブレーキがかかる。もっとも、あるいは、国内の人工林丸刈りを強化するだけかもしれない。

いずれにしろバイオマス燃料の価格は上がる。とすると燃料材の価格も押し上げるか? 今後の成り行きを静かに監視しよう。

 

2020/10/25

クマは『獣害列島』の営業マン(^o^)

このところ、クマに関する取材依頼やコメント依頼が相次いでいる。

実は、今日の昼12時からの「ABEMA的ニュースショー」にも出演しているはずだ。はずだ、というのは私は見ていないから(笑)。なんかよくわからないが、この番組、テレビ朝日がつくっているそうだが、クマの出没が相次いでいることに関するコメントをzoomで求められて、ちょっと話した。それが多分使われているはず……だ。このABEMA的ニュースショーはネットで放映していて、しばらくは見られるということなので、そのうち確認してみよう。

で、ほかにもBSテレビ東京の番組からも取材を受けた。こちらもそのうち使われるのだろうか。ほかにも雑誌などあったような気がするが、覚えていない。。。

いずれも私はクマの専門家ではないことを繰り返して説明した上でのコメントである。クマの生態とか聞かれても、私は注意深く避けて、あくまで世間一般、あるいは研究者が言っていることを伝えるというスタンス。でもって、私の見解として「クマは増えている」「人馴れしてきた」ことを伝えている、つもりである。

まあ、研究者ではなく私に取材が来るのは、Yahoo!ニュースで獣害の記事を書き、『獣害列島』を出版した効果だろう。
ともあれ、クマが人里に出没してくれると、『獣害列島』の宣伝になるという……クマは営業マンを務めてくれているのである\(^o^)/。

 

というわけで、何ヵ月ぶりかに大阪のイオンモールに出かけた。大阪はコロナウイルスが蔓延しているイメージなんで出かけないようにしているが、ついに越境!まあ自宅から20分くらいなんだけど。そして、本屋で初めて確認した。

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3冊も並んでいた。私が書店が確認したのは、これが初めてである(^o^)。

 

2020/10/24

紀伊半島の森林経営管理に適した目標林型 ?

紀伊半島3県共同研究実行委員会というのがあるそうだ。

そして、「紀伊半島の森林経営管理に適した目標林型の類型化と施業指針の作成に関する公募」というのをやるそうだ。

う~ん。なんだ、こりゃ。

ちなみに「紀伊半島3県共同研究実行委員会」とは、紀伊半島3県(三重県、奈良県、和歌山県)、近畿中国森林管理局、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所を構成員とし、紀伊半島3県の森林・林業の発展に寄与する共通課題(人材育成・担い手確保、林業省力化、森林管理等)の解決を目的に設置された機関……だそうだ。

そして効率的な森林整備を推進するため、目標林型の整理や経営管理に適した森林の判定基準・施業指針づくりに向けた調査・研究業務の公募を行うのだそうである。イマイチわからんが……。そして事務局は和歌山県が行っているそうなので、そちらのサイトに案内が掲載されている。

紀伊半島の森林経営管理に適した目標林型の類型化と施業指針の作成に関する調査・研究業務

2.委託料  上限600万円(税込)

3.委託期間 原則契約日から令和3年3月31日までとするが、実施計画の内容に応じて最大で令和5年2月28日まで、委託期間を設定することができます。

要項やスケジュールなどは、サイトを見てほしいが、600万円かあ。目標林形を決めるための調査研究?

ところで、こんな募集というか、クラウドファンディングもあった。

荒廃した奥地人工林を『低コストで管理できる森林』へ!

こちらは北海道大学が和歌山県に持つ研究林で、人工林の管理する研究をしている大学院生が、里山や奥地の人工林は天然林にもどすのがイチバンだろうと思いついて、間伐をどれぐらいしたら天然更新で広葉樹などが浸入してくるかの研究課題をぶち上げた、しかしその研究をする資金(主に作業道づくり?)が足りないので募集するというものらしい。

大学院の研究にクラウドファンディングかあ。研究林なら大学内でなんとかしてほしい気もするが。いっそ上記の公募の600万円を獲得したらいかがかな。

ともあれ、なんだか紀伊半島で似たこと言い出している。何より奈良県の立場が浮いているが、「恒続林」、つまり針広混交林づくりを指向していることは以前から幾度も紹介してきた。その研究をすべきではないか、と先日のブログで書いたばかり。まあ、研究成果を奈良県がいただければ、それに越したことはないが。

これ、偶然? みんなバラバラにやってるの?

 

2020/10/23

「大江戸商い白書」に炭屋を見る

大ヒット中の漫画・アニメ『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎は、炭焼きが職業のようである。まあ、その後鬼退治の剣士になるそうだが……実はマンガを読んでいないしアニメも見ていないので、ストーリーはよくわからん。ただこのおかげで炭焼きという職業が注目されているらしい。舞台は大正時代だが……。

さて今回読んだのが、「大江戸商い白書 山室恭子著 講談社選書メチエ

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舞台は江戸時代だが、江戸の町奉行所などの残している古文書を解析して、商店の分析を行っている。これがなかなか緻密で、よくまあ、ここまでと思うほど商店の数や内容がわかることに感嘆する。そして、それらの史料を数量分析を重ねて江戸の商売事情を浮き上がらせた労作だ。各町に何人住んでいたかまでわかるのだから、国勢調査なみ。

そして、意外な江戸の商い事情を描き出した。たとえば一つの商店が存続したのは、平均15,7年にすぎない。つまり潰れては新たに起業する、を繰り返していたのである。しかも株(商店経営の許可証みたいなもの)を孫子に相続することは珍しく、多くは譲渡。全然、2代目の若旦那、ぼんぼんなんか滅多にいなかったことになる。

そして。私が目を止めたのは、お店の業種だ。

ある年代では、41業種のうちイチバン多いのが「炭薪仲買」であった。それも全体の4分の1を占める。そして米屋が2番目でほぼ同じ。なんと約半分、つまり5割がお炭屋か米屋だったのである。

起業も炭屋か米屋がもっとも多い。どうやら新規に店を開きやすい業種だったらしい。なぜなら米も炭も、日々必要な食料と燃料であって絶対売れる。しかもかさばって重いから、遠くの店まで買いに行きにくい。各町になければ運ぶのに困る。そして商品は全部仕入れるにしても、品質はあまり問わない。どこの店で買っても同じものが手に入る……というわけだ。

ただし、同時にものすごく利益は少なくて、儲からない商売でもあった。だからすぐ潰れた。

こんな分析を見ていると、炭や薪の商売は、まったくもって厳しい。そこに納品している炭焼きの手取りはどうなるんだ、と心配になる。いや、もしかしたら、炭焼きの方が引く手あまただから儲けていたのかも? なにしろ江戸の町で燃料を自給することはできない。どんな貧乏長屋でも、自炊するにも暖を取るにも、お金を払って燃料(薪や炭)を購入していたはずだ。

大坂の場合は、薪炭は四国や九州から仕入れていた。おそらく江戸も、関東一円から東北当たりから薪炭を輸送していたのではないか。輸送には川を使ったか。となると大がかりな商いとなる。明治・大正時代になると、徐々に汽車やトラック輸送も始まっていたかもしれない。

とまあ、こんなことを考えながら、「鬼滅の刃」を読んだら面白い……わけないか(´Д`)。

 

 

 

 

 

2020/10/22

森林認証とウッドデザイン賞を取ったお菓子

日本では、森林認証がなかなか広まらない。いや面積だけはそこそこ広がってきたが……まあ、ほとんどの林業家や消費者から認識されていないのではないか。なぜって、利益に結びつかないからである。認証取ったって、木材価格が上がるわけでなし、売れる量が増えるわけでなし。

森林認証とはそんなものではなく、むしろビジネスのプラットフォームに乗るための条件であり倫理的な基準なのだ……と言いたくもなるが、日本の林業家と消費者が全然とんちゃくしないのでは話にならない。

そんなときに、森林認証を取得したお菓子があると聞いた。秩父である。

Photo_20201022164801サイトより拝借

正確には、SGEC/PEFCのCoC認証を取得したお菓子 「ちちぶまゆ」。マシュマロだそうである。

埼玉県秩父市の市有林がSGEC認証(国際的なPEFC認証と相互認証)の流通認証を取得しており、そこから採れた楓の樹液、つまりメープルシロップをつかっているからだそうである。今年6月に発売開始とか。

本来の森林認証とは、その森林の施業が環境に配慮しているかどうかを問われるわけだが、認証を取った森から採れる産物は、その流通経路を押さえればなんでも認証付き商品になる。

そういや森林認証付きシイタケというのがあった(宮崎県諸塚村)が、とうとうお菓子の世界に踏み込んだか……。

秩父では、天然林のカエデから樹液を採取して、それを煮詰めてメープルシロップを作っている。

051 シロップを採取中

秩父市および林業家は、この手の発想が豊かで、また扱いも上手い。私が秩父の樹液組合を訪れた際は、採れるカエデの樹液なんて量がしれているから、たいした実利に結びつかないのではないか、と思っていたのだが、秩父駅に降り立ってびっくりした。いきなりお土産物として秩父産メープルシロップのパンやお菓子類が並んでいたからである。ほか「カエデゼリー」とか「カエデサイダー」もあった。使用しているシロップの分量はごくわずかだろうが、とにかく使っていたら看板になる。そして結構な種類の商品が生まれていた。言い換えると「秩父産メープルシロップ」のブランディングに成功したわけだ。

そして、今度はお菓子である。秩父産メープルシロップというブランドだけでなく、そこに森林認証を被せてくるとは。

しかも、それだけに終わらず、なんとこの商品、ウッドデザイン賞を受賞したのだ。ウッドデザイン賞の基準て、なんなの?と思わないでもないが、この際、どうでもよろしい(笑)。

これこそ、日本における森林認証の上手い扱い方なのかもしれない。木材にこだわらず、森林認証はブランディングのツールとして使えるのだよ。

2020/10/21

スギの垣根

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愛媛で見かけた、スギの垣根。昔はわりと会った記憶がするのだが、最近とんと見ない。

考えてみれば、スギの木で垣根をつくるのは大変なのであるまいか。生長がみく大木になる樹種だけに、放っておくと垣根どころか丸太塀となり家を傾けかねない。高さを抑え、枝葉の剪定を繰り返しても、幹があまりに太くなったら垣根ぽくないだろう。そもそも幹に枝葉は出ない。

この家の垣根は、うまく枝葉を生やして緑の壁を作っている。葉はトゲトゲで痛いから人がかき分けて中に入るまい。垣根の役目を果たしているわけだ。ネコはどうだろうか……。

スギに垣根用の矮小品種はないのだろうか。そうしたら使い道も増える。園芸用や庭木用に出荷できるんじゃないかなあ。

2020/10/20

書評「植栽による択伐林で日本の森林改善」

このところ、私の講演では奈良県の恒続林計画を話すことが多い。別に勝手にやっているんじゃなくて主催者側から「奈良県のケースをぜひ」とか「恒続林について触れてくれ」という要望があるからである。おかけで私は奈良県の森林新条例と、そこで恒続林をめざす方針に触れながら、奈良県フォレスターの育成などについての話を各地でしている。まさに奈良県の広報マン(笑)。

ただ奈良県フォレスターはともかく、恒続林となると難しい。何もメーラーの「恒続林思想」から説き明かす必要はないにしても、林業(木材生産)と森林生態系保持をいかに両立させるかという理念だけでなく、技術的要素に触れざるを得ないからである。そして日本で恒続林をつくる技術はまだ確立されていない。せいぜい、各地の成功事例を紹介する程度だ。

そこで、この本。

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植栽による択伐林で日本の森林改善 (梶原幹弘著 築地書館)

本書には恒続林という言葉は一度も登場しないが、択伐、それも針広混交林を対象とするとしている。これは恒続林につながると言ってよいのではないか。
 
目次も紹介しておこう。

はじめに

Ⅰ 木材生産と環境保全の歴史と現状
1 天然林の利用
原生林
木材生産と環境保全への利用
2 皆伐林と択伐林の成立
日本
ヨーロッパ
3 皆伐林の増加と環境保全対策
皆伐林の増加
環境保全対策
4 森林の現状とその問題点への対策
森林の現状と問題点
現行の対策とその疑問点

Ⅱ 樹冠からみた皆伐林とヨーロッパ方式の択伐林の比較
1 基礎資料とした林分構造図について
幹曲線と樹冠曲線の推定
林分構造図の作成
2 樹冠の大きさと空間占有状態および量の差異
樹冠の大きさ
樹冠の空間占有状態および量の検討
3 木材生産機能の優劣
樹冠と幹の成長との関係
幹材の形質
幹材積生産量
4 環境保全機能の優劣
水土保全
生活環境保全
景観の維持
野生動植物の保護
地球の温暖化防止
5 森林経営上の得失
森林の健全性と持続性
施業実行の難易
木材生産の経営収支

Ⅲ 森林の改善策
1 皆伐林とヨーロッパ方式の択伐林の総括
木材生産
環境保全
森林経営
2 森林改善における基本方針と森林区分の見直し
基本方針
森林区分の見直し
3 択伐林導入の方法と効果
皆伐林
環境保全用の森林
4 経費負担と支援体制
経費負担
支援体制

おわりに

梶原氏は、以前も「究極の森林」という本で択伐を記している。それも針広混交林だ。今回は、それをより煮詰めて、理論的にした感じ。
ドイツと日本の択伐施業を紹介するとともに、生長量や木材生産能力、防災機能、生物多様性(野生動物)、景観、地球温暖化、そして林業経営までを皆伐林と択伐林を比べている。その結果は、択伐林の圧勝(^_^) 。まあ、ちょっと身贔屓すぎないかと思う点もあるのだが、長期的な視点からは択伐にした方が木材生産も増えるのだそうだ。

あえて言えば、景観で日本人は人工林の景色の方を好む点を指摘している。これは別の意味で興味深い。一般に人はイメージで「人工林より天然林」を喜ぶように思えるのだが、実際の調査では吉野や北山の林立するスギなどの景観の方を美しいと感じるという結果が出ているのだ。択伐林はより天然林に似ているのだから、好まれないことになる。
一方でスギやヒノキの天然更新が難しいことも指摘。混交林にするための間伐の仕方や植え付けの仕方まで言及する。

その点は理論的でありつつ、実際の恒続林づくりの技術につながるのではないか。

奈良県フォレスターの業務も幅広いが、とくに不成績造林地の更新の際には、混交化が大きなテーマになる。荒れたスギ林の中に、いかに広葉樹を誘導するか。そしてスギも広葉樹も元気に育てる育林を行えるか。多分、これまでにない施業を行うことは反発も強いだろうから、相当ていねいに取り組まないといけない。

奈良県フォレスターは、そうした技術を身につけなければなるまい。フォレスターアカデミーは、それらを学ぶ場になり得るか? 各地で取り組んでいる人を呼んでほしいし、彼らの技術を奈良県の各地に根付かせるための実験と工夫が必要だ。私の感覚では、おそらく弱度の抜き伐りをしつつ、森の変化をこまめに観察して次の手を繰り返す多段階間伐をしないといけないと思っている。

1本の伐る木を選ぶのに1年かけた……というドイツのフォレスターに負けない苦労がありそうだ。本書は、そうした取組の教本になるのではないか。

 

2020/10/19

尾根に並ぶ風車と発電規模

これ、和歌山県から大阪南部の上空。

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尾根筋に白く点々と立っているものが見えるだろう。これは風力発電の風車のよう。

ここまで並んでいるのは思わなかった。数えてみると、その時は48まで見つけたが、もっと周辺にありそうだ。

最近は風力発電公害を言われるようになったが、私は風力発電にそんなに忌避感はない。原子力はダメ、石炭火力もダメ、ダムを築く水力発電もダメ……と言い出すと、もはや発電方法がなくなってしまう。そして私は木質バイオマス発電の危険性を訴えている立場だ。
その中で太陽光発電や風力発電はマシな方だと思っている。ただ立てる場所と規模だろう。風力発電は、景観が悪くなるというのは主観的だが、低周波音を出すとか、鳥類の衝突事故が多いことが問題となっている。また台風などの強風で壊れるケースもある。ただ人が滅多に近づけない尾根筋なら低周波などはさほど心配なくなるのではないか。

管首相……(カン直人である、現在のスガ義偉首相ではない)は、尾根筋に林道を伸ばして、そこに風力発電を築くことで林業と電力の複式経営を提案していた。私はなかなか面白いアイデアと感じた。森林経営を多角化することになる。尾根筋の林道で集材等施業をしつつ、風車の保守点検もできる。また電力収入で森林整備を支えられる。そりゃ、いくつか難関はあるだろうが、政治力と技術力があれば解決するだろう。

ただ、上記の写真ほど規模が大きくなるとなあ……。愛媛に行った際に、見たかったものの行けなかったものの一つに内子バイオマス発電所があるが、ここは熱を回収して発電に回す方式で、効率を30%台まで高めているそうだ。しかも、当初は5000キロワット級の規模を予定していたが、地元からそれだけの燃料材を集められないと注文が入って、持続的に経営するために半分以下の2000キロワット級に下げたという。収支は悪くなっただろうが、地元の意見を聞いて小規模にするという点では、模範的な木質バイオマス発電所だろう。

何事も、持続的な規模というものがあるのだよ。山の上の多数の風車に何か不都合があるとは聞かないが、慎重にね。

2020/10/18

盗伐メカニズムの研究発表

今頃、ここで紹介しても遅いんだろうけど……。

森林総研の東北支所で「もりゼミ」という名の研究発表が行われているが、19日、つまり明日の昼間に開かれる。

テーマは二つあるが、私が興味を持ったのは、

「宮崎県における盗伐の問題:なぜ盗伐が起こったのか?」(御田 成顕)

近年、宮崎県で盗伐や誤伐といった無断伐採が問題となっており、その対策の構築が求められています。
しかし、盗伐の全体像や盗伐が発生するメカニズムは分かっておらず、研究の蓄積も十分ではありません。
かつて盗伐は、森林資源に生活を依存する山村住民と山林所有者との権利争いとしてみなされていましたが、高度経済成長やエネルギー革命による森林資源利用の減少に伴い、盗伐の研究はながらく途絶えていました。
そこで、盗伐事件の裁判記録や関係者への聞き取り調査を通じ、盗伐が発生するメカニズムを検討しました。
今回、かつての盗伐と現在生じている盗伐との違い、盗伐がどのように行われたのか、そして盗伐が発生するメカニズムを紹介し、山村や林業が抱える問題の整理や盗伐をどうやって防ぐかを議論したい。

私も追いかけた宮崎県の盗伐問題だけに興味ある。ただ御田氏の研究は、その際に取材したから、だいたいの内容は知っているが……。

しかし、これはあくまで東北支所で開かれるのだし、ネット中継されるわけでないし、そもそも定員が20名だし(^^;)、参加できる人は限られているわな。


私も先日会った宮崎県の林業関係者から多少話を聞いたが、ようやく警察も動き出したよう。でも、そのためにまずは「盗伐って何?」という勉強会を警察関係者向きに開かないといけないらしい。
盗伐にあった木を証明するには切り株がないといけないとしているが、林地を引っかき回して切り株もつぶしている現場では、それでは立件できない。現に、数ヘクタールも盗伐されたのに、立件したのは20本だけ……というケースもある(というか、それが普通)。

しかも裁判では裁判官が「なぜ自分が所有する山林の境界線がわからないのか」「生えている木の本数を知らないのか」というレベルの質問を被害者にするそうで、山林事情をまったく把握していないまま判決が出されているようだ。

私は、今後も宮崎の盗伐の実情を声を大きく広めていこうと思う。なんか、宮崎県人と話していると、意識的?無意識的?に問題を矮小化しようとしてるように感じる。自分の地元では起きてないとか、盗伐といわずに誤伐という言葉にすり替えるし。同時に宮崎県の対応批判をするからね(-.-)。何より宮崎県が本気で動かないことには止まらないだろうから。

2020/10/17

餌が足りないのに森のシカが生息できる理由

森林総研のHPを見ていたら、こんな研究発表が目に止まった。

森のシカは、夏は落ち葉を、冬は嫌いな植物を食べて生きぬく シカ糞の遺伝情報から、シカの食べる植物の季節変化を解明

一瞬、「夏に落ち葉を食うのか?」と驚いた。シカの落ち葉食いは冬だと思っていたから。概要には、このように説明している。

ニホンジカが全国的に増加するに伴って森林の植生が破壊され、生物多様性の衰退、土壌侵食など様々な影響が報告されています。シカの増加した森林では、林床に生える、シカの好む植物は食べられてほとんど無くなっていますが、シカは、そうなっても森林内で生息することが可能となっています。このようにシカの餌資源が乏しいにも関わらず、なぜシカがこうした森林内で生息できるのかは長らく謎に包まれていました。本研究ではシカ糞を季節別に集めて、それらに含まれる植物のDNAを調べ、シカが食べている植物の種類を明らかにしました。その結果、シカは冬から春にかけて、シカが好まない常緑樹 (スギなど) や草本植物を食べる割合が増加している一方で、夏から秋には、シカが好む落葉広葉樹 (落枝落葉など) を食べていることが分かりました。このように季節によって食物構成を変化させることで、一見して餌がほとんどない森林でもシカが生き延びていることが分かりました。

通常の生態学では、シカが増えすぎたら餌が足りなくなり、結局自滅して生息数は減る(だからオオカミを放してシカを適度に減らしたらシカも適正数に落ち着く、という発想が生まれるのだろう)、と考えられる。ところが、現実には全然減らないのだ。シカは生息数を減らさず森に生息し続けている。その謎解きを「夏秋は落葉広葉樹の落ち葉を食っている」からというのは、夏の落ち葉というより秋の落葉ではないか。夏は落ち葉というより、何らかの形でちぎれた葉や折れた枝だろうか。ついでに言えば、冬はスギなど針葉樹の葉や樹皮を食べるから獣害が発生する?

正直、この研究内容にそんなに新味は感じない。だって奈良のシカを見ていると、よく見かける風景だから。夏でも風で落ちた葉を拾い食いしているのは普通だし、冬だけでなく、春夏秋でも、本来は食わないと思っていたアセビやシダを食っている。ナラシカは、シカの食性という点では全国に先駆けているかも。

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春の若草山で、シダをボリボリ食っているシカ。シダは食べないなんて嘘だ。そもそもアセビやシダを本当に嫌っているのか?ようするに何でも食べるのよ。鹿せんべいはデンプンだし、多分、昆虫など動物性タンパク質も取っているんじゃないか。

奈良のシカは、個体サイズを抑えて、みんな小型化が進んでいる。餌が足りなくても、数は減らさず身体を小さくして必要な餌の量を少なくすることで生き延びているように感じる。果たして全国の森のシカはどうだろう。小型化も進んでいるかもしれない。

 

ちなみに研究は、兵庫県立大学自然・環境科学研究所、兵庫県立人と自然の博物館、国立環境研究所、森林総合研究所、京都大学の共同で行われたらしい。

 

2020/10/16

ユーカリ人気?

昨日は、経営難のANAにしっかり寄付して帰ってきた。

席は、ほぼ最後列。伊丹空港に着いて降りる前に、貨物が運び出されるのが見える位置であった。

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ん? 運び出されるベルトコンベアに流れる箱には、「ユーカリ」の文字が。それも、次々に出てくるから、結構大量。

ユーカリって、あの樹木のユーカリ? なんで、こんなに大量に空輸するのだ。まさかコアラの餌ではないな。関西に幾つかコアラのいる動物園があったが……。

それにしてはパッキングもていねい。もしかして飾り物か。

そう思って、降りるまでに時間がかかるのでスマホで検索(^_^) 。

すると、意外やユーカリは花木としても、庭木としても、なかなかの人気であることがわかった。しかも産地は愛媛の松山市なのだ。空輸するほど高く売れているのか。とくにJA松山市は、ユーカリ出荷で急成長中らしい。こちらは枝をフラワーアレンジメントに使うよう。グニユーカリと呼ぶ品種は、小さな灰白色の葉をつけて美しいとか。切り枝を出荷するのなら、効率もよい。

ほかにも飾りつけや、庭木の苗としての需要もあるらしい。しかしユーカリといえば高さ30メートルくらいまで成長する品種もある。しかも成長が早い。今や縮小続く園芸花木の業界の中では救世主的存在らしい。

一昔前に、ユーカリを「悪魔の樹」と呼んで排斥する運動があったことをご存じだろうか。東南アジアの熱帯雨林伐採現場に早く緑化するためユーカリが選ばれて植えられたのだが、それを嫌って言われた言葉だ。

水や養分を吸い尽くして土壌を破壊するとか、アレロパシーが強くて虫も寄せつけないとか。「ユーカリ林は死んだ森」とか、酷い言われ方をしたものだ。まあ、とんだ濡れ衣を着せられたものだが、そんなデタラメを日本の自然保護団体が信じて反対運動をするという……運動の前に勉強しなさい、と言いたくなったのだが。

それが今や、日本の緑化や生け花にまで使われているとは。そして美しいと感じられているとは。そういや、ユーカリ油もアロマに使われている。

いっそ日本でユーカリ植林してユーカリ林業なんてのは展開したらどうだろう。木材も採れるが、園芸向きかな。萌芽更新するし、早生樹だよ? 今の早生樹ブームには登場しないのが不思議なくらい。

2020/10/15

ジュンク堂書店難波店にて

帰ってきました、愛媛から。

松山空港から帰り着くまでにはトラブルがいくつもあったのだが、その内容は私のプライドにかけてさておき((・_・?)、結構ヘトヘト。背中から肩にかけて固まってしまい、途中マッサージを受けるほどであった。

が、それでも少し覗いたのがジュンク堂書店難波店。大阪にほとんど出ないから、大阪の書店をチェックするのは今日ぐらいしかないのだ。

で、発見しました。

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ようやく自分の目で発売されていることを確認したのであった\(^o^)/。

ちなみに愛媛では『絶望の林業』と『獣害列島』を販売してきたよ。

今日はこれまで……。

 

 

2020/10/14

小さなギャラリー

愛媛の西の方の小さな町に来ているのだが、古ぼけたホテルに泊まっている。

朝からの講演会も終わり、結構ヘトヘトなのだが……ホテルの周りで見かけたのが、「小さなギャラリー」。

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ガレージを改造したらしい。

看板に引かれて中を覗くと、

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絵画がどっさり展示されていた(笑)。

うーん、一人の手によるものかどうか。テーマも雑多だが、いかにも野の画家によるもの。

実はこの地に来てまだ山も海も見ていない。どちらかというと人に会ってばかりだ。この地の林業がどこに向かうかとは関係なく、こんなギャラリーにホッとしたのである。

2020/10/13

獣害列島の町!

今朝、愛媛県に出発。久しぶりのスーツ姿で家を出たのだが……。

我が町の一角で目にしたのは、これ。

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すさまじく耕され?ている。もちろん、イノシシの仕業だ。

そこにいた人の話によると、もともとイノシシに耕されないように伐採した木の幹や粗朶を積んでおいたそうだ。それをひっくり返しての耕作だったのである。もちろん、イノシシの。

何考えてるんだろうねえ。最近は昼間でも姿を見かけるとか。

うーん、俺、『獣害列島』を書いたばかりなだけどな。まだまだ現場を知る必要あるな。

 

2020/10/12

森林ビジネスイノベーション研究会の報告書

日本政策投資銀行の「森林ビジネスイノベーション研究会」の報告書が出された。

なかなか分厚い。121ページにわたる。ただネットで読めるから、紹介しておく。

テーマは、やはり日本林業の再生で、ありきたりというか、これまで幾度も繰り返し議論されてきたものだが、この報告書はなかなか読ませた。と言っても、全部を熟読したわけではないが……。

最初の日本林業の分析は、網羅的であるが、結構ツボを押さえている。少なくても「森林・林業白書」のように、何か意図的に誘導しつつ情報を隠している風がなくて(笑)、現時点のよい点、悪い点を列挙している。

そして結論としては、「高収益化および森林資源利用の多角化」、「投資型企業経営の実践」という2つの方向性を示している。こじつけるわけではないが、拙著『絶望の林業』の中の「希望の林業」で示して方向性と同じように思う。まあ、そのためのサプライチェーンやバリューチェーンの確立が難しいのだが。

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そして、森林林業に投資を呼び込むファンドを成立させるための課題を分析・考察している。

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森林投資がさかんなアメリカとも比較している。ああ、これも「希望の林業」で触れたところだ(⌒ー⌒)。

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そして、こんな投資と展開を掲げている。

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これまで数ある「林業再生のシナリオ」提言の中では、なかなか納得できるものであった。私の見解と違うところ……というか、私もそんなにていねいに読んでいないのでエラそうに語れる資格はないのだが、CLTに示す期待の浅はかさとか、森林生態系に関する言及の少なさなど、現場の肌感覚と合わないところもある。それでも、痛いところはちゃんと指摘している。

白書を読むより、勉強になると思うよ。

 

ところで、私は明日より愛媛県の某所に出かけて「希望の林業」を語ってくる予定だ。予定だが……さて、どうなるかな?

 

 

 

2020/10/11

Y!ニュースと東洋経済とデイリ-新潮……に記事を書いた裏事情

今日は、大変だ。

まずYahoo!ニュースに「農水省の勘違い。ジビエ利用を増やしても獣害は減らない!」を執筆した。

ところがそれをアップしたところ、東洋経済オンラインに「田舎暮らしを夢みる人が知らない獣害のヤバさ」が掲載された。

そして、これは昨日だったか、デイリー新潮に「これから「人食いクマ」が増える 「シカ」とのヤバい関係にも問題あり」がアップされていた。

もちろん、いずれも獣害に関する記事であり、『獣害列島』の出版に関連したもの。ただ、こんなふうに重なって掲載されるつもりはなかった。もっと出版前後に、間隔をあけて(ソーシャルディスタンスね)パラパラと獣害の話題を振りまく計画だったのだが……。

まずYahoo!ニュースの記事は、10月初めに書きたかったのに、ずるずると延びてしまったもの。月末にジビエになった頭数や肉の量が農水省からわかったので、書くつもりが意外と手間取り、今朝になってしまった。これは私の責任ね。

そして東洋経済オンラインの記事は、これは版元から書籍の一部を転載しますよ、と言われていたのだが、いつ掲載になるかはっきり確かめなかったので失念していた。ちなみにこれは幾度かの連載になる予定。

デイリー新潮は、9月末に東京に行った際に取材を受けたのだが、これは『獣害列島』の著者インタビューかと思っていたら、そうてはなくて獣害問題の記事を書くのでコメントくれ、ということだった。内容はクマに絞るとのこと。おれ、こんなコメントしたかなあ……と思うところは幾カ所もあるのだが、まあいいか。

ま、それが同時期に発表になったのも何かと縁? もしかして3密?内容に感染してくれたら、いいのに(笑)。

食傷ぎみになるか、勢いついてロケット発射になるか……は、読者に決めていただこう。

あ、私が読者だったら、食傷ぎみになるだろうなあ(^_^) 。

 

2020/10/10

『獣害列島』発売日

10月10日、『獣害列島』の発売日ということで、買い物を兼ねて奈良のジュンク堂書店に行く。

……ない。ないです(泣)。

だいたい想定しておりました(-_-;)。だって、東京から奈良まで遠いからねえ。途中に箱根の山を越えて関所を通過しないといけないし、関ヶ原は霧が深いし、伊勢湾渡ろうとしたら九鬼水軍が見張っているし、伊賀甲賀を抜ける際には忍者の襲撃を覚悟しないといけない…… (@_@)。

まあ、数日中に到着できるでしょう。

しかし、東京の三省堂成城店で陳列している写真を送ってきてくださった人がいる。

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ありがたや、ありがたや。

さらに三省堂尾張一宮店。あ、ということは終わりまではたどり着いているのだな。頑張れ、もうすぐ木曽川だ。そして長良川。渡れば大垣だぞ。

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そしてAmazonでは、発売前からベストセラー認定 (@_@)。なおAmazonで注文したよ、という声も届いている。

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不思議なことに隣の『森と日本人の1500年』(平凡社新書)も一緒にベストセラーということになっていた。お隣さん効果というのもあるのだろうか。何年も前の出版なのに……まあどちらも、それぞれのレーベル内、つまりイースト新書1位、平凡社新書1位ということらしい。また『獣害列島』は、環境分野でも1位(10日)になっている。思うに、この時期、環境本がほかに出版されていないからではないか。

ともあれ、幸先のよいスタートを切ったようである。

 

 

2020/10/09

板垣退助の洋行費と、土倉庄三郎

先日の「英雄たちの選択」(NHKBSプレミアム)では、板垣退助と自由民権運動を取り上げていた。

私的には自由民権運動から秩父事件までの流れは、わりと興味のある部分なのだが、問題はなぜ自由党が瓦解し運動も挫折したのか、という点だ。番組では、板垣退助がヨーロッパ視察、いわゆる洋行に出てしまったことを指摘している。この洋行は、政府側が仕掛けて、費用も政府が出していたと言われ、「明治最大の疑獄」扱いとなり、それによって民心が離れるとともに一部が過激化したとされる。

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なぜ板垣は政府の金と知りながら受け取ったのか……と番組では展開する。MCの磯田道史は、「板垣は、自分はまだ政府の一員という意識が抜けられなかったのだろう」と言う。それは違う。

なぜなら洋行費は、土倉庄三郎が出したからだ。政府の金ではなかった。

そもそも運動に飽きた後藤象二郎が、政府にこの陰謀(板垣を洋行に行かせて、運動をつぶす)を働きかけるのだが、そこで政府は三井銀行に2万円出させている。それを蜂須賀子爵を経由して後藤が受け取った。しかし、板垣のところにその金は渡っていないのである。おそらく後藤が着服したとされる。

また板垣も、政敵から金を受け取るわけにはいかないことぐらいわかっている。そこで土倉翁に出資を求めた。

その証拠の5000円と3000円の領収書が見つかっている。残りの1万2000円の領収書は行方不明なのだが、もしかしたら証書なしで寄付したのかもしれない。

面白いのは、庄三郎自身の手による寄付の記録だ。私の発掘( ̄^ ̄)。

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赤字のところに、板垣伯洋行費用として1万円と記されている。あれ、2万円じゃなくて1万円だったの?
しかし、土倉家内では2万円渡したと伝わっている。次男龍治郎の嫁リエが直接聞き正した記録があるのだ。

……ここの詳しいところは謎だ。ただ、上記の寄付目録は、板垣洋行費の出所を語る際に欠かせない発見で論文にしたっておかしくないのだが、いまだに学者の誰も借りたいと言ってこない(笑)。

先の「吉野山の桜」といい、今年は何かと土倉庄三郎の逸話の裏側が浮かび上がりつつあるのだが……庄三郎生誕180年である2020年も暮れていく。

 

 

2020/10/08

森の幼稚園?森のようちえん?

先日の日曜日、生駒山の大阪側の「むろいけ園地」に出かけた。大阪府立公園の一つで森林公園である。

私はここにある湿原を定点観察の場としているので、ちょくちょく行く。通常は平日だが、今回は思い立ったのが日曜日だった。
いつもはのんびり一人もの思いにふけるのによい場所なのだが、その日はやたら人、それも親子連れが多い。湿原の木道を走り回るなよ……。

最近は湿原が草むらになっている。干上がったわけではないのだが、水かさが増していないのか、草が盛り上がるように繁っている。ツリフネソウとミゾソバの群落ができている。これで湿原としての将来はどうなるのかなあ。

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なんだか人影が多いと落ち着かない。それで早めに退散しようとしたが、「森の工作館」のところに案内板が出ていた。

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なんと、「森の学校」と「森の幼稚園」と「お母さんの自然学校」が開かれているらしい。それで賑やかだったのか?

まあ、それはいいのだが……「森の幼稚園」という名称もわりとポピュラーになったな、という感慨。

もともと「森の幼稚園」とはデンマークで始まりドイツや北欧に広がった野外教育だが、基本は教育機関だ。一般の幼稚園と同じく平日の昼間開かれるものである。ただ、日本の場合は保育園もあるし、無認可の様々な幼児教育・育児サークルもあるし、野外施設の環境教育プログラム、さらに森とは限らず田園や海など野外を使うものもある……ということで広がっている。だから全国ネットワークを作る際は「森のようちえん」と平仮名にしたようだ。

この「むろいけ園地」の場合は、月1回のイベント的な学習会らしい。でも「幼稚園」と漢字(^^;)。しかも保護者も参加するのか。お母さん(お父さんはどうなるんだ!)は別の場所で、改めて勉強?するみたい。森林公園の定期プログラムなのだろう。

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それが「森のようちえん」の理念に反しているとか間違っているとか流派争いをする気は毛頭ないのだが、なんだか定義が広がりすぎたなあ、と思った次第。今は試行錯誤しつつ、いつか収束するのだろうか。それとも、より拡散するのかも。

どちらにしても、指導者・講師の質が問われるね。単に自然と触れさせるだけのものから、自然の見方や環境の概念を身につけさせたり、遊びも児童自ら考えさせる理念のものまで。

その点、林業学校と同じ。

 

2020/10/07

ソロモンとナウル

最近、ツイッターで私がフォローしたのは、ソロモン諸島政府観光局(公式)。フォローしたら写真をフリー素材として提供するとあって、つい(笑)。

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さらにナウル共和国政府観光局(公式)。こちらは、ナウル関係アカウントの数で一番になりたい(だからフォローしたら写真くれる)という言葉に釣られて(^_^) 。ちなみにあっと言う間に1万ほどフォローが増えて、本国政府のアカウントを抜き、ナウル国民1万3000人をも抜きそうになっている。

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どちらも中の人は日本人だと思うが、名誉領事館も兼ねているのかな。

ちなみに私は、どちらの国にも縁がある、というか行ったことがある。

ソロモンに関しては言うまでもない、本まで書いている。またホームページにもソロモンのページをつくっている。

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ほぼ40年前に最初に訪ね、再訪は30年くらい前かな。

で、初回はナウル経由でソロモンに行ったのだ。南太平洋の孤島であるが、全島が燐鉱石なので、それを採掘して莫大な利益を出していた。一時期、世界一お金持ちの国だったと思う。日本への路線も鹿児島空港から飛んでいた。
が、燐鉱石を掘り尽くして、国家破綻状態に……。飛行場の草刈りをしないので、飛行機の離発着ができなくなったこともあった。つまり交通途絶。でも最近は地道に復活しているらしく、燐鉱石も、地下に残った分を少しずつ掘っているらしい。でも、あんまり掘ったら島が、というより国土そのものがなくなっちゃうよ。

このナウルを訪ねた際の顛末は、私はどこにも書いていないなあ。

私の行ったナウルは、お金持ち時代(^^;)。私が貧乏旅行なのに、島民の豊かなことよ。一周10キロもなかったと思うが、公共交通機関はないので、ヒッチハイクしてナウル人の車に乗せてもらって島を案内してもらった。
また燐鉱石採掘現場を訪ねて、そこでみんなと一緒に巨大な0コンビーフ飯を食ったのはいい思い出だ。ちなみに働いているのはキリバス人(近隣の別の島。キリバス共和国)。ナウル人は働かないからねえ。今は、どうしているだろうか。

なお、ソロモン諸島は、これまでコロナ感染者が一人もいなかったが、とうとう一人出たとか。。。こうしたフォローによって、途切れていた最近の情報が入ってくるのでワクワクする。

 

このところ、大学生時代から20代の若い頃の旅を振り返る機会が幾度かあった。まあ、それだけ年をとった証拠なんだが……またあんな旅をしたいねえ。

2020/10/06

まだできる?林業学校……

先に奈良にできる「フォレスターアカデミー」を最後発の林業学校、と紹介した。実際、もう全国にできすぎだと思っているのだが。

なんと、再来年に林業専門学科を新設する計画のある自治体が見つかった。これで奈良県は最後発だと自慢?できなくなる。

山梨県である。正確に言うと、「山梨県立農業大学校に林業専門学科を創設する」という方向のようだ。新たな学校ではないが、農林学校となって林業の専門的な実践教育を行うらしい。ちなみに2年制だそうである。

まあ、内容的には現場の作業員養成だ。つまり即戦力になる人材……という名の林業の労働者を育成しようというわけだ。全国の林業学校であまたある?方針である。ただ関東地方には、まだあまりないかな。群馬には農林大学校、長野県も老舗の林業大学校はあるが。あと栃木県には民間のフォレストビジネスカレッジ(だったっけ)がある。こちらは製材企業の設立。

しかし、林業に本当にそんなに人材が必要なのか。そして応募する学生がいるのか。

山梨県で面白いのは、9月補正予算案に森林環境譲与税の配分額を財源に学生募集のためのPR動画作製費や施設改修のための設計費など900万円を計上した点。そうか、まずはPRか。そういや、奈良県は PRをあんまりしなかった。つくったら学生黙っていても応募してくるでしょ、的な発想だったので、私が焦ったくらいだ。結局、口コミとかネットに頼ったよね、私のブログも含めて……。

一つ、気になるのは学校をつくれば必ず金がいる、それも持ち出しである点。設立後の維持費も馬鹿にならない。林業従事者が増えて林業が活発になって、それで税収が増える可能性はあんまりない。その点、各自治体は財政的にどう考えているんだろうね。

奈良県は、市町村に下りた森林環境譲与税を吸い上げるという裏技を使うようだけど……(笑)。

ともあれ、せっかくつくるんなら旧態依然の林業から脱するような教育をしてほしい。

2020/10/05

明日香村のヒガンバナ

明日香村では、例年秋に彼岸花祭りと案山子コンテストをやっている。だが、今年はコロナ禍で中止。

とはいえ、ヒガンバナは咲いているだろう。そう思って吉野の帰りに覗きに行く。

すると……なかなかの人手ではないか。祭りがなくても景観を見ようと来るのは、私と同じ発想か(^_^) 。

そして、案山子もそこそこあった。コンテストはなくても、自主的につくる人がいるのだろうか。多少は盛り上がりにかけても、そこそこの数がある。

Dsc05998 今年のメインの巨大案山子は志村けん

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テーマは、やはりコロナが多い。「オンライン帰省」というのもある。

そして、気合の入った作品は、この「免疫戦隊アマビナース」だろう。アマビエを従えてビナース、いやナースは行く! 介護施設の人たちがつくったらしい。

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さて、案山子ばかりではない。ヒガンバナも、ちょっと時期を外したが、まだまだ咲いている。棚田の畦道に赤く咲いて、縁取をしているみたいだ。が、驚いたのは、黄色に白のヒガンバナも多かったこと。

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ちなみに黄色いヒガンバナは、ショウキズイセン(鍾馗水仙)と呼ばれる。鍾馗とは、疫鬼を祓い病を祓い除く神であるから、コロナ禍の今には向いているかも。また白いヒガンバナは、赤と黄色の交雑種だという。遺伝子の色変化の一つである。

それと、こんな風景も見られた。

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案山子だけではなく、背景の棚田と道路を見てほしい。とくに道路は見学者が無断駐車しては困るので、両側に赤いカラーコーンを並べている。これが、まるで道路際のヒガンバナ……。これが隠れた明日香村のヒガンバナである。

2020/10/04

奈良県フォレスターアカデミーの概要公表

ちょくちょく紹介してきた奈良県が新たに開校する林業の学校、奈良県フォレスターアカデミー

その学校概要と、学生の募集要項が発表された。

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我と思わん方は応募していただきたい。前回の奈良県職の募集とは別に、学生としてチャンスがある。

おそらく全国の林業系大学校の設立の最後発だ。今後、新たに開校するところがあるのかどうか。そこが奈良らしい。あえて、先頭に立たない県民性かも(笑)。単に腰が重いのか、あるいは先発組をじ~と眺めて、善し悪しを見極めて活かす……のだったら、これも生存戦略の一つ。

簡単に紹介すると、フォレスター学科森林作業員学科がある。後者はまさに林業の現場で働く人の養成であるから説明はいらないだろう。ほかの学校と同じだ。奈良でも、やはり今は現場から「フォレスターより作業員」の声が強い。
そして前者こそがフォレスター養成コースで目玉だ。全国に林業大学校は20以上あるが、マネージャー的な人材の養成コースはほぼないし、しかも県職ほかの職場まで用意している自治体は例がない。

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個人的には、カリキュラムの⑬~⑮の「広報」と「コミュニケーション」「リーダーシップ」の3つが、フォレスターに重要となってくる能力と思っている。ただもう一つ、奈良県の新たな森林環境管理制度として掲げている「恒続林」づくり。これを身につけられてもらわないと。理念を推進する覚悟はもちろんだが、肝心の森づくり技術はまだ未知の領域。実践者は各地にいるが、いかに奈良の土地で実現するのか。。。そこにコミュニケーション能力もリーダーシップも絡んでくるだろう。

林業界でも目先の需要を追うのではなく、理想を掲げ理想を追う人材に期待する。期待するが……不安もチラホラ(^^;)。人材って、やはり人そのものなんだよ。

 

実は、私も「恒続林」に関しては、奈良県だけでなく各地で紹介・推進している。このアカデミーが、人材の拠点となってほしい。

以前も触れたが、条例とか制度、学校などは器にすぎない。「新しき器」はつくったけれど、中に「新しき酒」は詰められる、いや新しき酒を醸せるだろうか。

ちょうどフェイスブックに上げられた「とくしま林業アカデミー」の写真に、講師は地下足袋履いているわ、チェンソーで木を伐っている学生はイヤマフもバイザーも身につけているのに使っていないわ、なので顰蹙買っている。新しき学校という器までガッカリだろう。せっかく国がつくった伐木の安全ガイドラインを教育機関が守っていないのでは、どんな人材を養成する気なのかわからない。古い人材の再生産になりかねない。講師の質以前に、学校の理念はどうなっている。

私は「新しき酒」になりたい人に期待する。

2020/10/03

土倉庄三郎の「吉野の桜」

吉野の金峰山寺に行ってきた。東大寺の大仏殿に次ぐ大きさの木造建築とされる蔵王堂で有名だ。

かつて金峰山寺と言えば、吉野山全域から大峰山まで広大な面積を寺領として抱えていた。今は、蔵王堂周辺と、大峰山の山頂を含む一部になってしまったが……。ただ、広い境内の各所に桜は植えられていたようである。
さて、そこで聞いた話。

Dsc05922 山伏もマスク姿。

明治初年時、廃仏毀釈で廃寺となった際に、桜を伐って売り払う計画があった。それを押しとどめたのが土倉庄三郎。大阪の商人に売った500円に加えて500円を渡して、これで桜を守れ、受け取った代金は返せ……と言った逸話が伝わる。だから、吉野の桜は実は土倉家のモンだと言うのだが……。

本日、聞いたのはちょっと違っていた。

たしかに庄三郎から500円を受け取ったのだが、すでに村人は桜を伐ってしまっていたというのだ。今で言う中千本、上千本の桜は伐ってしまい、下千本(千本と書いてちもと、と読むらしい)だけしか残っていなかったと。。。。

おい、それじゃ騙したことになる(笑)。先に受け取った500円を大阪の木材商に返したのかどうか怪しい。もっとも、庄三郎はしょっちゅう吉野山に通っていたらしいから、そんなことは百も承知なのかもしれない。今となっては笑い話である。

なお日露戦争後に、今の中千本(中腹)に傷痍軍人らによって植えられ、さらに昭和になって上千本(尾根)にも植えられたというから、意外と現在見ている桜の歴史は浅い。下千本はともかく、吉野全山が桜に埋もれている……という形容が成り立つのは戦後なのかもしれない。ちなみに戦後は奥千本が植えられている。

Dsc05947

蔵王堂。やはり大きい。それにゴツゴツしていて、木材の地を感じる。建設年代は、現在の大仏殿(江戸時代)より前。おそらく豊臣秀吉の寄進らしい。

 

2020/10/02

「GBO5」って、知ってる?

このところ、SDGsが目につきだした。

「エスディージーズ」と読むようだが、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称だ。2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標……とされている。

なんか発音からして悩むし、こんな難しい概念は広がるのだろうか……と思っていたが、なんだかんだと宣伝されているうちに、徐々にではあるが認知度が上がってきたようだ。これ付けないと、企業活動もしにくくなってきたみたい。

 では、「GBO5」をご存じだろうか。

実は、こちらの方こそ日本には身近である、というか身近であるべきだった。なぜなら2010年に名古屋で開かれた生物多様性条約締結国会議、いわゆるCOP10、そこで定めた愛知目標に基づくものだからだ。生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標の達成状況について分析した報告書こそが、地球規模生物多様性概況第5版』(GBO5なのだ。それが9月15日に発表されている。

愛知目標には全部で20の目標があり、それらの中に含まれる複数の項目を合わせると60項目になる。詳しくは、こんなサイトで確かめてほしい。

環境省・愛知目標 一部を紹介すると、こんな項目がならぶ。

Photo_20201002164301

だが、GBO5 に示された日本の成果は惨憺たるもの。

この60項目のうち、10年間で達成できたのは7つにすぎない。そして20の目標のうち、構成要素をすべて達成できた目標はゼロだ。

生物多様性さえこんな状態だとすると、SDGsの達成レベルも極めて怪しい。目標に近づく道筋さえつくっていないのではないか。現在の状況をできる範囲から改善しても、どんどん低レベルになっていくよなあ。


名古屋では、2050年に向けての中長期目標として「自然と共生する世界」というビジョンも採択している。

一時はSATOYAMAイニシアティブだとか、自然と共生していた日本人の生き方をモデルにする……とか高らかに謳い上げていたのに、すっかり忘れられた存在になってしまった。GBO5が話題にならないことが象徴的かもしれない。

2020/10/01

発表!昨年の木材需要と木材自給率

2019年の木材需給と自給率が発表されている。

木材の総需要量は、8190万5000立方メートル。前年と比べて57万3000立方メートル(0.7%)減少したという。内容的には、用材が191万5000立方メートル(2.6%)、シイタケ原木2万3000立方メートル(8.4%)減少している。代わりにと言ってはナンだが、燃料材(おそらくほとんどがバイオマス発電燃料)が136万6000立方メートル(15.1%)増加した。差し引きしても減少局面だ。
ちなみに燃料材需要は1038万6000立方メートル。とうとう大台に乗った記念すべき?年になる。

国内生産量は、3098万8000立方メートルと前年より78万7000立方メートル(2.6%)増加した。用材が12万5000立方メートル(0.5%)、燃料材が68万4000立方メートル(10.9%)増加した。需要も、生産量も、ほとんどをバイオマス発電燃料に負っているわけだ。

木材需要は減ったのに国内生産量が増えたのだから、相対的に国産材のシェアが高まる。おかげで木材自給率は、前年より1.2ポイント増の37.8%。9年連続で上昇した。

なんとなく発表するときは、「木材自給率が9年連続伸びているぞー」と自慢したくなる(^^;)。もうすく4割だ、目標の5割までガンバローと気合を入れる……。が、中身を見たら暗澹たるものだね。燃料材を抜いたら、どうなるか。

Photo_20201001165701

しかしバイオマス燃料も、今後は輸入が増えていくはずだ。木質ペレットとかPKSが増加しているから。となると、そのうち自給率も落ちるに違いない。

Photo_20201001165901

木材需要の内訳も、需給表を見ると、ほとんどがマイナス。輸出で、かろうじて製材がプラスなのが救い?でも、分母が小さい。

今年は、コロナ禍で需要も生産も縮小するのは間違いあるまい。そのバランスによって自給率は上がるのかもしれないが、もうジタバタせずに、木材需要は減少していくことを前提に対応策を練るべきでしょう。

 

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