盗伐メカニズムの研究発表
今頃、ここで紹介しても遅いんだろうけど……。
森林総研の東北支所で「もりゼミ」という名の研究発表が行われているが、19日、つまり明日の昼間に開かれる。
テーマは二つあるが、私が興味を持ったのは、
「宮崎県における盗伐の問題:なぜ盗伐が起こったのか?」(御田 成顕)
近年、宮崎県で盗伐や誤伐といった無断伐採が問題となっており、その対策の構築が求められています。
しかし、盗伐の全体像や盗伐が発生するメカニズムは分かっておらず、研究の蓄積も十分ではありません。
かつて盗伐は、森林資源に生活を依存する山村住民と山林所有者との権利争いとしてみなされていましたが、高度経済成長やエネルギー革命による森林資源利用の減少に伴い、盗伐の研究はながらく途絶えていました。
そこで、盗伐事件の裁判記録や関係者への聞き取り調査を通じ、盗伐が発生するメカニズムを検討しました。
今回、かつての盗伐と現在生じている盗伐との違い、盗伐がどのように行われたのか、そして盗伐が発生するメカニズムを紹介し、山村や林業が抱える問題の整理や盗伐をどうやって防ぐかを議論したい。
私も追いかけた宮崎県の盗伐問題だけに興味ある。ただ御田氏の研究は、その際に取材したから、だいたいの内容は知っているが……。
しかし、これはあくまで東北支所で開かれるのだし、ネット中継されるわけでないし、そもそも定員が20名だし(^^;)、参加できる人は限られているわな。
私も先日会った宮崎県の林業関係者から多少話を聞いたが、ようやく警察も動き出したよう。でも、そのためにまずは「盗伐って何?」という勉強会を警察関係者向きに開かないといけないらしい。
盗伐にあった木を証明するには切り株がないといけないとしているが、林地を引っかき回して切り株もつぶしている現場では、それでは立件できない。現に、数ヘクタールも盗伐されたのに、立件したのは20本だけ……というケースもある(というか、それが普通)。
しかも裁判では裁判官が「なぜ自分が所有する山林の境界線がわからないのか」「生えている木の本数を知らないのか」というレベルの質問を被害者にするそうで、山林事情をまったく把握していないまま判決が出されているようだ。
私は、今後も宮崎の盗伐の実情を声を大きく広めていこうと思う。なんか、宮崎県人と話していると、意識的?無意識的?に問題を矮小化しようとしてるように感じる。自分の地元では起きてないとか、盗伐といわずに誤伐という言葉にすり替えるし。同時に宮崎県の対応批判をするからね(-.-)。何より宮崎県が本気で動かないことには止まらないだろうから。
« 餌が足りないのに森のシカが生息できる理由 | トップページ | 尾根に並ぶ風車と発電規模 »
「林業・林産業」カテゴリの記事
- 吉野林業様変わり~驚いたのは…(2025.04.09)
- トランプは森のラストベルトを救うか(2025.03.14)
- 林業機械に林業3原則を植え付けろ!(2025.03.10)
- トランプ、木材にも関税か(2025.03.04)
- 見えないカルテルが、木材価格を下げる(2025.01.13)
先日はありがとうございました。
盗伐問題は地元組合としてもしっかりと取り組んでいきたいと思います。
投稿: 江藤祐樹 | 2020/10/19 09:43
ぜひ!私も盗伐が収まるまでしつこく書いて、しゃべって、告発し続けますから。
投稿: タナカアツオ | 2020/10/19 09:56
マーケット側にいる立場の人間として、盗伐をもたらした直接的な原因はバイオと輸出によって素人でも選別なく切り出しても儲かるようになったことと感じています。
ただその根底にあるのは、土地と人とのつながりが薄れ、周辺環境の変化に法と秩序が追いついていないことと感じております。
国として地域として、土地とどう向き合いこれから先どのような社会にしていくのか。盗伐の問題は土地と地域社会をどうデザインしていくべきなのかとの問いを発している気がしてなりません。
切ったもん勝ち、そうほくそ笑んでいる人間がその辺にいる。そんな社会にならぬようぜひしつこく追いかけてください。
投稿: 堀 俊介 | 2020/10/20 19:51