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森と林業の本

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2020/10/16

ユーカリ人気?

昨日は、経営難のANAにしっかり寄付して帰ってきた。

席は、ほぼ最後列。伊丹空港に着いて降りる前に、貨物が運び出されるのが見える位置であった。

20201015_162853

ん? 運び出されるベルトコンベアに流れる箱には、「ユーカリ」の文字が。それも、次々に出てくるから、結構大量。

ユーカリって、あの樹木のユーカリ? なんで、こんなに大量に空輸するのだ。まさかコアラの餌ではないな。関西に幾つかコアラのいる動物園があったが……。

それにしてはパッキングもていねい。もしかして飾り物か。

そう思って、降りるまでに時間がかかるのでスマホで検索(^_^) 。

すると、意外やユーカリは花木としても、庭木としても、なかなかの人気であることがわかった。しかも産地は愛媛の松山市なのだ。空輸するほど高く売れているのか。とくにJA松山市は、ユーカリ出荷で急成長中らしい。こちらは枝をフラワーアレンジメントに使うよう。グニユーカリと呼ぶ品種は、小さな灰白色の葉をつけて美しいとか。切り枝を出荷するのなら、効率もよい。

ほかにも飾りつけや、庭木の苗としての需要もあるらしい。しかしユーカリといえば高さ30メートルくらいまで成長する品種もある。しかも成長が早い。今や縮小続く園芸花木の業界の中では救世主的存在らしい。

一昔前に、ユーカリを「悪魔の樹」と呼んで排斥する運動があったことをご存じだろうか。東南アジアの熱帯雨林伐採現場に早く緑化するためユーカリが選ばれて植えられたのだが、それを嫌って言われた言葉だ。

水や養分を吸い尽くして土壌を破壊するとか、アレロパシーが強くて虫も寄せつけないとか。「ユーカリ林は死んだ森」とか、酷い言われ方をしたものだ。まあ、とんだ濡れ衣を着せられたものだが、そんなデタラメを日本の自然保護団体が信じて反対運動をするという……運動の前に勉強しなさい、と言いたくなったのだが。

それが今や、日本の緑化や生け花にまで使われているとは。そして美しいと感じられているとは。そういや、ユーカリ油もアロマに使われている。

いっそ日本でユーカリ植林してユーカリ林業なんてのは展開したらどうだろう。木材も採れるが、園芸向きかな。萌芽更新するし、早生樹だよ? 今の早生樹ブームには登場しないのが不思議なくらい。

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コメント

海外のユーカリ林って平坦な畑みたいな場所で農業ばりに機械化してるので、日本では簡単に真似できなさそうです。もちろん完全に真似る必要はなく、日本のやり方を試していけばよいのですが。しかし、今の早世樹ブームと同じくそこまで投資しても、本当に需要があるのか、ということが一番の問題な気がします。

早生樹ブームは官製だから、実はほとんど広がっていませんね。
ただコウヨウザンは取り上げてもユーカリは誰も口にしない(笑)。まあ、日本に向いた土地があるかどうか怪しいですが。

日本でもユーカリは30年以上前から東大樹芸研などを中心にどの種類のユーカリが日本のどこの土地に適しているのか実証が行われてきました。700以上ある種類で日本で植えるなら何がよいかはだいたいわかっています。寒さに弱い種類が多いのが難点ですかね。
個人的にも多雨の上明確な乾季のない四国九州の南部は非常に適していると考えており、これから実証していきたいと思います。

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