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森と林業の本

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2020/10/26

バイオマス発電のPKS燃料に認証を求める動き

少し、お固い話題。メモ代わり。

私はバイオマス発電批判を続けているが、肝心のバイオマス燃料が移り変わりが早くて追いかけるのに苦労する。
最初は国産の未利用材と呼ぶ林地残材を燃料とするのが日本のバイオマス発電の基本だった。ところがとても足りないとわかると、今度は一般木材に入る輸入燃料、とくにPKSと呼ぶヤシ殻が増えた。そして木質ペレットになり、さらにパームオイルの廃油まで登場している。

さて、現在の主流はPKSだ。その雲行きが少し変わってきた。

経済産業省は、22年4月1日から発電事業者が使用しているPKSは、子ども労働などの人権問題や、熱帯雨林破壊などの環境問題について配慮しているか審査する第三者認証を取得していないものは、FITによる売電を認めないとする方針だからだ。もともとこれは、昨年の11月にの有識者会議が決めた方針だが、いよいよ現実味を見せ始めた。

稼働中の発電所は、22年3月末までに認証を取る必要がある。第三者認証を発行するのは「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」と「持続可能なバイオ燃料のための円卓会議(RSB)」の2つの組織だ。プランテーション経営で、

まあ、この二つがどれほど立派かどうかわからない。それでも今の野放図プランテーションよりはマシだろう。

2019年のPKSの輸入量は、11年と比べて約59倍(通関ベース)に拡大し、通関価格は1.2倍の1トンあたり1万1216円に上昇した。18年に消費された木質バイオマス発電燃料のうちPKSのシェアは約1割だったが、19年末までにPKSを含む燃料が5割に迫る。

しかし輸入しているPKSは、「認証を受けた国内事業者はゼロ」。とても22年3月までに取得できそうにない。あきれたことに、発電事業者や輸入商社は独自の団体を設立して独自の認証制度を設けた。ようするに思い切りチェックの緩い認証制度ね。
……なんか、森林認証制度に関して、日本ではFSCなどの国際組織に反発して、SGECを設立したのに似ている。SGECは何でもありの形ばかりの認証だったが、その後PEFCに加入するために、多少は厳しくなったかな。

だが、その認証を取得しても、今のところはFITで売電することは認められていない。実績がなく、認証の妥当性や透明性も怪しいからだ。PKS輸入に歯止めになる可能性がある。当然パームオイルそのものにも認証は必要となる。

従来の団体の認証を取得できなければ、別の燃料への切り替えねばならないが、木質ペレットは、とても量を確保できないだろう。国産は価格が引き合わないし、木質ペレットにも森林認証を求める可能性も出てくる。すると稼働停止しかねない。ああ、それで林野庁や資源エネルギー庁も、天然林の広葉樹の燃料化なんて言い出したのか。

政府のことだから、あっさり「日本独自の認証」を認めて骨抜きにする可能性も低くはないが、肝心のプランテーションは海外だから、あんまり思い通りにいくまい。足元見られて値上げを吹っ掛けられるだろう。
PKS輸入の雲行きが怪しいとなると、バイオマス発電そのものにブレーキがかかる。もっとも、あるいは、国内の人工林丸刈りを強化するだけかもしれない。

いずれにしろバイオマス燃料の価格は上がる。とすると燃料材の価格も押し上げるか? 今後の成り行きを静かに監視しよう。

 

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