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森と林業の本

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2020/11/21

草原生態系の穴場

奈良の若草山の秋は、かつてはススキの名所だった。だが、近年はススキ植生が急に縮んでいる。原因ははっきりしないが、シカが食べすぎたんじゃないのとか、山焼きの仕方が悪いとか、いろいろ言われている。

ススキだけじゃなく、どうも最近は草原の植生がパッとしない……とは主観的だが、日本にあまり豊かな生態系を持つ草原が減っているような気がする。草原は、実は森林より、草原の方が生物多様性が高いとか生物生産量も高いというデータもある。それがすべてに言えるのかどうかは私も確認していないが、たしかに草本の方が樹木より成長はよく、無脊椎動物を含めて種数で言えば多いだろう。

草原、バカにできないのである。かつて草原があると「緑の山を取り戻せ」と植林して回ったそうだが、日本列島で草原が減っているのは、ある意味、列島の生態系の危機。

というわけで、草原の穴場に行ってきた。

 

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ここは平城京……正確には平城宮跡。大極殿が復原されて古代の栄華を示そうとしているのだが、実はその周りか草原。

こうした風景はわりと好きなのだが、平城宮跡はなかなかの草原生態系が広がっていた。

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ススキも非常に背が高く、豊富。今やススキの名所といえるのではないか。

ついでに、セイタカアワダチソウの群落もあった。こちらは……だが、最近はセイタカアワダチソウもあまり見かけない。生えられる荒れ地が減ったのだろう。その意味では、貴重(^^;)。

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牧草の刈り取り……じゃないけど、結構の草の収穫はできそうだ。これらはナラシカの食料になるかな。

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ともあれ、平城宮跡は130ヘクタールは超えるから、その何分の1かは草原に覆われている。なかなか穴場である。

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コメント

平城宮跡はめったに無い広い平原でよく行きます。しかし貪欲な鹿もここは発見してないようですね。公園との間に街があるから当然ですが。
明治末年生まれの父は宮跡はマムシだらけだと言ってました。僕も一部が田であったような記憶があります。今の草はすごいですね。

私も、ここにシカがいたら……と夢想します(^o^)。
でも、あっと言う間に草原を食べ尽くして、数も増えてやっかいなことになりますね。10頭ばかりなら絵になると思うんですけどね。

明治なら、たしかにまだ水田だったでしょうね。だから遺跡が守られた。今はマムシの気配はありません。

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