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森と林業の本

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2020/11/10

外国資本による土地取得対策会議……

政府は「外国資本が 自衛隊基地周辺など安全保障上重要な土地の取得・利用が相次いでいることに対する有効な方策を検討する有識者会議」を設置するそうだ。

外資が日本の森を奪う! と大騒ぎ?したのは何年前か。あきらかにガセネタだったが、世間に流布し今も信じている人もいるだろう。
ようやく落ち着いたのかと思えば、今度は森林だけでなく土地全体で、自衛隊基地や原子力発電所の隣接地、水源地や国境離島などに絞ったらしい。それで、有識者は土地の所有者や利用実態を一元管理する仕組みを考えるというのだが……。政府は来年の通常国会に関連法案を提出するつもりのようである。

別に反対はしない。外国資本が日本の土地をどこを・どれぐらい取得して、いかに利用しているのか把握すること自体は別に悪いことじゃない。情報は常に収集しておくものだ。法務省と国土交通省、林野庁、そして自治体などが個別に持っている情報を整理して管理するのも必要だろう。でも、自衛隊基地周辺だけじゃあね。。。全国全土で行えば、日本の土地利用の基礎データになるのだが。

ただ、その後どうするのか?「外資の森林収奪」と騒いだときも、外資を理由に締め出すことはできずに、届け出制度をつくっただけで終わった。今回も、情報を把握したとして、それをどうする? 公安調査庁か公安警察にでも見張らせるのか? 土地取得に国籍条項を設けるのはハードルが高すぎる。そもそも、何らかの意図を持って基地や原発などの周辺に土地を所有するのなら、あからさまな外資を表に出さないだろう。ましてや水源地など所有しても何の意味もない。

 

このところの「キャンプのための森林購入」ブームの件で森林売買を扱う業者に伺うと、外資が森を奪うと騒がれた一時期に「マスコミが外国人(中国人と同義)が森を買いに来ていないかとうるさく取材に来て、そんなことはまったくないと何度も言っているのに、記事になったら買いに来たことになってるんだよ」と言っておりました(笑)。
でも、「中国人に買われたら困るから買っておこう」という奇特な日本人もいて、役に立たない山林でも買ってくれたからビジネス的には有り難かったそうである。

きっと今回も、法律ができたら基地や原発周辺にある外国籍所有の土地を探し出して、「ほれ、こんな例があった!」と、こじつけて騒ぐだろうなあ。でも、購入した外国人の利用目的が「キャンプしたいから」だったら、どうするんだろう。プライベートキャンプ場禁止法でもつくるのかねえ。。。

 

 

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