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森と林業の本

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2020/11/05

君は、国連生物多様性サミットを知っているか

アメリカ大統領選挙、大阪都構想と一緒ぐらい接戦で揉めてますね。今後世界は、当分「分断」と「ヘイト」の時代を続けるのだろう。ま、維新とトランプとネトウヨは似てますから(^^;)。

そんな中でも、団結して動いていた分野はあるのだよ、という硬派の話題。

9月30日に国連生物多様性サミットが開催されたことを知っているだろうか。非常に規模の大きな国際会議である。コロナ禍のためオンラインではあるが、100カ国以上の首脳陣に600社以上の世界的企業の社長(CEO)も参加していた。そして今後10年間で今の(生物多様性を破壊する)状態を逆転しなければならないと呼びかけている。企業が参加しているのは、生物多様性は経済活動にも大きな影響があるからだ。このままだとビジネス界にも深刻な影響が出る心配がある。ちなみに日本は、小泉環境大臣がビデオメッセージを出したほか、10社ほどが参加していた模様。

で、どんな目標を掲げたのかと調べてみたら、生物多様性サミット開催の前の9月28日に集まって、2030年までに生物多様性喪失の流れを逆転させるために団結して行動すると宣言していて、10項目の「リーダーの自然回復への誓約」(英文)を行っていた。これに参加・賛同する首脳の数は77カ国あるが、そこに日本の名前はない……。

ともあれその10項目がどんなものか探すと、和訳があった。

指導者による自然回復の誓約

この中の、農林業に関わる項目である6と7を抜き出そう。

6. 私たちは、環境の劣化、生物多様性の損失、気候変動に対する取り組みに重大な影響を及ぼし、安全保障、法の支配、人権、公衆衛生、社会経済開発を脅かす可能性のある環境犯罪を撲滅することを誓います。実効性とバランスを備えた抑制的な法的枠組を確保し、国内法及び国際法の執行を強化して効果的な協力の促進を図ります。こうした取り組みには、違法野生生物取引や違法伐採材取引など、組織犯罪グループが関与する環境犯罪を重大な犯罪と捉えて対処することの他、サプライチェーン全体にまたがる活動、違法に取得した野生生物及び違法伐採材並びにその派生物の需要の抑制、人と自然と経済のための持続可能な解決策を確保する地域コミュニティとの連動も含まれます。

7. 私たちは、食糧生産、農業、漁業、林業、エネルギー、観光、インフラ、採取業、商取引、サプライチェーンといった重要セクターを含む、あらゆるレベルの分野別及び分野横断的な関連政策においても、G7(主要7カ国)、G20(主要20カ国・地域)、WTO(世界貿易機関)、WHO(世界保健機関)、FAO(国連食糧農業機関)、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)、UNCCD(国連砂漠化対処条約)等の変化を促す重要な国際協定及び国際プロセスにおいても、生物多様性の主流化を図ることを誓います。その対策として、政府のあらゆる政策、決定、投資において自然及び生物多様性の価値を考慮するとともに、生物多様性の保全・回復・持続可能な利用、遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を促進します。

農林水産業のような自然と関わる産業は、生物多様性に大きな影響を与える。なお林業分野では違法伐採問題に触れている。組織犯罪グループの関与する重大な犯罪としている。

とくにこの誓約の最初の部分には「私たちは今、地球の非常事態にある」と記されている。生物多様性とは、人間以外の生物を対象として考えるのではなく、人間の生活や社会を維持するためなのだ、自然は人間の健康福祉そして繁栄を支える基盤なのだ……という認識だ。この生命維持装置(自然)が傷ついてしまうと、貧困、不平等、飢餓などをより進行させてしまい、SDGsの達成も困難になる。その上で、自分たちの行動は将来世代によって評価される、自分たちにはその説明責任がある……と言っている。なかなか厳しく、切羽詰まった感がある。

これほど大きな目標を掲げたサミットなのに、日本では、ほとんどメディアの報道はされなかったようだ。おそらく政府内にも興味を持っている議員や官僚がどれだけいるのかどうかも疑問である。

一応、WWFのページはあるが、政府のサイトでは、小泉環境大臣の演説のみを紹介しただけという情けなさ(それも外交のページ)。

誓約の最後には、来年9月の国連総会のハイレベル会合において、自分たちが1年間に何をしたのか、どれだけ進展させられたかを確認しようとあるのだが……。日本は、ちょうど10年前に生物多様性条約会議を主催したんだけどなあ。。。今や我関せずか。本当にそれでよいのか。

 

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