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2020/11/07

ストーンペーパーは環境に優しいか?

土曜日の朝日新聞には、「be」という別刷版がついてくるが、その1面・3面を使って「フロントランナー」という人物インタビューが載る。そこで11月8日版で取り上げられているのが、TBM社長の山﨑敦義さん。この会社では「ライメックス」というストーンペーパー商品を作っている。石灰岩から作る紙だ。

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それをSDGsにつながる、循環型経済にして、世界の水資源と森林資源を守る、と謳っている。

? ストーンペーパーは否定しないけど、環境に優しいというのはなぜ? 石灰岩は豊富にあるとか、水を使わずに作れる、木質を使わないから森林を守る……。

う~ん、この論法は、割り箸を樹脂箸に切り換える際に言われた言葉に似ている。木材でつくる割り箸は森林破壊につながり、1回で捨てるから森林資源を破壊するといった発想だ。あまりに表面的な思いつきで、非科学的だった。それも(木材の)塗り箸にするというならまだしも、樹脂箸、つまりプラスチック箸にして何が環境に優しいんだ、と思ったのと同じ気分になった。

ライメックスは、石灰石の微粉末を石油由来の樹脂や添加剤と混ぜてつくるという。最近は植物性樹脂も使いだしたとあるが……。石灰岩の採掘には自然破壊がつきものだし(秩父の武甲山を見よ)、採掘した石灰岩が再び生成されるけでもない。ストーンペーパーは時間とともに腐って微生物に分解され自然界にもどることもないだろう。もしかしたら樹脂が溶けて、石灰の粉になるのか。とはいっても燃やせばCO2も出すし、何より通常の紙と混ざると古紙回収システムが破壊されかねない。
この点は、Yahoo!ニュース「石でつくられた紙はエコか。リサイクルできない紙が増えている

何も私は難癖をつけようというのではない。ただ記事の中でその点をついた質問に

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地球を持続させなくてはと頑張っている企業、人の足を引っ張らないでほしい。」という回答はいかがなものか。批判は受け付けないと言わんばかりの姿勢だ。(疑うなとは言わない、と付け足しているが。)地球を持続させる方法の前提を問うているのだから、真っ当な理屈で回答すべきだろう。それとも応えたがインタビュアーが記事から削っただけなのか。

CO2の問題についてはリサイクルシステムを作らないといけないとしているが、はて、リサイクルしたら、CO2が出なくなるというのはどんな理論だ? この石紙を回収して石灰岩をリサイクルしてもCO2排出・吸収には関係ないはずだ。むしろ回収にエネルギーを消費する。(ちなみに通常の紙は、回収-再生紙のシステムだけでなく、伐採した森林の再生まで含めてカーボンニュートラルを唱えている。)
こうした疑問に一つ一つていねいに応えないと「環境に優しい」という言葉が薄っぺらになる。むしろ善意で環境破壊、というケースになりかねない。

ストーンペーパーは、べつにあってもいい。腐らない紙としての需要もあるだろう。だが、通常の木質(あるいは草の繊維)の紙と区別のつく印を入れておくべきだろう。最近はプラスチックと紙が似ていて区別しづらいのでマークがつけられている。

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こんな具合に「石紙」マークが必要では? 

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