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森と林業の本

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2020/11/02

改革疲れの林業は3号雑誌か

私も、大昔に雑誌の刊行に関わっていたことがあって、その際に言われたのが3号雑誌。ようするに3号まで出したら休刊(廃刊)すること。悪い酒を3合飲んだら潰れるところからの連想か。
そして売れ行きが落ちてきたからと、渾身のリニューアルをすると、翌号潰れるとか……。ようするにリニューアル(改革)疲れである。あまり改革第1号に力を注いだので、2号目、3号目に力尽きて休刊してしてしまう(笑)。

ま、そんなことを思い出したのは、昨日の「大阪都構想の投票」で審判が下ったから。

私にとっては明日のアメリカ大統領選挙とともに「対岸の火事」で「高見の見物」気分なのだが、結果にかかわらず、両者とも沈滞するのではなかろうか。仮に大阪市の廃止・解体が決まっていたら大阪府は沈没するだろうし、結果どおり微差による否決ゆえ対立・分断は強まって立ち上がる体力を失っただろう。しかも、否決されて維新の首長辞任か、と思えばまだ2年半続けるってよ(笑)。やる気のない行政になるだろう。
これはアメリカも一緒だ。結果に関わらず社会が分断されたアメリカの国力は落ちるだろう。

かくして3号雑誌のごとく、手術は成功したが死にました、的な結果になる。

 

最近は、林業界も改革疲れが進んでいるように思う。国は制度をいじりたがるが、それは体力を奪うだけではないか。
しょせん、制度は「器」であり、制度だけをいじっても、器の中に入る「人」のやる気は醸成できない。

では、どうすればよいか。私は改革とは前進ではなく撤退することではないか、と思い出した。

改革のために何か行うのではなく、現在の上手く動かない政策をバッサリなくす。補助金もひたすら削っていく。同時に規制も取っ払う。

仮に絶対によいと思える制度改革でも、それを進めようとしたら反対・抵抗勢力は現れる。だが、撤退ならさして苦労しない。むしろ問題は、新たに何かするのは面倒くさい、という勢力だ。この「面倒くさい」改革をなくす。

産業として衰退させることで、抵抗勢力の力を削ぐ(笑)。上から進むベクトルを示すのではなく、補助金のような餌もなくす。ただ何かやりたい人に対しての規制も撤廃する。好きなようにやってくださいと勧める。ようは、やる気のない者に無理に何かさせようとしない、やる気のある者を邪魔しない。資金が必要な人は投資家に出資してもらうか金融機関から借り入れる。そして多様な試みを(小さく)無数に実施させる。ただ夜警国家論のように、違法行為だけ取り締まるべきかもしれない。

多くは失敗するだろう。結果として一時的に産業は壊滅し、自然も荒れるかもしれない。が、数多くの試行錯誤の中から、新たな時代が生まれるのではないか。「3号林業」ではなく「ダーウィニズム林業」となる。自然淘汰に則って行われる進化である。

きつい改革はせずに、ほったらかしで変化するのを見守るだけ。これは弱肉強食ではない。あくまで多様性の中の淘汰だ。

そういやシラカバは、伐採跡地を放置するとうじゃうじゃ生えてくるけど、植樹すると枯れる、と聞いた。人がここにシラカバ林をつくろうと思うとなかなか育たない……のだそうだ。

そんな方法がもっともコスパがよさそうだ。……もう器の改革なんてうんざりだ。やる気の醸成こそがトップの仕事ではないか。

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コメント

「改革疲れ」
なるほどしっくりきました。
現場は疲弊しまくっていて、精一杯やったけど、もうお手上げなんだと吐露していたところでした。

本当は、「改革」に割くエネルギーを、もっと実務的なことに使いたいですね。
「器」だけの改革なら、いっそ逃げ出すのも手だと思うようになりました。

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