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森と林業の本

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2020/11/30

根の伸びる深さの謎

Fores-Tryという、森林研究最前線を記したサイトがあった。

執筆は、ドイツに留学している(た)二人の日本人森林研究者で、まだアップされている量は多くない(現時点で4本)が、混交林についての知見を紹介してくれている。こうした最新研究は今後の森づくりに非常に役に立つだろうから、参考にしたい。とくに日本の単層林ではなく、多くの樹種の混じった混交林づくりをめざす人には欠かせないだろう。

ここで私が内容を紹介するよりも読んだらよいかと思うが、私が おっ!?と思った点を一つだけ。

樹種の相性と根のはたらき」と題した項目で、

世界中の様々な樹種の根の深さを調べた研究によると,樹木は平均で約7mの深さまで根を張ることができるようです。種によってばらつきがあり,なんと最大では地下68mまで達する樹種も確認されています。

とあったのだ。樹根は平均で深さ7mまで伸びる! これはびっくり。だって根というのは基本的に土壌のあるところにしか伸びないはずだから。岩層を割って根が伸びていくということは有り得ない。よく岩をも分かつ……なんて根があったとしても、それはひび割れに伸びただけだろう。あえて岩の間に根を伸ばさねばならない理由はあるだろうか。水や養分のないところに根が伸びても仕方ないから。

では、土壌が7mもの厚さで体積している土地なのか。そんなに土壌が溜まるのは谷底とか川の氾濫原だろうか。でも平均とあるなあ……。日本の土壌の厚さは、おそらく1~2mではないか。山の尾根や斜面ならもっと薄い。その分、谷底に堆積するかもしれないが、それは降雨で流されるから厚く積もるにはよほど地形の条件が必要となるはずだ。
最大地下68mとなると、もう想像できない。巨大な谷が全部土壌で埋まったのか……。氷河地形ならあるのかもなあ。

ヨーロッパの地質は、これぐらい土壌の厚さがあるのが当たり前なのだろうか。でも「世界中の様々な樹種」とあるからなあ。それに根の伸びる深さと樹種は、それほど相関するものだろうか。そもそも「深さ」ではなく、根の「長さ」? 横に伸びてもいいのなら有り得そう。日本でも、結構地表すれすれに伸びた根は見かける。

とまあ、いろいろ疑問が渦巻くのであった(^^;)。

011

生駒山の風化した花崗岩層に伸びた樹根。ここは2mぐらいあるか。

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