ノネコ騒動から「カワイイ」正体を考える
SNSでは、よくネコやイヌの動画を流している。私も、つい見てしまう。1行程度のコピーに騙されて……もういいよ、いつも同じだよ、と思いつつ、見てしまう(泣)。そして一つ見たら、次から次へと現れる。連動広告というヤツか。もういいって。ヤメロ~!(と言いつつ見る。)
とまあ、辟易しているのだが、そのSNSでノネコを巡って騒がしいと思ったら、環境省の奄美群島ノネコ捕獲作戦のことだった。それに予算が増額されて(たかだか1億円程度)3000頭の捕獲を計画しているとかで騒いでいる。そこに衆議院議員が口をはさんで余計に火がついた……という構図。ああ、維新の会か。。。。
環境省も、ちゃんと解説したりしているのだが……希少種とノネコ・ノラネコ
そんなていねいな説明を一切気にしないのが、ネコに心を奪われた連中(笑)。ここに知性は見られない。ネコを殺すな、の一点張り。
シカやイノシシは大量に捕獲殺処分されているし、ネコがアマミノクロウサギやオオミズナギドリを獲って食べている(殺している)ことにはまったく言及しない。いや、アマミノクロウサギが減ったのはマングースのせいだ、マングースを退治しろという主張もある。ネコさえ助かればほかの動物のことなんかシッタコトジャネエ、ということか。
クマの場合は、「殺すな」と「危険だから殺せ」と意見がほぼ真っ二つに分かれるのだが、ネコになると「殺すな」が99%になるのはなぜか。
動物は野生と家畜とペット……だいたいこの3つに分かれるが(ほかに展示動物とか実験動物など)、なぜ野生動物が家畜になったのか。さらに愛玩動物(ペット)が登場するのか。結構、昔から考えているのだが、ペットはもっとも不可解な存在だ。
その点を『獣害列島』の末尾で論じたのだが、そこには「カワイイ」という感情が横たわる。これが曲者で、何をもってカワイイのか定義づけるのが難しい。詳しくは読んでもらいたいが、ローレンツの「ベビースキーマ」理論とかを取り上げたものの、思索はまだ続いている。残念ながら結論は出ていない。「カワイイ」と「萌え」の関係とか、キャラクターに対する「カワイイ」感情と共通点はあるのかどうか。
この点を詰めないと、頭空っぽの反知性的「ネコを殺すな」連中に対抗できないのではないか。。。
で、こんな本も読み始めた。
この本についてはまた改めて。ただ、ひっくり返して考えた。異種にカワイイという感情が芽生えたから、人間は人間になった……カワイイという感情こそ、動物と人間の境界線にある。
もっとも、現在は乱用気味だろう。ネコだけを殺すな、という声もその一つだろう。いつか「カワイイ動物」から一大論考を展開してみたい。
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