稲の二期作が産み出すもの
この写真を見てほしい。
田植えの後……ではない。稲刈りの後だ。10月撮影である。おそらく稲刈りは9月だったろう。
次は11月末撮影。刈り株(稲茎)から葉が再生して、2カ月でそこそこの高さまで生長している。いわゆるヒコバエだ。そして稲穂までつける。
ちゃんと稔っているだろう。この再生二期作で2倍の米が採れる。2回目の米の方が美味しいという声も……。過剰な窒素肥料が抜けてよい米が育つのだそう。ようするに二期作だ。ただし昔行われたのは、稲刈り後に再び新たな苗を植えて行った。それに比べてこちらは簡単。放置してもいい。
この方法を取ると、田植えは1回で2回の収穫だから、なかなか効率がよい。地球温暖化も見方をしてくれて、少ない農地で多くの収穫が得られる。この研究も行われていて、福岡で行われた実験では、通常の反量(田んぼ10アール当たり)は500キロぐらいだが、2回の収穫を合わせると1400キロ以上採れたこともあるそうだ。
……減反政策に反しているって? そう、それが問題なのだ。実際には2回目の稔りは放置されることが多い。背の低い稲穂を機械で刈り取るのは難しいこともある。
では、どうなるか? この美味しく稔った稲穂は丸ごと害獣の餌となる。まずはイノシシ。そしてシカ。しかも、11月となると田んぼの周りの柵も外され、中に侵入しても人に追われることもない。食べているところを目撃されても「収穫する気はないので、ま、いいか」と放置される。それどころか、「いっぱい食べて満腹になったら、農作物を食べなくなるんじゃないか」という希望的観測を持つ。
実際は稲の美味しさに味をしめて食べ漁る。そして栄養たっぷりつけて冬を越し、出産もたくさんして、数を増やして餌を農作物に求める。春以降は田植えの終わった水田に照準を合わせるのだけど。
獣害は、こうして発生する。
« 「ロシアの丸太輸出禁止」報道 | トップページ | 林業界に脱ガソリン車、脱石油の流れはくるか? »
「ナラシカ・動物・獣害」カテゴリの記事
- シカの糞と糞虫の聖地(2022.06.24)
- 鳥獣害対策の敵は「カワイイ」(2022.04.13)
- 動物の「かわいい」を追求する(2022.02.22)
- はぐれシカの素性は?(2022.02.10)
- 糞虫館で考える生態系(2022.01.07)
コメント