#麒麟がくる~承認欲求は恐い
NHK大河「麒麟がくる」を見ていて感心した。
もともと歴史ものは好きだが、それをドラマにすると、登場人物(とくに戦国大名など)のキャラクターをどう設定するかが重要となる。ありきたりというか、世間のイメージのままの人物像にしてしまうと、つまらない。その点「麒麟がくる」は、そもそも謀反人としての人格が焼きついている明智光秀を主人公としたところからちょっと期待していたのだが、ほかにも影が薄く薄っぺらな扱いをされがちな足利義昭などもていねいに描くなど、なかなか見せる。
が、何といってもうなるのが、織田信長だ。たいてい常識外れの発想を持つ暴君的に描かれてきた信長をメンヘラに設定した (゚o゚;) 。ちょっとメンタルヘルスのイカれた不安定な精神状態の若者としたのだ。そして承認欲求が強く、それを求めることが世間の常識から外れてしまう元という人物造形だ。
最初は母に、父に求めた承認欲求が、やがて帰蝶(妻)に、そして公方様(征夷大将軍)に向ったのだが、ちゃんと承認してくれないと思えば、次は帝である。将軍を見限り、より上位の天皇こそ、自分の実力を認めてくれると接近するのだが……。
ここからは、私の予想、いや妄想。次は帝を見限るぞ。そして誰でもない、神に承認してもらう欲求が頭をもたげるのではないか。さらに進むと、いっそのこと天皇家を根絶やしにし、自ら天皇になるか、自らが神になればいいと気がつく。自分(神)が自分を承認すればいい。となると邪魔なのは帝。そこで御所の焼討を計画する。実働部隊として期待するのは、息子・信忠と、もっとも信頼する光秀だ。ほかの家臣は全国に散っている中で、光秀だけを京に配置していたのもそのためだ。
となると、同じく公方様より帝に心酔していた光秀は焦る。そこで信長を止めようとして引き起こしたのが本能寺の変。おおお、ぴったり納まるではないかv(^0^)。ようは信長の子ども時代の不遇に原因があったのだね。
ま、こんな夢想をしていたのだが、話をもどすと人間にとっての承認欲求とは何か。
どうやら人間の持つ欲求のかなり上位に位置づけられるようだ。生理的欲求や安全性の欲求などより後に現れる強い欲求らしい。社会で自分のいる位置、そして価値を求める心理的な根源だ。逆に見ると、始めから自らの存在価値に自信を持っていたら承認欲求は強くならない。すでに承認されていると意識するからだ。
たまたまた読んだマンガで、起業したたくましい女性が「なぜ私が自信満々なのか」という理由を語る。それは「親に愛されたから」。小さな頃から両親に徹底的に愛されたから、自分の(精神的な)居場所ができた。自分は存在してもいいんだ、という思いが強いから、何をするにしても自信が湧くのよ、と語るのである。これは、わりと心理学でも指摘されていることだ。
承認欲求が強いというのは、裏返して自分の居場所に安心感がないからかもしれない。だから自分のすること、口にしたことにも(潜在的に)自信がない。それゆえ異論をぶつけられるとキレる。現状(自分の意見)に固執する。客観的な状況より、自分が提案したという事実にしがみついて、それを変更すると、自身が侮辱されたように感じ、変更すると自分が崩れてしまうと感じるのだ。でも、固執するから事態は悪化していく。そうして自滅するのだね。
……そんなことを、昨今の政治家を見ていて、感じたのだよ。愛されていなかったんだなあ。
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