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森と林業と田舎の本

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2021/01/04

ウイルスの進化のように

謹賀新年。正月も明けました。

一年の計は元旦にあり……と言いますが、今年の元旦に来たメールは、仕事の依頼でした。これは幸先いい、と思うべきでしょうか(^^;)。まだ企画段階だから本決まりではないようですが、セミリタイヤを宣言した身には光栄であるとともに戸惑いもあります。

さて、年末年始に考えたのは、ウイルスのこと。今やその名を誰もが知っているのは新型コロナウイルスだろうが、それは関係ない。ウイルスは、核酸(と遺伝子。RNAかDNA)だけを持ってきる存在であり、自分の複製をつくる(繁殖行動)には他生物の細胞が必要とするので、生物とは認められていない。ただ増殖するのは間違いないので、一般によく言われるのは「生物と無生物の間」だ。

ウイルスはどこから生まれたのか。その発生源は生物であることは確かなので、これを端折って言えば、原始生命体が「進化」していく過程で生まれたわけだ。一般に進化とは、機能が高まり複雑になっていくことと思いがちだ。原核細胞(生物)が真核細胞(生物)へと進化し、やがて多細胞となり、なかには維管束を設けた植物や、脊椎を産み出した動物が誕生し……という方向だろう。

しかし、ウイルスは逆に必要な器官をそぎ落として、核酸だけになった。最近はウイロイドなる代物も発見されており、こちらは核酸のタンパク質の膜さえなく、ほとんどRNAだけ(しかも一本鎖)の生命体?もあるが、この進化の方向はなんだ、と考えたのである。よりシンプルになっていく進化だってある、という点に注目したい。

いきなり話が飛ぶが、大阪では縄文人と弥生人が共存していた遺跡が発見されている。近くに、それぞれの村があって、交流もしていたらしい。
一般に弥生人は水稲などの農業を持ち込んで、狩猟採集生活の縄文人を駆逐したような歴史を描かれがちだが、共存した時代もあるのだ。お互い争わず、相手の生活・文化を認めていたわけだ。縄文人も、米が食いたいから農業を始める……ことはせず、自らの縄文式生き方を守り抜いたようである。農耕というアイデアや技術は知りながら、真似たり教わることはなかったと思われる。

ちなみに人類でもっとも古く農耕を始めたのはニューギニア人だとされている。1万年以上前の灌漑農耕の跡が発見されている。しかし、農耕から階層社会をつくることなく、国を築くこともなく、村落社会を20世紀初頭まで続けてきた。ほとんど1万年間変化しない文化を持っていた。リーダーとしての村長さえいなかったらしい。いたのは世話役だけである。ただし隣の村と戦争になれば、戦争指揮者は生まれたらしい。

またまた話を飛ばすが、ニホンザルの群れにボスがいる、という学説は今や否定されている。野生下のサルの群にはボスはいないのだ。ただ群に危機が訪れたり、(動物園のサル山のように)囲い込まれて生活を送らねばならなくなったときにボスという位が発生する。つまり非常時だけのリーダーで、通常は平板な社会なのである。

で、何が言いたいかと言えば、ようするに生物体も人間社会も、いわゆる進化の系統樹どおりに進んできたわけではなさそうだなあ、と感じたこと。みんな、バラバラの方向に進んで、たまたま生き残ったり滅んだりして今がある。

ウイルスのように生活をそぎ落とした進化の方向もあり、と思ったのである。大きく、多く、複雑になるだけが能じゃない。それは自然界も、人間社会も、産業も、みんなに通じるだろう。

 

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コメント

明けましておめでとうございます。
ウィルスのように自らの力で増殖できない生命体は宿主が増えない限り繁栄することはありません。
しかしウィルスは増殖する過程で宿主の細胞を破壊してしまい、宿主を殺してしまうことさえあります。
つまり、宿主の増殖を抑えたり、殺してしまうのはその生命体にとって都合の良いものではないはずです。(進化の原理に反する)
一方、見方を変えればこれらの生命体は特定の生物の急激な増殖を抑える役割りを担っており、地球という生命体の免疫のような役割りを果たしていると考えられます。
即ち、地球という観点で見るとそれらの進化の理由が説明できるのではないでしょうか。

ありがとうございます。
ウイルスの存在意義は何か……という点はともかく、進化はあらゆる方向に向っている、そして向った方向が地球のエコシステムに合えば生き残り、その後も存在し続ける。合わなければ消えていく。まさに自然選択説ですね。
自分の進むべき方向……なんて考えずに、なんでも試してみる生き方をしたいですね。

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