ハチの世界にもパンデミック?
ナショナルジオグラフィック誌の記事に、
という記事があった。
「One Earth」に発表された論文によると、野生下で目撃されたハナバチの種数は、過去数十年で世界的に減少していることが明らかになった。2006年から2015年の間に報告された種数は、1990年代以前に比べて約25%も減っている
のだそうだ。以前より、ミツバチの大量絶滅の話題はあったが、今度はハナバチ類全体らしい。
よく八が大量に死んだことを農薬のせいだと決めつける意見が出るが、実態はそれほど単純じゃない。たしかに農作物にネオニコチドイド系の農薬が使われたことがミツバチを殺してしまう現象はあるが、まったく農薬を使っていないケースもあるし、そもそも農作物には来ない種のハチも死んでいる。そのほかダニの大発生とか地球温暖化による高温とか、いろいろの原因が疑われつつも、完璧に説明できていない。
今回のように野生のハナバチ類を含んで大規模となると、簡単に答えは出ない。むしろ、ハチの世界にパンデミック、つまり、感染症が大流行したとでも考えた方がすっきりする。コロナ禍と同じことが昆虫界に起きてもおかしくはないだろう。ハチ社会では三密回避もできないし……。
私なんかは、ハチのいない世界かどうなるのか、と考えてしまう。
地球上で現れた陸上植物は、みんなシダなどの胞子も含めて風媒だった。風に頼って拡散し、受粉していたのだ。そんな裸子植物の針葉樹は、現在地球上に540種類ぐらいしかない。
ところが、広葉樹となると20万種をはるかに超える。なぜ、そんなに広葉樹が分化して種類が増えたのかと考えると、花粉を虫に運ばせる手段を取ったからではないか。虫媒花である。実際は虫以外にもさまざまな動物が花粉を運ぶが、その中でもハナバチ類の役割は大きい。(スギの花粉も、虫に運んでもらうようにしたら、花粉症もなくなるのにね。。。)
ハチが植物を進化させた、と私は思っている。だからハチが減っていると聞くと、なんだか不吉な予感。チョー怖い病原菌が発生したのではないだろうな。人間社会で起きていることがほかの生き物の世界でも起きたとしても、なんらおかしくはない。気候変動といい、パンデミックといい、地球の生態系は大きな曲がり角を向かえているのかもしれない。
……とまあ、そんなことを考えてしまったのである。
« VUCA(ブーカ)の世界 | トップページ | 「FRIDAY」の山林買収記事 »
「森林学・モノローグ」カテゴリの記事
- トランプ米大統領と、緑の植民地主義(2025.01.21)
- 阪神大震災、改めて思い出す(2025.01.17)
- 雪化粧。そして、うぴ子(2025.01.12)
- ジビエ嫌いのジビエ・ビジネス(2025.01.11)
- 森の奥で根っこを張る(2025.01.05)
コメント