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森と林業の本

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2021/03/13

化石未満のメタセコイア

先日の伊賀を訪れた際に、こんなものを目にした。

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わかるだろうか。一見、樹皮に見える。実際、木繊維ぽいものが見え、層になっている。しかもペラペラとめくれる。触ると柔らかそう。

が、木質ではない。では石か。化石か。……しかし、指先に力を込めると、あっさり割れる。そしてサラサラの砂になる。いや、砂というより土か。乾燥した粘土のような様相だ。化石未満の植物だろう。

断面は、こんな感じ。

20210313_214301

さらに地層断面を見ると……。

5_20210313214601

表土の下に薄い亜炭らしき層があり、その周辺に、この化石未満がある。その下層に粘土層があり、さらに下は花崗岩の風化層。

実は伊賀盆地の当たりは古琵琶古層。かつて琵琶湖があったところだ。その周辺には森林があり、それが琵琶湖の移動とともに分厚い堆積物は山となったらしい。だから木の化石がたくさん出る。私が採集したのが何かははっきり言えないが、よくメタセコイアの化石が見つかり、古琵琶湖の周辺の湿地にはメタセコイアの大森林があったと言われている。日本列島が大陸とつながっていた証明にもなる貴重な化石だ。これは化石未満だけど(^o^)。

現在の琵琶湖周辺、滋賀県などは、あまり森林地帯のイメージはないが、古くは田上山の巨木林(平城京の建設で使われる)や、東大寺大仏殿の建設の木材を用立てた甲賀杣などがあって木材産地だった。だからメタセコイアの森林があったと思ってもおかしくない。ただ絶滅したと思われていたが、20世紀に中国の奥地で生きた樹木として発見された。
今では日本にも移入されて、今は街路樹や並木として日本全国に植えられている。実は現代の琵琶湖岸にも、たくさんのメタセコイア並木が見られて観光名所にもなった。そのご先祖様が、地下深く眠っているのだねえ。

 

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