緊急盗伐ゼロ宣言しない?
ブラジルのボルソナーロ大統領が、気象変動サミットで「2030年までにアマゾンの違法伐採をゼロにする」と宣言したそうだ。
これまでアマゾン開発を進めると、違法も含めて森林破壊を後押しするかのような発言(と規制緩和の政策)が続いていたボルソナーロ大統領がこんなこと言い出しても信用できん、という声はあるだろう。だいたい30年までとは9年かけるということで先すぎる。。。
が、宣言をするだけマシとも思える。やはり国際世論の風向きを気にしたうえに、気候変動への対応でもあるのだろう。
ちなみに日本でも違法伐採が相次いでいるが、それに対する根絶の意向は政権から示されたことがない。林野庁も「触らぬ神にたたりなし」的対応に終始する。違法伐採は犯罪なんだから警察の領分とでも逃げているのか。だが林野庁の木材生産拡大方針が盗伐を引き起こしていることは誰の目にも明らかだ。
現実にもたいして取り締まりは強化されていない。2年前にようやく摘発が始まったが、ほんの数件にとどまっている。しかも罪状は現実の10数分の1ではなかろうか。たとえば5ヘクタール盗伐(伐られた木の本数は何千本か)しても、立件は12本とか…… (゚o゚;)、さらに林野庁長官が国会で『盗伐か誤伐か区別がつかないので』なんてトボケた答弁をする有様だ。
5月の連休明けに、ようやくというか、初めて林野庁が宮崎県の盗伐現場を視察することになったと伝わる。本庁だけでなく熊本森林管理局などのメンバーだという。コロナ禍の緊急事態宣言が発令したからとすっぽかす可能性もあるが、ともあれ現場を見て、盗伐ゼロ宣言でも出すべきだ。緊急事態を頭につけると、今風になるよ。せめて蔓延防止?いや、はっきり盗伐は違法です(当たり前すぎる)と訴えないと、関係者はのらりくらりと逃げそうだ。ちょっとは宮崎県も真面目に取り締まる気になるだろう。(無理か?)
ところで、私の「予言」が当たって、外材価格に続いて国産材の価格も暴騰し始めたようだ。これをウッドショックと呼ばれるようになった。木材価格が上がったのだから林業家は喜んでいるかと思えば、あまりに急激な値上がりだったので林業家も対応できていないようだ。今木材を出せば高く売れるとわかっていても、すぐには増産できないのである。
しかも、現在の高値によって儲けたのは素材生産業者だけ。数か月前に行われたと推測できる伐採のための山買い(伐採契約)の際は通常の値段だったのに、伐採を始めて原木を売りに出すころに価格が高騰したのだから、山主に儲かった分は全然還元されていない。では、今から次の山を契約する場合には、高値にして山主にも還元できるか……というと、そうした動きもないそうだ。
なぜなら、業者はいつまで高値が続くかと戦々恐々としている模様だから。今契約しても、資材や人員の配置を考えたら伐って出せるのは3カ月後ぐらいになる。だが、3カ月後も今の高値が続いているかわからない。急に暴落する可能性もある。そうなったら高く山を買った分だけ損をしてしまう。素材生産業者はそんな計算をしている。逆に山主は高くしなければ伐る契約をしないだろう。
さて、どうなるか。私は、契約せずにこっそり他人の山を伐る、つまり盗伐に走る業者が増えるのではないかと想像している。目の前に高値でも買うという相手がいるのだから、面倒な部分をすっ飛ばす誘惑にかられるのではないか?
そもそも木材価格高騰だって、木材商社などはちゃんと事態を把握していたようだ。だが国内の林業家には情報が届かなかった。届けても理解できなかったのかもしれない。そして行政も放置した。全然先読みができないのは、コロナ対策と同じだ。
さらにこの先、盗伐対策を強めなければ、いよいよ無能をさらけ出すことになりかねない。
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