メガソーラーの里山破壊!
たまにメガソーラー問題にも顔を突っこんでいる私だが、ちょっと恐ろしい調査結果を目にした。
国立環境研究所が、太陽光発電による土地改変の実態を調べ規模や分布の特徴を発表しているのだ。
まず衛星画像や航空写真から出力0.5MW以上の発電容量を持つメガソーラーを選び出した。そしてソーラーパネルと付随施設の範囲を地図に落とし面積をあぶり出す。その上で発電所設置前の自然生態系を「都市」「水田」「畑地」「自然林」「二次林・人工林」「自然・半自然草地」「人工草地」「自然裸地」「人工裸地」「水面」の土地被覆タイプに分類した。
ソーラー発電所数は8725カ所になり、面積は合計229.211平方キロメートル(日本の国土の0.079%)。その66.36%を0.5~10MWの中規模施設が占めていた。そして、多くが里山と定義される環境に建設されていて、失われた生態系は、二次林・人工林、人工草原、畑、水田が多い傾向がみられたという。これを言い換えると、大規模なメガソーラーだけでなく、中小規模のソーラーパネル設置でも、かなり里山を食いつぶしているということか。
生駒山に設置されたソーラーパネル。規模としては小さいが、無数にあるから、全体の面積は結構あるのだろう。
自然保護区に該当する場所でも、合計1027施設、約35平方キロメートルの面積を占め、鳥獣保護区内では605施設、合計約20平方キロメートル、都道府県立自然公園内は245施設、合計約8平方キロメートル、国立公園内では101施設、合計約5平方キロメートル。
設置しやすい人工的な土地・建物(屋上)はすでに使い切っているので、仮に今後さらにソーラーを増やそうとすると、より里山的な自然地が増えるだろう。
この論文の最後には、「全体の施設面積が2倍になった場合、自然保護区内での建設は2.66倍に増加する可能性があると予測」なんて書かれてあるぞ。
ちなみに風力発電も、1基設置するのに約1ヘクタール必要で、山の場合はそれだけの面積の森を切り拓いていると思われる。それに道路なども必要だからその分の伐採も少なくないだろう。最近の風力は、風車をざっと20~30基を並べるから、少なくない面積となる。
再生可能エネルギーという美名の陰で、どんな自然改変が行われるのか目を向けておいた方がよい。
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