フィンランドの木質繊維材料
時折フィンランドより、プレスリリースが届くのだが……今回は木質繊維を開発しましたよ~というご案内。
「フィンランドの持続可能なスマートテキスタイル、 森林から循環型ソリューションへ」
今後、木造建築や、 製品、 容器に使われるプラスチックの代替となる木質材料、木質繊維材料などが注目されると予測されます。
とあって、フィンランドのメッツァグループと伊藤忠商事が共同開発したのが、新しいセルロース系繊維「Kuura」だそうだ。森林から既製品を作り出し、廃棄まで製品のライフサイクル全体を研究しているそうである。
まず繊維産業は、毎年、世界で約9200万トンの繊維廃棄物を発生させていると環境へのマイナス面を訴えている。その上で木質繊維には、それを打ち破るソリューションとなるという。
肝心の繊維の製造法などは示されていないのだが……昔懐かし?レーヨンとか、日本で開発された紙にしてから紡ぐ手法の「木糸」繊維があるが、それとは違うようだ。
まあ、写真からは木繊維を綿のように紡ぐらしいことはわかる。
ただ最後の写真、アチラでも杼(ひ。織機の道具)をつかうのだな、という別の関心が。日本に一人しか職人はいないのだが。
リリースでは、
フィンランドは、 木質製品を使った低炭素ソリューションや気候変動対策で世界をリードしています。 原材料を十分に確保することができます。 フィンランドの森林は責任を持って管理されており、木材を伐採する際には自然環境を尊重するよう求められています。
フィンランドでは、 森林の大部分は個人所有されており、森林の所有権は家族の財産の重要な一部であると考えられています。
と、いかに環境に優しく持続的に生産している繊維かと強調している。本当にそうか、フィンランドを視察させてくれ~と、前も叫んだような気がしますが(^o^)。
そして木質系繊維は林業にとって重要な新しいビジネスチャンスを生み出す可能性があるとする。たしかに、木材を木材のまま活かす需要は世界的に頭打ちだろうし、すでにだぶついて価格下落傾向にある。かといって燃料のような安価な使い道も願い下げだ。繊維というのは一つの道かもしれない。テキスタイルは商品によっては高値をつけられる。消費量も莫大だ。ただ、原料としての木材は高く買い取られるのかどうか、ちょっと疑問だが。
また繊維産業と生産ラインを変えるには、 国籍を超えたグローバルな協力が必要、と訴えているのは日本と協力しようという意図だろうか。
そのほか、フィンランドが世界初の「循環型経済への国家ロードマップ」(2016-2025)」を作成したことも記す。ほかにもLVL建材による建築なども紹介しているが、そこではこんなものも紹介しているよ、とのことである。
バイオベースで堆肥化可能なSulapac社のカトラリー
スタイリッシュなNiimaar社のリサイクルステーション
PureWaste社の産業廃棄物やペットボトルをリサイクルして作られたパビリオンスタッフの服
Dolea社の持続可能なストロー、
Cireco社のストーンレメント石製品
Siparila社の木製インテリアパネル
Nikari社、 Made By Choice社、Woodnotes社、 Lundia社、 Iittala社など、フィンランドのトップデザインブランドが提供する持続可能な形で製造された多くの家具や製品
熱心だなあ。日本の林業・木材産業界も、これぐらいのリリースをしないとダメだなあ。いや、リリースする内容を持っていないか。
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