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森と林業の本

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2021/05/22

今日は「国際生物多様性の日」だった

毎年5月22日は、国際生物多様性の日なんだそうだ。

国際連合が制定した記念日(国際デー)である。国連では、この日の午前10時(現地時間)に森林破壊の解消のため「植樹を行なおう」と呼びかけており、これに呼応して各国・地域ではいっせいに木を植える「グリーンウェイブ」と呼ばれる植樹イベントが開催されているとか。だから、多少は林業界でも知られてよいかと思うが、多分ほとんどの人が認識していないだろう。私だって知らなんだ。

日本では、何か行われたのだろうか。今のところ、全然ニュースにはなっていないと思うが。

ところで、そもそも論なんだが、なぜ生物多様性は必要なのか、維持しなくてはらないと考えられているのだろうか。

まあ、その点については多くの意見・発言がされているから、それを総ざらえするつもりはないのだが、そこで思い出したのが、かれこれ20年以上前にネットで起きた議論である。その頃はブログもなければSNSもない時代だ。ただニフティサーブのようなパソコン通信があって、これは今のSNSのコミュニティに似た機能があった。同好の士?がそれぞれ部屋を造って意見交換していたのだ。

その中で「なぜ生態系はあるのか」と問題提起した人がいて、それは「生物の数が増えるのを抑えるためだ」と論を展開した。いわゆる弱肉強食とか食物連鎖とかいった用語から連想して、一種類だけが増えないようにするという発想だ。そこそこ賛同者もいたように思うが、私はそこで「いや、生態系は生物・環境の関係を立体化して、数も種類も最大限に増やす仕組みだ」という論を述べた。

当時の理屈をここで再び展開するのは億劫なので省略するが、空間とエネルギー(とくに太陽光)を最大限に活かして、各生物間で物質のやり取りをして無駄を出さないように循環させることで潜在的に可能な生存数を確保する……という考え方である。そのためには、他者が廃棄したものを活かす別の生物種が登場する必要がある。結果として生物多様性を広げていく。人間社会でも、職業を分化させて社会を重層的にすると扶養人口は増やせる。

まあ、あのやり取りをもっと深めたら面白い論考になったかもしれないと思わないでもない。ちなみに、これは生物学とか生態学の議論ではなく、いわば哲学みたいなものである。あえて振り返ると、私も若かった、ということだ(笑)。

ちなみに、こんな図というかロゴがある。生態系はどちらの形が正しいでしょう?と比べたもの。

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アメリカ国務省の発行「特別調査報告書」によると、19世紀末までは4年間に1種の絶滅スピードだったが、20世紀には1年間に1種、現在は1時間で8種の生物が失われているという。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

いつもブログを拝見させていただいています。
私は地球は私たちと全く同じ生物だと考えています。私たちの体の中に存在するある種の微生物(例えばウィルス)が増えすぎたときに私たちは病気になり、元の状態(平衡状態)に戻そうとします。ウィルスに感染してもそれがどんどん増えない限り病気にはならないのです。地球にとっての生物多様性も同じ話ではないでしょうか。
生態系のロゴは数ではなく単に社会的な強さを表しているようですが、生息数を表したピラミッドであったなら、WRONGも正解ということになるとおもいます。
(女性よりも男性が上になっているのはどうかとは思いますが...笑)
生息数が逆三角、いや、ハンマー型になってしまっているところに問題があるのではないでしょうか。

地球生命体説=ガイア理論ですね。
地球上の生命体の重量は、複雑な生態系ができて確実に増えました。
たとえば「全員が百姓になって、一人一人が農作物を栽培しても、多くは収穫できないし、人口も増えない。しかし、一部の人が土木工事で灌漑施設をつくったり、鍛冶屋になって農機具をつくったり、天文観測をして気象を予測したり……そしてリーダー役がいて全員を上手く動かしたら、農業生産量は確実に増えて、人口も増えます。生態系とは、そうした存在だと考えます。そこにピラミッド構造は必要ないのですよ。

私は特に学識もなく、理論というよりは勝手な自分の思いです。その考えを述べさせていただきますと、ピラミッド構造が絶対条件であるとは考えていません。現在の弱肉強食の生態系がピラミッド構造で安定(平衡状態)しているということだと思います。
この平衡状態は生物の多様性が多いほど崩れにくいと考えられます。(一部がいなくなっても代わりに補うものが存在する)
そして生態系が安定することが地球環境を安定することにつながっているのではないでしょうか。(例えば二酸化炭素の濃度が安定することで気候が安定するようなこと)
つまり、生態系の安定→地球環境の安定→生物種の増加→生態系の安定のサイクルが繰り返されて現在の安定した地球環境が形成されているのだと考えています。
この平衡状態を崩すことは安定した地球環境がなくなることを意味するものだと考えています。

現在の生態学では、図のようなピラミッド構造自体が否定されているのですよ。

ピラミッド構造が絶対条件ではないと書きましたが、捕食の世界ではピラミッド構造で安定するのは当然の結果だと思います。
社会的な要因で数が増えるのは人間的な理屈であり、それが地球の原理原則に反しているからこそ最強の立場で増え続けることかできるのではないでしょうか。
しかし、それは長続きはしないと考えています。いくら変わろうとも私たちは母なる地球の子供に違いないからです。

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