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2021/06/09

もし「イギリスがTPP加入」すれば

ヨーロッパ連合(EU)を脱退したイギリスが、環太平洋連携協定(TPP)への加盟を求めた。それに対して加盟国11カ国は協議を始めると全会一致で決めた。

というニュースが流れた。あれほど揉めて、TPPはアメリカ1国だけが得する貿易協定で、日本他の国は痛い目にあう! と一部の人間は強行に反対していたのに、いざ米トランプ政権が「アメリカは(損するから)入らない」とあっさり脱退したら沈黙した。いったいどうしたの? 一人勝ちするはずのアメリカが抜けたんだよ、と言いたい。そして現バイデン政権も、すぐには加入を求める様子はない。そこへイギリスという大物が加盟したいと言い出したのである。

日本はイギリスの参加を後押しする立場だが、実現したらTPP全体の名目GDPは10.8兆ドルから13.5兆ドルに増加。EUの15兆ドルに匹敵する巨大経済圏になる。ちなみに日英間では今年1月、経済連携協定(EPA)が発効している。

さて、それがどうした、と国際経済に興味のない向きもいるだろうが、ふと私は思ったのだ。木材輸出はどうなるのだろう、と。EU内には林業木材産業大国がたくさん含まれるし、その周辺にもある。スウェーデン、フィンランド、ドイツ、オーストリア、ポーランド、そしてノルウェイ。だからTPPに限らず、日本は木材製品を輸入する立場で、関税撤廃もそこに力点を置いてきた。
ところがイギリスは、とくに林業が貧弱なヨーロッらの国だ。

イギリスは、今までどおりヨーロッパ圏内から木材を輸入するのだろうか。EUを抜けたら木材関税がどうなるのか知らないが、もしかして圏外からの輸入も考え出すのではなかろうか。そしてTPPに加入すれば、その加盟国も輸入相手国の対象になる……。

で、日本はどう出る?

な~んにも考えていないだろうなあ(笑)。木材輸出に熱心な割りには、対象は中国・韓国一辺倒だからね。あとフィリピン、ベトナムぐらいか。そして付加価値をつけて輸出したいと(白書で)言いつつ、原木輸出ばかり。ここで逆転を狙うならイギリス向けを考えたら?

と思って、日本のTPP対応戦略を探してみたら、こんなのが見つかった。「林業・木材産業分野におけるTPP対策」

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林野庁、こんなのつくっていたのだね。表紙はのどかでよろしいのだが、ほとんどは合板や製材輸入に関する項目。それでも一応は木材製品の輸出に関する項目もあった。木材製品のブランド化を推進するとある。「日本の優れた加工技術を活かした輸出向けの木材製品」だと。ほお、そんな技術があったのか。ベトナムにも劣るかと思っていたが。

でも、こうなりゃイギリス向けに売り込むべきではないか。きっと面白いことが起きるよ。

まず原木には興味示さないと思うが、ヨーロッパ産の製材と対抗しようとすれば、品質でケチョンケチョンにたたきのめされるのではなかろうか。それによって日本産木材の品質の国際的評価に初めて気づくかもしれない。そこで頭を垂れて撤退するか。

だが、もしかしたら日本独特の木取り技術と木目のデザイン性などをイギリス人に売り込み、蟻の一穴をこじ開けるかもしれない。今や日本では時代後れ扱いの木取りも、海外では魅力の発信になる可能性が眠る(と私は思っている)。

でも、今や日本国内でも木取り技術は衰退している中、世界に発信できる業者がいるだろうか。いないだろうなあ……。

ただイギリスのTPP加盟まで、何年もかかるはず。今から先読みして、可能性を思考実験しないのか。

しょせん、反実仮想にすぎないか。「もし~したら、どうなるだろう」と。そうした想像力を働かせる人は、、、いないだろうなあ……。

 

 

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コメント

TPPが、純粋な経済協力協定だったらアメリカが入ろうがイギリスが入ろうが大して問題にはならないと思います。でも、TPPには政治的項目が紛れていてそれが問題視されていたのです。その政治的な項目を日本に対して強制できるのは、アメリカ以外にないだろうという現実がある。いくらイギリスが大国でも、日本政府が対アメリカの様に唯々諾々と従うことは考えられないので、静観しているのでしょう。

そのうちアメリカも、TPPに加入したいと言い出しますよ。そして交渉のやり直しでごねる。いや、TPPよりもっと大きな貿易協定を持ち出すかな。
だから今のうちイギリスとつるんだ方がいいと思うな。

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