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森と林業と田舎の本

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2021/06/16

気持ちが悪くなる木造建築

「ウッドショックからウッドチェンジへ」

そんなキャッチフレーズがある。森林林業白書の公表や、5年ごとの森林林業基本計画とか、木材利用促進法の改正などなど、林業関係の発表にちなんだ林野庁からコメントに登場するのである。

まあ、キャッチフレーズとしては悪くない。木材価格高騰で騒がれるウッドショックを、木材利用促進にチェンジしたい気持ちもわかる。林業振興、山村再生、それに世の中、これからは「脱炭素」ですから……。

だが、へそ曲がりな気持ちがムクムクと湧いてきた(笑)。木材のどこがそんなにいいんだ、とにかくネコも杓子も木材に変えればいいのかよと、思ってしまう。木材を経済や環境問題の道具として取り上げるが、その前に木材の良さを感じているのか。人間の官能が木にどんな反応をするのか考えたのか。いや、誰でも木材は気持ちいいに決まってる、目にしても触っても、臭いを嗅いでもみんな木の家が好きじゃないか……と自明のようにいうが、それは怪しい。

そして、気持ち悪い木造建築だってあるんじゃないかと考えてみる。木をたっぷりつかっているけど、なんか違和感があるとか、似合わないとか。それがデザイン上のことなのか、使い方を誤っているのか。

そこで自分の経験上、気持ち悪かったのはどこのどんな建物か記憶をたどる。
一つ浮かんだ。あれだよ、あれ。和を究めた……なんて言い方をしていたあの建築は気持ち悪かったぞ。

建築物を名指しするのは申し訳ないが、出さなきゃ伝わらないだろう。

京都迎賓館である。外国人の賓客を迎えるために、京都御所の一角に建てられた、あの建物。気張って日本の木の文化を伝えるんだ、と木造の和風建築なのだが。

私は見学する機会があったのだが、その時に感じたのは、なんか温泉旅館ぽい。和の雰囲気が全然ないというか輪郭がぼやけている。大味で繊細さが感じられない。使われた材料は最高級なんだよ。また随所に職人業は光っている。木組みや加工部分だけでなく、刺繍やら彫り物やら。漆芸もあったかな。しかし、なんか建物としてはしょぼい。安っぽい。

これが日本文化だと言われたら情けなく感じる。(※個人の感想です。)

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だだっぴろい。天井が高い。床材はWPCなのかテカテカ光っている……。

仕方なかったのかもしれない。外国人向き、それも団体さんのケースが多いだろうから、天井を高くして広間も大きく取って。土足で上がることもあるからプラスチックで固めた床にしたのかも。でも、なあ。

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この天井張りも、気持ち悪い。長さ10メートル近い吉野杉をつかっているのだから、ものすごく贅沢なんだけと、胸がざわざわする。だらりと無節の木目が伸びているのは、冗長な感じだ。(※個人の感想です。)

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この表具は職人業だ。3枚の障子の木目が、脇に寄せて合わさったときだけ見える、揃った木目。でも……その外には金属サッシのガラス戸があるんだね……。職人業を全体のデザインで殺しているような。(※個人の感想です。)

実は、この迎賓館は鉄筋コンクリート建てだった。内装だけ木質にしたのである。それも外国人要人を迎える前提で耐震耐火を考えると仕方ないのかもしれない。しかし、素人でも「コンクリート製なんだな」と見破れるというのはいかがなものか。それに気づかぬような工夫はできなかったのだろうか。

外国人には、これぐらいでいいだろ、となめていません?(※個人の感想です。)


実は、この迎賓館を訪ねる少し前、同じ京都の二条城を見学していた。いうまでもなく、御所の近くに徳川幕府の威信をかけて建てた城であり、江戸時代の代表的建築だろう。そして大政奉還の舞台にもなったことで知られる。
入ってすぐに感動した。これが和の建築か。木の文化か。粋を感じたね。古さとかは関係ない。建物から染みだす威厳があった。当時の日本人の身長に合わせているからか、造りは全体に小振りな印象を持ったが、実は壮大な世界観が広がっているように感じて圧倒された。
それと迎賓館を比べるのは……ちょっと失礼か。

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もちろん京都迎賓館を見て、感動する人もいるんだろうけどね。好き嫌いは個人の感性によるから、いろいろな感想があるだろう。でも私は、げっそりしたよ。底の浅さを肌で感じてしまった。理屈じゃない、五感で感じる違和感。

ウッドチェンジと言ったって、高い材料をツギハギに使えばいいわけじゃない。「こんだけ木材使えば満足かい?」という態度が見えしまったら、台無しになってしまうんだよ。

もちろん、これは個人の感想です(^^;)。

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