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森と林業と田舎の本

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2021/06/03

「バイオマス白書2021」で見えたイヤな未来

森林林業白書に続いて、今度はバイオマス白書。ただし発行元は官庁ではなく、NPO法人バイオマス産業社会ネットワークである。

バイオマス白書2021 サイト版

紙版もあるが、ネットでも読める。毎年読んでいて、いかに日本のバイオマス発電が歪んだ方向に進んでいるか痛感させられているが、今年は、いよいよアメリカに続いて日本もパリ協定に参加して目標を定めたことから、再生可能エネルギーの中でもバイオマスエネルギーに目が向けられることが意識されている。2050年に二酸化炭素排出ゼロの目標には、カーボンニュートラルが売り物のバイオマスエネルギーが欠かせない。しかもいろいろあるバイオマスの中でも、バイオマス発電色を濃くなってきた。

全般の状況やFIT価格の問題などは、ぜひ内容を読んでいただければと思う。

私が、コラムのいくつかのテーマの中で目に止まったのは、広葉樹利用だ。

今、国も自治体も、急に広葉樹林業、広葉樹利用を声高に唱えだした。私は、この動きよりはるかに前から広葉樹材に注目せよ、と言ってきたと自負しているのだが、現在の動きに関しては喜ぶどころか危惧している。

私の推している広葉樹利用とは、あくまで用材であり、広葉樹材は針葉樹材より硬くて人気があり高く売れるからなのだが、今の政府の主張はそうではない。(はっきり打ち出してはいないが)あきらかに広葉樹材のバイオマス利用を指向している。
そう、バイオマス発電所はたくさんつくったものの燃料不足、つまり燃やす木材が足りないのだ。そこで人工林の針葉樹材ではなく、里山林や天然林を伐って燃料にすればいいんだ、日本の森林の6割は広葉樹林なんだ、人工林の針葉樹材にこだわることはないんだ、伐っても萌芽更新してくれるから再造林の心配もいらない、広葉樹を全部チップにして燃やそう……!(と叫んでいる某者の姿が私の脳裏に浮かんだ。)

おぞましい発想である。そもそも天然林と二次林の区別もせずに、施業方法だってほぼ皆伐方式だろう。

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某地の広葉樹チップ工場

「広葉樹林のまちづくり」というきれいな言葉に騙されるな。今でも使い道のほとんどは、製紙チップ(ならまだましだが)か、燃料チップだ。もし本気で広葉樹材の利用を考えるのなら、専門の伐採技術を確立させ、木工産業と組み合わせなくては成り立たない。そこまで考えて「広葉樹利用」を言わないと、バイオマス業界に飲み込まれるよ。

 

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コメント

NPOの目的は何なのでしょう?
隠れ蓑かな?
でも、名前からしてどうかな?と思いますね。(笑)

針葉樹一斉林では難しい恒続林(非皆伐施業)が、天然や二次林を問わず広葉樹林では可能(なはず)なんですが、ご指摘のようにバイオマス利用のための皆伐しか考えていないんでしょうね…法正林(皆伐再造林)自体は悪いわけではないのですが、画一的にどこもかしこも皆伐一辺倒ではとても持続可能な資源とはいえないですね

今、対象としている広葉樹林とは、すでに森として成立していて、とくに使い道もないとされる里山の雑木林や天然林ですね。
今から植えて育てた広葉樹林を、バイオマス利用しようという動きとは違うかと思います。

いずれにしろ森林生態系からすれば持続的とは言い難い広葉樹利用です。その点は、この白書にも繰り返し触れているところです。

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