どうなる、鳥獣害対策とジビエ
2007年に制定された鳥獣被害防止特別措置法が、今国会で改正されるはずだった。もうすぐ国会閉じるが、どうなるのかな? 反対意見があるとは聞かないから通ると思うのだが。
これまでの特措法に基づく支援は、市町村が計画を作成して、国は「鳥獣被害防止総合対策交付金」を支払う形で実施していたが、シカやイノシシなど野生動物は、市町村の区域にまたがって生息するため、改正案では都道府県の関与を強化する予定だそうだ。まあ、それはそれでよいが。
今以上に駆除を進めたいというのが前提だろう。
それと関係あるのかないのか、朝日新聞にジビエの記事が載った。
実は、私も取材を受けている。上記の記事は小さくて読めないだろう(笑)から、私のコメントのある部分だけ拡大。
ようするに、ジビエと鳥獣害対策は別よ、ということだ。このコメントを取るために、わざわざ生駒まで来た記者さん、ご苦労さまでした。ちゃんと「『獣害列島』などの著作がある森林ジャーナリストの」という肩書をつけてくれた。
まあ、初めは電話かZoomか、メール交換か、と提案されたのだけど、私は「来てください!」と言ったのであった。記者もコロナ禍で動きたいのに動けないという気持ちを持っているから、「取材相手から来てくれと言われたら、不要不急ではないですよね」と上司を説得できるというものだ。そこまで読み取っての要請である。これを忖度という(笑)。ちなみに記者は、PCR検査を受けているそうだ。
ともあれ、ジビエの話のはずが、ほとんと獣害の話ばかりしたのだが、数を追う対策は、肝心の害を減らすことにはつながらない。まず必要なのは、鳥獣の生態や被害の実態、そして捕獲技術を調査研究することだ。その上で目的を明確にする。獣害の場合なら、「農家の被害を減らすこと」である。殺すシカとイノシシの数を増やすこと、ではないはずだ。
さもないと、単に木材生産量を増やすことばかりに熱中して、肝心の林家を瀕死に追い込んでいる林業界の二の舞ではないか。
加えて、駆除個体とジビエに回す個体は別物であることを認識すること。ジビエを普及したければ、粛々とやればよい。しかし、それと獣害を減らすこととはつながらない。
おそらく現場レベルでは、駆除とジビエは両立しないというか、別物とわかっている(わかっていないのなら、単なるアホ)と思うのだが、引っ込みがつかないのではないか。世間的にも、単に駆除して捨てました、では反発買うから、資源として利用しましたという体裁を取らねばならない(と想像している)。
……なんてこと、話したんだけどなあ(^_^) 。
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