ガボンの巨大「カーボンクレジット」
中央アフリカの国ガボン。そこで驚きの計画が発表されている。
Next Africa: As Oil Fades, Gabon Bets on Its Forests
ガボンは予算の半分以上を占める収入源として森に賭けるというのだ。
森林を伐採して開発をする……ようなギャンブル計画ではない。アフリカ保護開発グループに70万ヘクタールの土地の帯を持続的に開発する権利を与えたのだ。このアフリカ保護開発グループ〔African Conservation Development Group 〕とはどんな存在かわからない。アラン・バーンスタインという人が創業者兼会長とあるから民間企業のよう。そして「持続的な林業」「農業」「エコツーリズム」「インフラ整備」などの部門を持っている。また傘下には、生態学、野生生物観光、持続可能な林業、自然資本評価、気候ファイナンス、カーボンオフセット市場の分野で世界をリードする専門知識を持つ人材を揃えているのだそうだ。
とにかく、広大なコンゴ盆地の熱帯雨林の一部を保護することでカーボンクレジット債券を得る計画らしい。見返りとして、ガボンはエコツーリズム産業と持続可能な広葉樹伐採事業を行うことを望んでいる。
カーボンクレジットは各地で行われているが、たいてい決まった森林を伐採開発計画から防ぐために行われるものだった。だが、今回のガボンは、複数の土地利用でより広い地域を保護するための計画だ。ガボンはすでに森林保護に関する以前の合意に基づき、1週間に1700万ドルを受け取っているとか。
あまりにも壮大な仕掛けなんで、日本人には理解しづらい(^^;)。ただ森を預けてカーボンクレジットでこれだけの資金を得られるのなら、日本もいっそ預けた方がいい。赤字垂れ流しの林業より、上手く経営してくれそうだ。
いくつか謎の言葉がある。「世界で2番目に森林に覆われた国 As the world’s second-most forested nation 」とはどういうことか。面積ならロシアやカナダ抜きに語れないから、ここでいう森林とは熱帯雨林のことだろう。熱帯雨林ならブラジルに次ぐか?ガボン一国ではなく、コンゴ盆地の熱帯雨林のことかもしれない。アマゾンに次ぐ中央アフリカという意味かな?
もう一つ、ガボンの環境大臣はイギリスの植物学者リー・ホワイトとある。外国人が大臣をしているのか。それも学者が。そんな融通が効くのも面白い。
そして大臣の発言「私たちがコンゴ盆地を失うと、気候変動との戦いに負けます。国として、私たちはアイデアを推し進めようとしています。排出量を削減するために支払うのではなく、排出量を吸収するために支払うのです」。
世の中、どんどん動いている。アフリカも大きく変わりつつある。
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