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森と林業の本

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2021/07/05

夢のある土壌で炭素固定技術?

気候変動を抑えようと再生可能エネルギーを増やそうとメガソーラーを建設したら、気候変動の一つの豪雨で土石流発生とか、鬱陶しい話題ばかりが続く。

そこにこんな「夢のある二酸化炭素固定」技術はどうだろう。

森林総合研究所 立地環境領域・土壌特性研究室の藤井一至主任研究員が「熱帯荒廃地の炭素貯蔵を高める人工土壌のデザイン」という研究を進めているそうだ。これが国内の脱炭素プロジェクトとして注目されているという。

熱帯の天然林を農地に開拓すると、その後作物は育たなくなり熱帯荒廃地になる。それを放置すると草原になって、やがて二次林になる。
その過程の土壌変化を約30年間調べたところ、急に土壌が有機物を蓄積する現象を見出した。これを「土壌の酸性化と植物と微生物による適応機能」と名付けている。わかる?

メカニズムは、土壌の酸性が高まるとリグニン分解酵素が活性化して、木質を土に変えてしまう。だから土壌酸性化が土壌生成の駆動力になるのてはないか、というもの。わかる?

現在進めている研究テーマは「土壌酸性化の条件下で微生物群集の最適化を研究し、人工土壌を作製する可能性を探る」ことだそう。たとえば土壌作成の加速化技術や、コーヒーかすやヤシガラかすなどの“都市ごみ”の一部を土壌にすることも考えられるらしい。都市ごみの再利用や削減にもつながるわけだ。わかる?

私はあんまりよくわからない(^^;)が、ようは痩せている熱帯土壌を肥沃な土壌に変えてしまえば、そこに炭素を貯蔵できるから、大気中の二酸化炭素削減にも役立つよ、という遠回りな計画。脱炭素を至上課題とする日本が飛びついているわけだ。

 

ちなみに私も、ボルネオの熱帯雨林の土壌を採取して、日本に持ち帰ったなあ。さらさらの赤茶けた砂だった。ラテライト土壌とか言ったっけ。今も自宅のどこかに眠っているはずだが。

熱帯雨林の土壌は数センチしかない。非常に有機物の分解が早くて貯蔵するヒマがないのだそうだ。いわゆる腐葉土がない。
温帯だと腐葉土やら有機物を含む土壌は数メートルもあるのだから、炭素量は温帯林の方が多くなる。地上のバイオマスは熱帯の方が多いが、地中も含めると、温帯の方が熱帯の2倍になるという。

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ボルネオ・ランビルの熱帯雨林の林床。落葉がいっぱいあるように見えて、土壌はスカスカ。

しかし、温暖化が進めば、肝心の腐葉土もどんどん分解してしまう。

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