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森と林業の本

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2021/07/20

崩れにくい山は……これだ!

熱海の土石流を例に出すまでもなく、近年は毎年のように山崩れ・土石流が発生している。

では、山崩れを起こしにくい山とは、どんな山かと考えてみた。さて、みんなのご意見は。

034 十津川村の山崩れ

山の表面を森が覆っていたら起きないのか、と言えば、そうでもない。大規模な山崩れの場合は、森ごと崩れる。むしろ森、つまり樹木の重みが崩壊のきっかけになるケースだってある。樹木って、一本で1トンを超すような大木もあるし、樹根が張りめぐらされているのも、むしろ表土を剥ぎ取る力になることだってあるだろう。深層の岩盤から崩れる、いわゆる深層崩壊の場合は、表面の草木は関係ない。もっとも、表土と深層の接地面に水が流れ込むのには、草木の根っこも関係あるかもしれないが……。

で、気がついた。もっとも崩れにくい山とは……。

はげ山だ! それを端的に記しているのが、このホームページ。

はげ山では、毎年土が流れ出て山くずれはおきない

「水と土と森 谷誠ホームページ」である。京都大学名誉教授にして森林総研出身者。実は、私も「森と水」がらみの記事を書くときは、度々お世話になっているのである。

で、理屈は簡単、はげ山は毎日のように小さく崩れているから、大規模な山崩れは起きない・崩れる土砂がない……のであった(笑)。
そもそもはげ山になるのは、一度崩れて森林がなくなった場合も多い。一度崩れたら二度目が崩れるまで長い時間があるわけだ。

もちろん、そんな単純に言い切ったら怒られるが、崩れた部分が排水ルートになって地中の水位を上げなかったり、土壌が再生する過程で草木も生えて根っこが広がる……など複雑な作用が崩れにくくする。でも、長期的に見れば必ず崩れる。

……これは一例にすぎないのだけど、森と水と土の関係は複雑怪奇。あまり土石流が発生したのは●×▼が悪い!的な原因を一つに絞る(それも人為のせいにしたがる)のは危険だということだな。

 

 

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コメント

禿山は毎日小規模に崩れているので、大規模にならない。成程、勉強になりました。

それにしても熱海のは完全に人災と思いますが。犯人を捕まえないのは、法律が追い付いていないからと思うのは邪推でしょうか。

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