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森と林業と田舎の本

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2021/07/28

厚生労働省の「ワンヘルス」

ワンヘルス、one health、という言葉が気になって調べてみた。

きっかけはNHKの「サイエンスZERO」で奄美・沖縄が世界遺産に指定されたことに触れたものなのだが……。

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簡単に言えば、人の健康は動物全体の健康、そして自然環境の健康と結びついている、あるいは逆に自然環境の健全さが人の健康にもつながると読み解けるだろうか。ようは、それらは一つの「健康」として捉えるべきだ、という考え方なのだが……。

そこで「ワンヘルス」で検索すると厚生労働省主催のセミナーが紹介されていた。

人と動物の一つの衛生を目指すシンポジウムー人獣共通感染症と薬剤耐性菌ー

講師は、迫田義博・北海道大学大学院獣医学研究科微生物学教室の教授。

その内容をタイトルだけを追うと、こんな感じ。
1. 人獣共通感染症とは?
2. One Healthのコンセプト
3. 鳥インフルエンザウイルスとは
4. One Healthの実践 鳥インフルエンザ編
5. これからの課題 インフルエンザを例に
6. まとめ -One Healthの実現のために

おお、これはCOVID-19、つまり新型コロナウイルス感染症そのものではないか。私も『獣害列島』(イースト新書)で取り上げた人獣共通感染症問題もワンヘルスと関わるのか。
人獣共通感染症の病原体は、野生動物と共存していた微生物であり、それが人に感染した時にどんな状況がもたらされるか。そして動物にいた微生物がなぜ人にうつるかと言えば、自然環境の攪乱がある。だから地球上の生態系の保全は、人と動物両者の健康が相まって初めて達成できるということだ。

取り上げている事例は、鳥インフルエンザだが……。

そこで気づいた。このセミナー、平成28年3月20日に開かれたものだった。2016年にすでにここまでのことが課題として上げられていたのだ。厚生労働省、思いのほか早かった。もちろん、その背景には国連などの機関が課題として上げていたのだろうが。まさにコロナ禍は予言されたものと言ってよい。

ここで気になるのは、野生動物の棲息地であり、その生態系である。その大部分が森林地帯とその周辺なのではなかろうか。

そこで農水省のホームページでも調べてみたら、たしかにこちらも扱っているが、それは主に畜産であった。畜産動物から人間に感染する心配なのだが……しかし、家畜の97%を占めるウシやブタ、ニワトリは、ある意味、保健衛生に気づかわれていて、未知の感染症を持っている可能性は高くない。やはり野生動物、森林の動物が危険なのだが……どこも触れていないなあ。林野庁のホームページでは? そりゃ、ないものねだりでしょ(笑)。

そして厚生労働省も、概念としてのワンヘルスを早くから取り上げていたにもかかわらず、コロナ禍には事前準備もなく、なすすべもない。

日本には、わりと先駆者はいるのだが、それを活かす能力に欠けるのだろうか。

 

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