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森と林業と田舎の本

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2021年8月

2021/08/31

林業界は福祉業界と一緒?

先日、某大学の建築学系の教授と会った。実は20年ぐらい前にまったく別の縁で知り合っていたのだが、久しぶりの再会。

なんでも、今や建築学の世界は木造が何かとテーマになっているのだそうだが、イマイチ木材業界、林業界の世界がわからない、というのだ。そこで私にお尋ねにきたわけ(^o^)。

まあ、雑談的に日本の林業-木材業界がどんな構造になっていて、それがこんな展開をしているのであんなヘンなことも起きる……と、私も語ったわけだ。ちょうどウッドショックも起きているから、その裏側の事情を解説したりもする。

そこで言われたのが、「福祉業界と同じだな……」。

これをどう解釈する? 社会的意義は高くて高邁な理念に貫かれているけど、実態経営は補助金で成り立っていて、経営者はウハウハだけど現場で働く人の待遇はガタガタで、それでいて「オレたち、立派なことをしているんだから、みんな応援しろよ」「なんで理解しないんだ。オレたちかいないと困るだろ? もっと金出せよ」って思っているところ?

林業も、最近は環境産業ぽく見せかけている。森林を守るために必要なんだ、地球温暖化を防ぐために必要なんだ、といいつつ、皆伐して森をなくしている(笑)。補助金をもらうのが当たり前で、補助金出なけりゃ仕事しないぞ、と逆脅しをかける。

いえ、私はそんなこと言っていませんよ(⌒ー⌒)。ただ紹介した現場の事例を聞いて、そう読み取ったんでしょう。私は、福祉業界と同じと言われたら、福祉の現場が怒りそうな気がする。少なくても福祉業界は絶対に必要だが、林業はなければないで何とかなる。

ただ似ているところはあるだろう。補助金や雇用実態もさることながら、どちらも受け身だ。福祉を必要とする人がいて、それに対応するための業界と、森林があってこその林業。自分から打って出る気概が弱い。しかし決定的に違うのは、福祉を必要とする人がいなくなれば、それは本来バンザイなのだ。しかし森林がなくなったら林業がなくなることで地域社会は崩壊しかねない。逆に言えば、林業がなくても森林は存在する。

「人が手入れしないと荒れる森林」なんて、嘘っぱちだ。森は森で人がいなくても存在できる。人の目からは荒れているように見えても、その環境に適した動植物がいて、しっかり生態系を形成しているものだ。また建築も、木材がなくてもなんとかなる。

建築業界は無から有をつくるような仕事だ。受け身ではおられない。着工件数が減ったら自分たちで仕事をつくろうとしている。だから受け身で流されっぱなしの林業界が不思議に見えるのかもしれない。

それでも建築側から木材に目を向けてくれているうちはいい。……林業側はどう受けて立つ? 建築と林業が本気で切り結ぶことはできるだろうか。

 

2021/08/30

ナラ枯れ後のヘンな樹形

気の塞ぐときもある。

そんなときは、……やはり森歩きか! と、某森林公園に出かけた。酷暑の間は抑え気味だったのだが。

そこで見たのは、こんな光景。

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なんか、ヘンな樹形だが、コナラである。ただし、カシノナガキクイムシにやられて、枯れかけていた木。かろうじて生き延びたのだが、妙な枝葉の伸び方になっている。

ちなみに2年前は、こんな具合だった。

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密林状態だったのを、ほとんど皆伐して、太いコナラだけを残していた。その周辺にはカエデなどを植えていたかな。さながら森の改造を企てていたのだろうけど、肝心のコナラの大木はナラ枯れにやられたのである。ほとんど枯れたかのように見えて、枝もボロボロと落ちていた。

幸い、完全に枯れずに生き残った。林床も、また草木が密生している。でもコナラは太い枝を落としていたから、新たに芽吹いたのは幹から直接の枝葉なのだ。

まあ、生き残ったのだから頑張ったね、とほめて上げよう(^o^)。ヘンな樹形は、サバイバーの証だ。

2021/08/29

メガソーラー会社のもう一つの罪

先に平群の「ソーラー業者の不正を追求すべき個人的事情もある」と記したが、それをここで告発しよう。

相手は、共栄ソーラーステーション合同会社だ。これはペーパーカンパニーで、大本はエバーストリームという米投資ファンドである。

まず工事を停止させられたことから、剥き出しの現場では土砂の流出が心配されている。その点を県に「応急防災計画書」を提出している(8月5日)のだが、それに目を通すことができた。

するとその内容もさることながら、その中に見覚えのある写真が使われているのだ。

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これは2枚を重ねて撮ったもの。空撮写真だが……あきらかに私がブログに掲載したものだ。

空撮!メガソーラー建設現場」これは7月22日のもの。中で紹介した写真と比べてほしい。

すぐわかる通り、「禁無断転載」としつこく空撮3枚に添えている。なぜならこれは、プロのカメラマンが撮ったもので私の撮影ではないからだ。大阪方面から京都に飛ぶため、途中で生駒山を通過するというので撮影をお願いしたものだ。あくまで好意で私が借り受けて、ブログに使わせてもらったものである。

もちろん画素数も40万画素程度に落として、通常なら印刷には使えないようにしたのだが、それを勝手にダウンロードしたあげく引き延ばして計画書に使っているのだ。だから画像そのものは荒いが、計画書添付の図面説明には使えると考えたのだろう。それも多少のトリミングをしたうえで無断で道路網を書き込んでいる。

これは、あきらかに著作権法違反だ。いくら表に出ない文書であろうと、県に提出した時点で外部流出である。しかも、どこにでもある、どこでも撮れる写真ではない。貴重な空撮なのである。

今後、どういう処置を取るか考えているが、これだけでも犯罪行為を堂々と行う会社であることがわかる。

2021/08/28

3割を保全地域化計画

「2030年までに陸域と海域の30%を保全地域とする」。

こんな目標が作られている。日本はG7サミットで「2030年に30%」という目標に合意しており、10月に中国で始まる生物多様性条約締結国会議の目標案として盛り込まれているからだ。陸海ともに30%を達成できると、生物の絶滅リスクは3割減るという試算が出ている。

日本の保護区は現在、陸域20・5%、海域13・3%だそうだ。かなりの嵩上げが必要だが、私は正直、単に保護区に指定するだけなら、そんなに難しくないな、と感じる。森林面積は6割あまり。そのうち里山林も含む天然林と言えるのを6割とすると、天然林は国土の36%。草原は5%以上あるし、山岳地帯など森林限界を超えた地域も相当ある。都市公園や神社などの境内にも自然の広がる空間はある。ざっと40~50%は潜在的に保護区に指定できるのではないか。現在は20%程度指定しているのだから、残りは30%超。それらの中で10%の地域を追加指定したら、30%を達成できるだろう。

海域はどうだろう。海岸にこだわると厳しいが、海域だから、とりあえず無人島の周辺などを指定すれば達成できるんじゃないか(笑)。

小泉環境相は会見で、今後保全地域に指定する例として明治神宮のほか、棚田などを挙げた。農地までも含むなら、もっと広がる。環境省は、23年度に国立公園や鳥獣保護区の拡大のほか、お寺や神社、企業の林など民間で管理している地域100以上を保護認定するとしている。

問題は保全の手法と中身だね。何を持って守ったことになるのか。里山の雑木林は、伐採を繰り返すことで守れる森林だし、里海と呼ぶ海域もある。農地はもちろん手を加えて維持するものだ。何をしたら保全したことになるのか。単に開発規制や人の進入規制をしても守ったことにならない。一方で国立公園の第3種地域なんて、とくに保護している様子がない。開発行為も、たいてい届け出だけでできてしまう。

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大台ヶ原の西大台地区。1日に入れる人数が決まっていて、事前予約制+有料。このように入り口には関所がある。こんな国立公園は珍しい。

2021/08/27

Y!ニュース「奈良県が止めたメガソーラー……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「奈良県が止めたメガソーラーの現場から見えてきたもの」を執筆しました。

これは書かねばならんと前から思いつつ、なかなか取材の手間や裏取りするヒマがなくて延びていたもの。いつも「思いつき」で書いているわけじゃないのよ(⌒ー⌒)。

おかげで現地に足を伸ばすこと、何回になったかなあ。炎天下、木のない山を登るのは結構きつい。しかし、また行かねばならんなあ。

まだ完全に工事が止まったわけではなくて、あくまで「停止」だ。「中止」まで持って行けるかどうかが今後の山場だろう。しかも裁判も進行している。

しかし、この手の業者って、確実にヤバいことに手を出しているね。メガソーラーに限らず,バイオマスも風力も。それぞれ、本来なら「自然エネルギー」と自慢すべき内容なのに、飛びつく輩は危ない奴らばかり。環境問題に興味を持っている業者が本当にいるのかと思うとうんざりする。

実は、このソーラー業者の不正を追求すべき個人的事情もあるのだが、それは改めて書きたい。

そういや、ツイッターの反応に拙記事を要約したものがあった。

「ソーラー業者は、ほとんどタリバン」。

なかなかよろしいんじゃないですか(笑)。

2021/08/26

企業版ふるさと納税でカーボンニュートラル?

Yahoo!ニュースに「ヤフー!ジャパンがカーボンニュートラルを推進する市町村にふるさと納税をした」的なニュースが載っていた。
ものすごく手前味噌的な記事なのだが、企業がふるさと納税? という点に興味を持ったのだが……。

もう少し具体的に紹介すると、まず企業版ふるさと納税とは、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」のこと。地方公共団体が行なう地域づくりの取り組みに対して企業が寄付をすると、法人関係税が税額控除される制度である。2016年より開始していた(全然、知らなかった!)のだが、参加する地方公共団体は46道府県1,185市町村と、ほとんどだ。

ヤフージャパンは、「Yahoo! JAPAN 地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」を立ち上げて、この制度を利用してカーボンニュートラルに向けた取り組みに対して支援を行なうことにしていた。その第1弾の寄付先を決めたというのだ。それは北海道三笠市、宮城県、埼玉県、神奈川県平塚市、新潟県、山梨県、三重県尾鷲市、鹿児島県大崎町の8つの地方公共団体。寄付は総額2,5億円になる。

それぞれの取り組み内容は、リンク先を読んでくれ。海岸防災林の適正管理、藻場造成、尾鷲ヒノキ市有林の若返り、なんてのもある。

企業版のふるさと納税というのも面白いが、そのテーマにカーボンニュートラルを選ぶというのも今風。

ここで記しておくと、私はふるさと納税というのが大嫌いだ。これって、ようするに返礼品合戦になったことからもわかるとおり、誰も寄付する自治体を「ふるさと」なんぞと思っていない。欲得ずくで選んでいるだけだ。そもそも税金を自治体間で取り合う仕組みというのも情けないが、他自治体の税金をたくさん横取りできたと自慢している自治体も反吐が出る。

本当に「ふるさと」のように思い入れがある土地か、あるいはその自治体のなんらかの取り組みや事情に賛同して行うものだろう。付け加えると、微々たる個人の納税額から返礼品を出すのも馬鹿げている。

その点、企業版なら返礼品もないし、ちゃんとテーマによって選ばれる。また金額も小さくない。とくにヤフーは、審査のポイントとして「脱炭素に対する直接的なインパクトがあるか」「独自性。地域性があるか」「横展開可能なモデルとなりうるか」の3点を掲げている。アイデア勝負的な面もあって、自治体の体力とは関係なく競える。なかなか天晴れだ。(ヨイショ!)

日本では、気候変動対策に関する民間の動きは緩慢だ。こんな形で推進するのも手かもしれない。

 

 

 

 

2021/08/25

森林パートナーズの木材流通プラットフォーム

森林パートナーズ。その後ろに株式会社が付くのだが、この社名で、すぐ内容が想像がついたらエラい。

私が以前取材して、「これは!」と思って希望を感じた一つであり、『絶望の林業』の中で数少ない「希望の林業」の事例の一つとして紹介した会社である。もう少し内容に触れると、伊佐ホームズという東京の工務店と、秩父の山主(秩父樹液生産協同組合)、そして製材所、プレカット工場が結びついてつくった木材流通の会社だ。

それについてはAFCフォーラムという雑誌に記事にしている。(2018年2月号)これの11ページ目から。

Photo_20210825213001記事の冒頭

私は、この事例を拙著で触れるだけでなく、林業系の講演などでも紹介してきた。フォレストジャーナルのウッドショックの影響を受けない事業体の記事でも一部例として触れている。ようするに川上の山主と川下の工務店が直接結んだ木材のサプライチェーンなのだが、具体的な内容は結構複雑で、十分理解していただけているか心配だった。

それを森林パートナーズの社長が自ら説明したパワポ資料を発見。

森を育むプラットフォーム

これを見ていただければ、ICTを使った木材流通でいかにロスを省くかがわかってくるかと思う。ご一読ください。

ちなみに最終ページにも注目。

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ちょっとだけ気になる部分を。それは私の取材時には、社長は「山主の取り分を従来の1,5~2倍に」と力説していたんだけど、今回の資料には具体的な金額的還元分が示されていない点。そしてスタート時にはプラットフォームづくりに公的資金がほしいとする点。ここんところは取材時と状況が変わったんだろうか。また機会があれば訪れて、確認してみたいものである。

 

2021/08/24

グリーンパワー9月号に「皆伐をしない林業」

CTNF、EFM、VRH、RIL……。何の略号かわかるだろうか。

グリーンパワー9月号の記事からの抜粋だ。執筆は柴田晋吾・上智大教授。詳しくは、この写真の中から見つけてくれ。

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自然に近い林業、生体的森林管理、多様保残伐、影響低減伐採。ほかにCCF(常時被覆林業)というのもある。

ようするに皆伐をしない林業、森である状態を持続させる林業ということだ。その源流は恒続林。今や世界的な広がりを持ち出したというのである。個人的には、以前より気になっていたスロベニアの恒続林について触れていることがツボ。スロベニアの林業に関しては日本語文献がほとんどなくて、誰か調べてくれないかなあ、と思っていた。どうやらプロシルバという組織ができて、それが恒続林を推進したらしい。それはフランスやイギリスにも伝播したという。フランスでは不規則森林協会(AFI)が作られ、イギリスではプロキシバ・イギリスとなってCCFを推進した。

これらの森づくりと林業に共通するのは、皆伐をしないことのほか、異齢林であり、こまかな林分による異種混交の不規則な樹木の生え方にある。そして豊かな生態系を維持しながら、しっかり木材生産もすること。

……と、記事を読みながら内容を理解しようとしたが、なんだ、これを詳しく記した本「エコ・フォレスティング」を私は持っていて、以前読んだことに気づいた。十数年前に購入したんだ。すっかり忘れているよ。しかし、林野庁は皆伐推進の旗を下ろさないし、言い換えると十数年の間、日本は進歩していないのか。

ともあれ、日本林業は相変わらず世界の潮流から取り残されているなあ、と再確認?したのだが、いやいや、奈良県を始め、いくつかの地域では、恒続林をめざそうとしているではないか。かろうじて世界の動きの端の方に引っかかっている。これが救いかな。

2021/08/23

シカは増え続ける!

森林総合研究所の研究成果選集を見ていたら、こんな項目があった。

ニホンジカは2050年までにその勢力を全国に拡大すると予測されます

わーい、シカは増え続けるぞ\(^o^)/。。。

シカの分布を中長期的、広域的に予測しました。
その結果、生息分布確率50%以上の地域は2025年に国土の約7割、2050年には約9割を超え、新規植林地における苗木被害、成長した林分における剥皮被害が懸念される地域も拡大することがわかりました。

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シカの研究を見ていると、シカが減る要因が見つからないとある。どんな条件でも増え続けるのだ。餌が減っても、個体が小さくなるなり、これまで食べなかった植物を餌にするなりして、生き延びる。狩猟圧が高まっても、その繁殖力で乗り越える。人間様以外で、もっとも繁殖力が高いのではないか。
シカし、シカだって生態系の一員なのだから、野放図に増え続けることができるとは考えにくい。何か個体数を調整するファクターがあると思えるのだが……。 分布域が広まっても、生息数が横ばいになる可能性だってある。

やっぱり、人間様が森林環境を破壊しまくることかもしれないなあ。

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この2冊をよろしく(^o^)。

2021/08/22

世界最古の植樹、仏vs日本

こんな記事がある。

「パリ最古の木」が教えてくれること

元ネタはナショナルジオグラフィックのようだ。

「パリ最古の木」だ。プレートには、1601年に植えられたとある。ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)という木で、原産地は米国のアパラチア山脈だ。
 さまざまな理由から、1601年という数字は疑わしい。しかし、17世紀初頭、歴代フランス王の庭師だったジャン・ロバンによって植えられたことは確かなようだ。

17世紀初頭というのは、1600年の始め頃だから1600~1620年ぐらいの感覚で捉えたらよいかな。

いずれにしろ、樹齢は400年に達していると見ていいだろう。人が植えたとわかる木で、この寿命はなかなかのものだ。ただ早生樹とも言えるニセアカシアが、そんなに長寿だろうか、という疑問はある。もしかして、もうそろそろ…(゚д゚)。

ちなみに日本では、400年越えの植林木がいくつかある。

有名なのは鳥取県智頭町の「慶長杉」。誰が植えたかわからないが、慶長年間に植えたと伝わる。元号の慶長は、1596年から1615年に使われたから、この間に植えられたことになる。これが現在残るのは24本

ほかに奈良県吉野の川上村にある「歴史の証人 」。村有林にスギ、ヒノキが混在しているが、樹齢260年から400年超のスギやヒノキが生えている。現在残るのは、約400年生のスギが3本、300年生スギが7本、300年生ヒノキが52本。つまり3本のスギ樹齢400年前後というわけだ。こちらの根拠ははっきり知らないが、書き付けがあるらしい。

ほかにも記録だけは人が植えたと記された古い神社の境内の木々などはあるが、今もその木が残っている可能性となると、なかなか難しいようだ。天然生の超寿命の樹木は数多い(屋久杉など)が、人が植えたとわかる木では、この400年前後が限界か。

パリの木は、それに並ぶか、より古いことになる。この調子だと、もっと古く植えられて今も頑張って生きている木は、案外残されているのかもしれない。

2_20210822164501慶長杉

25_20210822211601歴史の証人

 

 

 

2021/08/21

シカとカモシカ……の糞

実は、昨日コロナ・ワクチンの第1回目を打った。

地元生駒市では全然予約が取れないので、とうとう大阪の自衛隊大規模接種センターにトライする。こちらはすぐに予約が取れた。

とはいえ、結構並ぶ。時間で区切っているとはいえ、おそらく一時期に数百人が集まる。それをさばく人々が見事。会場への運行バス乗り場から始まり、降りたらすぐに案内係がいて、各コーナーに誘導されて移動する。待機場所も準備してあるし、呼び出しも確実。問診から接種までサラサラと流れるように進めた。自衛隊員だけでなく、膨大な係員もいる。彼らはなんだろう、公務員ばかりではなくアルバイトなのか……。もう設置して数か月経つから、システマチックにマニュアル化されたのだろう。日本て国は、トップはオロオロ思いつきで動くが、現場の人の対応力はすごいと改めて思った。

で、私の場合は何の痛みも異常もなく、終わってから肩こりをほぐすためマッサージに行くぐらい余裕なのだが(ちゃんと医者に確認したよ)、やっぱり当面はおとなしくしておこう。ちょうど仕事も途切れた……はずが(泣)。

今日身体がだるいのは、ワクチンのせいではなく、マッサージで強く揉まれたためだろうか。

で、こんなものを紹介する。先日の大台ヶ原で見たものだ。

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どちらにも糞が写っているのが見えるだろうか。これは何の糞か。

私は、上をカモシカ、下をシカと見た。

なぜかって? わかるんだよ(笑)。ようするに勘だ。どちらもよく似た形だけど、微妙に違う。カモシカはウシ科、シカはシカ科と全然違う動物なのだが、糞や足跡、食痕は似ているから、なかなか区別が難しい。皆さんも確認してください。

 

2021/08/20

玄関先シリーズ3 ユリはなぜ咲くのか

玄関前のアスファルトのひび割れや石の割れ目などに育つ雑草?やスギを紹介してきたが、実はもっとも目立つのがコレである。

ユリだ。見つけても、そのうち花が咲いたらきれいだから、花が散ってから摘み取ろう……と思っているうちに増えて、次々と生えだした。

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一ヶ所ではなく、岩の隙間やコンクリートのひび割れ、とうとう側溝の中にまで生えてきた。

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そのうち摘み取らねばヤバい。いつからユリが雑草のようになったんだ。

と思って正確な名前を調べてみた。見たところ、ヤマユリかテッポウユリなのだが……まずヤマユユリではなさそうだ。では、テッポウユリか、と思いきや、実はテッポウユリは球根で増えて種子はつけないとわかって、こんな隙間から生えることはないとわかった。

では、何か。どうやらシンテッポウユリらしいのだ。これはテッポウユリと台湾のタカサゴユリの交配種で、園芸用につくられた品種だった。ただこちらは種子を稔らせるし1年で育つので非常に繁殖しやすい。各地で雑草化しているのはこちららしい。それにしても名前がシン?

今はシン・ゴジラやシン・エヴェンゲリオンなんぞ(次はシン・ウルトラマンだとか)が流行っているから、シンテッポウユリなのか?

いや、誕生したのは、こちらの方がずっと早いらしい。新鉄砲百合と命名されていたのだ。調べれば調べるほど、かなり厄介な外来種というか園芸種だった。一時期、勝手に種をまいて勝手に花を咲かせようという「ワイルドフラワー」緑化が流行ったことがあったのだが、その一味なのだ。その仲間にはオオキンケイギクなど特定外来生物もいるからね。

うううむ。悩むところだが、花も咲き終わったら、さっさと駆除するか。蕾のものはどうする?

2021/08/19

Y!ニュース「CO2削減の切り札?再エネの拡大…」を書いた裏話

Yahoo!ニュースに「CO2削減の切り札?再エネの拡大は可能なのか」を書きました。

正直、わざわざ書くまでもないというか、バイオマス発電を今の2倍以上にするなんて無理だろ、と直感的に思うのだが、まあ、せっかくだから数字で調べてみるか、頭の体操、老化防止、ついでに仕事もするか……というつもりであった。

それに再エネを36%~というのは、電源構成の中で原発を20%~以上にするという部分もある。が、こちらも実現不可能だろう。今ある稼働可能な原発をすべて再稼働させないといけないが、各地で反対運動と裁判が相次いでいるのだから。

それより実現可能な「二酸化炭素削減」は、結局省エネと蓄電だろう。電力需要を減らしつつ、無駄なく電流を使い回すというか配分すれば、総発電量を減らしてもよい。そして再エネを現状維持しておけば、比率を上げることになる。

これ、木材自給率と同じ理屈だ。日本の木材自給率を50%に上げようとしゃかりきになっているが、実は木材需要量がどんどん落ちているので、国産材の生産量がそんなに増えなくても割合は増えたように見える。それと同じ手を使いましょう(笑)。しかも、それが現実にも二酸化炭素の削減にもなるのだから文句ない。

 

2021/08/18

メガソーラーは石仏を壊す

奈良県平群町のメガソーラー建設現場。

工事中止をよいことに、その現場を歩くと、単に森林を伐採して造成しただけではない犯罪行為が浮かび上がる。

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これが何かわかるだろうか。

まずは全景を紹介すると。

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山を削って、ソーラーパネルの設置場所を造成しようとしたのだが、工事申請書の数値が虚偽だったことがバレて工事中止命令が出た。すでに森は伐採済みで、そのまま放置された状態だから、大雨が降るたびに崩れている。
その一角にあるのが、これだ。

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この丘の上にある石。これをよく見ると……。かつては森の中だったらしいが、今や剥き出しになっている。

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岩には石仏が彫られていたのだ。それを故意に削ったとしか思えない。このアップが冒頭の写真。見た通り、重機の、多分、ショベルカーの爪で掻き取ったと思われる。この石仏の以前の姿を探すと、「生駒の石仏というサイトにあった。平群の「裏の谷磨崖物地蔵尊立像」というらしい。ちょっとリンク先に飛んで壊される前の石仏を見てほしい。

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素朴な、風情のあるお地蔵さんである。実は生駒山にはそこここに石仏がある。街道や古道沿いのほか、森の中で見つかることもある。森を切り開いて家を建てようとしたら、石仏がたくさん出てきたので、そこに建てるのは諦めた(少しずらした別の土地に移した)人も知っている。私も道のないところで石の道標や梵字を刻んだ石を見つけたことがある。

そうした史跡を容赦なくソーラー建設が破壊したのだ。

これが悪質と思えるのは、ソーラーパネルを設置することに何ら関係ないからだ。全体を見回して、この石仏の岩が邪魔になっているようには見えない。仮に邪魔だとしたら、岩ごと動かすか、岩を割るなどして移動させるだろう。盛り土で地形を変える計画もあったようだが、破壊する必要はない。

だがそうした方法ではなく、石仏の部分だけを、ある意味ていねいに掻き取って破壊している。目的は石仏破壊そのものだったのだ。その行為は、メガソーラー建設のために必要な作業とは思えないし、手間をかける意味もないのである。

石仏の保存などで反対運動が起きたら面倒だから、存在そのものを消そうとしたのか。奈良では、どこでも工事を始めて古墳や住居跡など遺跡がすぐ出る。工事が止まると厄介だから、見つけたら壊すか埋めるんだ、と冗談半分本気半分で言われるの。しかし、この石仏に関しては、地元の人なら存在を知っているのだから逆効果だろう。もしかしたら整地を担当した重機のオペレーターがイタズラ気分でやったのかもしれない。いずれにしても文化財の破壊である。

石仏を破壊すると言えば、アフガニスタンのタリバンを思い出すが、業者のレベルの低さを感じる。

これ、もっとも怒るべきなのは、平群町であり地元自治会のはずなのだが、今のところその気配もなし。自治体の文化レベルも問われかねない。

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それにしても、伐採跡地のいたるところに伐った木を積んでいる。それが、ちょっと意外なほどていねいなのだ。これは、やはり搬出するつもりだったのだろう。となると、行き先はバイオマス発電所しかないなあ。。。

2021/08/17

海底噴火、南硫黄島が危ない!

ほとんどニュースにならないのでやきもきしているのが、小笠原諸島南方海上の海底火山の噴火。東京から1000キロ以上離れているが、小笠原諸島の南の硫黄島の南約50キロの「福徳岡ノ場」で8月13日に噴火が起こっている。

その噴火たるや凄まじい勢いで、海底火山なのに噴煙が高度1万6000メートルまで上がったとか。そして、いよいよ海上に顔を出し新島が誕生している。まだ直径1キロほどの馬蹄形の陸地なので、波に削られてしまうかもしれないが、今後噴火が続けば大きな島に発達するかもしれない。

私が気にしているのは、この噴火した新島から約5キロのところに南硫黄島があること。リンク先に飛んでいただければ、どんな自然があるか少しはわかる。固有種の楽園である。進化の実験場ともけ言われ、ミニ・ガラパゴスでもある。何しろ海の真ん中に誕生してから一度も大陸など大きな陸と接続していないうえ、人間も長期に滞在することはなかった。そもそも滞在する平地さえない島だ。生物の伝播や進化が如実にわかるのである。

気象庁のネットから拝借した写真を見てもらいたいが、ほんのすぐ側だ。

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これまで海底火山だったから、爆発が大きくても噴煙は水蒸気だろうな、と思っていたが、陸地になってそこから噴火したら火山灰も吹き上げるだろう。それが南硫黄島に降り注げば、島の環境が大きく変わる。その特異な自然が危機なのだ。

南硫黄島は、学生時代から憧れていた。まったく人が居住した形跡のない人跡未踏の地だから。原生自然環境保全地域に指定されているから、一般人は上陸さえできない。でも、行きたいなあ……と思っていた。実際、地形条件はよく似ているが、戦前少し人が住んだことのある北硫黄島には大学の探検部が上陸した記録があるのだ。

とはいえ、夢物語……と思っていたら、近年になって国の調査チームが幾度か上陸するようになった。NHKなどの番組になっているから探してもらえばよいが、なかなかのスペクタルであった。上陸時に一切外部のものを持ち込まないようにしなければならないし、平地のないような急峻な山々なのだから……。面白いのは北硫黄島の自然と比較していたことだ。その結果も面白いのだが、それはまた別に。

最悪、新島の火砕流が南硫黄島まで届くことだってないとは言えない。いや、火山灰だって1メートルも降り積もったらエラいことになる。

一方で、以前より噴火を続けて島を大きくしていた小笠原諸島の西之島も14日に改めて噴火したそうだ。こちらの噴煙は小さいが、この海域の地下で、何かが蠢きだしたのは間違いなさそうだ。今後、海底で何が起こるか。

 

いっそのこと、四国ぐらいある巨大な島でも隆起して日本の新領土になるという展開も面白そうではあるが……。

ここからは妄想だが、私は現在の温室効果ガスの増加による気候変動、とくに地球温暖化を止めるのは無理だと思っている。いかに世界中の国の人々が頑張って二酸化炭素の排出を減らしても、とても温暖化を止めるほどの成果は達成できないだろう。もはや人智の及ばない次元まで進んでいる。だが、ここで巨大火山の噴火があれば……そして噴煙が地球全域を覆えば……一気に寒冷化するのではないか?噴煙の微粒子が太陽光を遮るからだ。ただし噴火に伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの噴出もあるから、さて、どちらの効果が強いか。その前に寒冷化しすぎて氷河期みたいになっても困るのだが。

約1400万年前に、紀伊半島にあった巨大火山(熊野カルデラ)が爆発したときは、地球上の気温が10度も下がり、大量絶滅を引き起こしたという。そこまでデカいと困るけどねえ。

 

2021/08/16

ニューギニア・ダカタウア湖の日本軍

終戦日特集、もう終わるつもりだったが、探し出した写真がまだあぶれているので、もう1日だけ。

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今はパプア・ニューギニアの北部・ニューブリテン島に行ったことがある。ここの東端にはラバウルがあり、戦跡はゴロゴロあった。高射砲に飛行機の残骸に上陸用舟艇?の眠る洞窟に……。が、今回はそこから離れて、ダカタウア湖へ。これは、そこでブタ狩りをしたときの写真だ。期せずしてシルエットになってしまったが、むしろ雰囲気が伝わる。

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地図の竜の背中にニョロニョロと伸びた半島。これウィルメッツ半島というが、その先に膨らんだ部分にあるのがダカタウア湖だ。見るからに火山の火口湖である。ここにはミゴーともルイとも呼ばれる怪獣が生息するという……。いや怪獣ではなくマッサライ(精霊)だという声もあるのだが、体長は10メートルを越えるような首長竜ぽい姿が報告されている。

まあ、ようするに私は、ここに怪獣探しに行ったわけだ。詳しくは『森は怪しいワンダーランド』をどうぞ。

そしてさまざまな障害を乗り越えて湖にたどりつくと……そりゃ、素晴らしい景色が広がっていた。湖の周囲はジャングルなのだが、カルデラ湖ならではの断崖絶壁に囲まれていて、中心部に噴火口が島になっていて、そこには石器にもってこいの黒曜石が眠っている。どこまでも静かな湖面と鳥の群……と思いきやオオコウモリの群舞だったりするのだが……。そして黒い砂浜には巨大なワニの足跡がくっきり付いていた。

まあ、この湖の美しさや稀少な体験談は『森は怪しいワンダーランド』に任すとして(^^;)、実は本当に驚かされたのは、案内してくれた地元ブルムリ村の青年に、「戦争中、ここには日本軍がいた」と聞かされたことである!

えええ! 探検気分で訪れたのに、なんと日本軍が先にきて駐留していたのかい! 人数はわからないが、数十人はいたような口ぶり。何人かが病気で亡くなったとか……。日本軍の住んでいた一帯とかも紹介されたが、何の痕跡もないからわからない。
しかし、ここで何をしていたんだ。前線よりは下がっているから偵察というよりは、連合国の奇襲を警戒した見張りだろうか。海に飛び出しているから、奇襲上陸を狙う船団が来たら、真っ先に見つけることができるだろう。ただし湖側に入ると外界はまったく見えない別世界だ。ロストワールドに近い。

しかし、実際に戦闘があったとは聞かない。ラバウルは連日の出撃と空襲で戦場となり、西部からアメリカ軍が上陸して占領している。その戦闘の様子などは、水木しげるの体験漫画でも描かれている。(「総員、玉砕せよ!」)

もし、この湖に怪獣がいたら、日本軍vs大怪獣ミゴー!といったスペクタル映画みたいな展開になったかもしれないなあ。

……ところで、あまりに素晴らしく、今なら世界自然遺産に推薦しよう、と言いたくなる自然なのだが、私はこの帰りにパプアの林業大臣と知り合って泊めてもらったので、「ダカタウア湖は保護地区にすべきだ」と力説したのである。

が、帰国後何年かすると、湖まで林道が伸びたよ、日本の企業が木を伐っているよ、という情報を得たのであった。。。

2021/08/15

落下傘部隊が下りたチモール島の植生

8月15日。今日が本当の終戦記念日……だが、ある戦場では、その3日前に日本が降伏したことを知っていたという。

なぜか。第3弾は、ちょっと毛色を変えてみよう。

その前に、その「戦場」の占領時の話。戦場とはチモール島のことだ。

インドネシアの大スンダ列島の東端に位置するチモール島。(今はティモール島と表記)

ここは西チモール、東チモールと分かれていて、戦前は西がオランダ領、東がポルトガル領であった。戦後は東がインドネシア支配下から21世紀最初の独立国になったことは記憶にまだある人もいるだろう。ただ戦中は、どちらも日本軍が占領していた。ボルトがルは中立国だから、後に若干の国際問題になってしまう。

チモール島の東端にクーパン(現クパン)という街がある。州都だ。私はここに飛行機で訪れたのだが、上空から見える景色はちょっと感動した。なぜなら東南アジア的な熱帯雨林ではなく、サバンナが広がっていたからだ。私にとって、初めての景色だった。

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ここは乾燥地帯なのである。実際、見渡す限りの平原で、そこを馬で行く現地の少数民族の姿は、西部劇ぽかった。
ちなみに現地住民の中には、黒人がいた。おそらく古マライ系先住民かと思うが、東チモールにはポルトガルがアフリカから連れてきた黒人もいるというから、ちょっとわからない。またアラブ系の人も見かけて、国際色が豊かというかちょっとアジアとは外れた感覚に浸れた。

さて日本軍は、クーパンを占領するために海軍の落下傘部隊を投入した。1942年2月20日のことである。もちろん正面から陸軍も上陸したのだが、クーパン飛行場を無傷で手に入れるため背後に空から奇襲したのだ。

日本軍の落下傘部隊は、最初が海軍のスラウェシ島のメナド、次に陸軍のカリマンタン島のパレンパンが有名だが、実は3番手としてクーパンがあるのだ。戦記マニアでなければ知らないだろうから紹介しておく(^^;)。1番も2番も知らないよ、と言われたらそれまでだが。
結果として、あまりクーパンの落下傘部隊は成功しなかった。戦車に襲われて苦戦したし、飛行場も破壊されてしまったから、余計に有名でなくなったのかもしれない。

その記録写真を私は手に入れている。

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ただ海軍提供とはあるが、本当にクーパンのものであるかどうかはわからない。報道用のものは、わりと事前に準備した練習中のものを使うことが多いからね。なお、実際のニュース映画映像は、ユーチューブにアップされていた。

さて、私が見た地上の風景は、こんな具合。

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湿地が写っているが、雨期だったのだろうか。こんなところに落下したらたまらんな。

クーパンの街には、海辺に古い建物があったが、それが戦前のものかどうかはわからない。

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ここで日本軍は終戦までの3年半、占領し続ける。そして1945年8月12日を迎える。
ここで敵の電波傍受を続けていた部隊は、驚くべき情報を入手した。日本が無条件降伏したというのだ……。

さて、続きは別の機会に。※拙著『チモール知られざる虐殺の島』(彩流社)参照のこと。

 

2021/08/14

ソロモン諸島の「藪」は戦跡か

終戦記念、第二弾。ソロモン諸島の戦跡。

ソロモン諸島には2度行っているのだが、こちらは2度目。そこで訪れたのが西端のショートランド諸島。すぐ隣のブーゲンビル島はパプア・ニューギニアだが、実は独立戦争をしている真っ盛りであった。BRA(ブーゲンビル独立軍)の船もよく見かけた。

そこには、ジャングルの中に飛行機の残骸がたくさんあった。

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これらは、第2次世界大戦の時のものだ。機種は、小型だから戦闘機だろうか。複座ぽくも見えるので水上偵察機かもしれない。日本軍かアメリカ軍かもわからない。乗員はおそらく亡くなっただろうが、遺骨はどうしたのだろうか。
こうした残骸が、村の資材にもなっていた。ジュラルミンの翼を小川の橋にするとか。ヘルメットが器だったり。

驚いたのは、こちら。

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このブッシュが何?と思うかもしれないが、実は爆弾投下跡。ここに爆弾が落ちたら、地面を抉って水が湧きだしたのだそうだ。そして、そこに木が育ったのだとか。こんなブッシュがいくつもあると教わったが……。
湿地に生える樹木なのか。周りは草刈りをしているのだろうか。疑問はあるが、これも戦跡だろう。

沈船もある。湾内にいくつも沈んでいた。

そう言えば、ソロモン諸島から今回の東京オリンピックに参加した水泳選手がいる。ソロモンには競泳を練習するようなブールがない(せいぜいリゾートホテルのレジャープール?)ため、沈船から海に飛び込んで練習したというエピソードがツイッターの動画で紹介されていた。波のある海で練習と言うのは、次元が違いすぎる。もちろん天候によっては泳げないだろう。

昨日のナウルからもそうだが、世界中にはそんな選手が多かった。ちゃんとした競技用トラックのない国の陸上選手。ランニングシューズさえ手に入らない選手。

日本や欧米の選手は、メーカーが後援し、コーチはもちろん医者や気象予報士までサポートに入る(「お帰りモネ」より)。そして科学的トレーニングと栄養補給やメンタル維持。。。。
もともと私はアスリートが嫌い(!)で、オリンピック放送もまったく見なかったのだが、こんなエピソードを聞くたびに違和感が強まる。なんか、オリンピックの変質が強まっている気がする。スポーツの世界も格差社会か二極分化か。

 

 

2021/08/13

ナウルの椰子の弾痕

終戦間近だから、こんな話題。

はるか昔、南太平洋のナウル共和国に行ったことがある。当時はグアム島からナウル航空で行けた。今より便利だった(笑)。現在はブリスベーン経由だったかな?

ナウル滞在は、ほんの数日だったが、周囲20キロ未満の孤島だから、そんなに見るところもない。

で、海岸を散歩することも多かったのだが、そこで撮った写真。おそらくセルフタイマーで撮影したはず。一人旅だから。

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この椰子の木の幹には、いくつもの弾痕があった。アップで撮らなかったのは残念だが、それを残したのは、おそらく旧日本軍だろう。

ナウル島は、元ドイツ保護領で、第一次大戦後にオーストラリアやイギリスなどの委任統治領となり、太平洋戦争が始まると、日本が占領した歴史がある。占領時に戦闘があったかどうか不明だが、その後戦場になることなく終戦を迎えた。でも、日本軍が駐留して基地をつくっていたのだから、なかには射撃訓練と称して椰子の木を的に撃った兵隊もいたかもしれない(^^;)。

これも今はほとんどないと思うが、南洋の木材を輸入して製材すると、中に弾丸が眠っていて、製材機械の刃が欠けてしまったという話があるが、それも戦争の遺産だろう。熱帯木材の輸入元は、フィリピン、マレー、インドネシア、ソロモン、ニューギニア……と日本軍の足跡の残る地域が大半だ。

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こちらは日本軍がつくったらしいトーチカ跡。敵の上陸に備えたのだろう。だが、今では豚小屋になっていた。

これも戦争遺産になるかもしれない。

 

2021/08/12

コーディネーターは必要?

先日の東京の講演で、私は林業界にコーディネーターの必要性を語っていた。

林業関係者に森づくりと伐採搬出技術に長けていて、さらに市場動向を細かくチェックしており、製材に詳しくて商品アイデアを次々と思いつき、そこにマーケティングや広報宣伝、販促能力もあって……というスーパーマンはいません、分担しないとやっていけない。その代わり全体のコーディネート役がいないと上手く進まない……といった話をしたのである。

すると受講していた女子高生は、コーディネーターになりたいと言ってきた (@_@)。

しかし、コーディネーターとは何か。さまざまな各セクションをつなぐという意味では、各方面の事情を深く広く学ばねばならないし、人脈もコミュニケーション能力も必要であり、広範囲の知識と経験が欠かせない。

林業は広いよ。そのコーディネーターをやるのなら、目先の知識で踊るだけでなく、森林生態学や木材化学など基礎から学ぶべきだろう。経営に関わることなら、より必要なのは経済学や経営学であり、さらに政治学や脳科学・心理学も必要……何より各分野のキーマンに声をかけられる人脈を築かないといけない。
そう考えると、あまり若い人にお勧めしないなあ。

 

よく似た言葉にコンサルタント、略してコンサルがある。あまりよいイメージはないが……。

企業などの経営で、コンサルが出てきたら、阿漕な儲けをむさぼっているイメージが湧く(笑)。実際、私もコンサルによって痛い目にあった街づくりや経営例をいくつも見たり聞いたりしている。薄っぺらなアイデアを披露して、ガッポリ稼いでいるコンサルがいるのは事実だ。

では、コンサルタントはなくてもいいのか、と言えばそうでもなく、みんなが依頼するから存在する。コンサルがいないと進まないプロジェクトも少なくない。ようするに当事者は、結果はほしいけど、そのためのアイデアもノウハウもない、各人の間に入って調整するのも苦手……だからお助けマンとしてコンサルを求めるのだろう。その案件を俯瞰して全体像をつかみ、情報・企画のほか人材の橋渡しや紹介、交渉、アレンジが仕事と言えるだろう。まあ、下手するとアレンジどころかほとんど主催者代行のように押しつけられる例もあるが……。

コーディネーターやコンサルタント以外にも、フィクサー、ブローカー、プランナー……とさまざまな肩書が使われる。

私にも、それに近い依頼が来たことがある。ジャーナリストというのも、ようは情報屋、コンサルの仲間なのからしん。

ときにコンサルから依頼があって、コンサルのコンサルをしたこともある。また、自治体関係者から相談を受けることもある(というか、今も抱えている)。私の記事や著作を読んで声をかけてくるのだから相談ぐらいは乗らないこともないのだが、対価を払わないのなら、それは相談というより雑談になる。相手の態度によって、私の出す情報のランクは変わる。ときに思いつきアイデアをペラペラしゃべりつつ、「聞いて満足するだけ、実行しないだろうな」と心の奥底でベロを出しているのだよ。そこは阿漕なコンサルと一緒の気分(⌒ー⌒)。

私の情報とアイデアがほしいのなら、私にもメリットのある形で依頼しなさい。そして本人が本気出しなさい。そうしたら、本気で実現すべく協力するから。

先日、某テレビ局下請けの制作会社から協力してくれ、と連絡がきた。「それはビジネス?」と問うと、ある分野の情報がほしいけど、情報料は支払えないというのだ。情報は商品なのだ。八百屋の野菜をタダで持って行ったら泥棒なんだが、プロから情報をタダで取ろうと思っているから怖い。

以前、「林業は情報産業」と私は指摘したのだが、なかなか理解されない。

だったら全部自分でこなせるスーパーマンになるのが一番だね(^o^)。

 

 

2021/08/11

こんなところに天然杉苗

夏は、やたら草が生える。こんなところに?と思うような隙間にも生える。その中には、こんな苗もあった。

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う~ん。党見てもスギの苗だな。もちろん植えていないから天然スギだ。

場所は、というと我が家の玄関前。アスファルトのひび割れした隙間とか、石をセメントで積んだところの収縮による隙間とか。

草が生えてきたら、まず手で抜く。それでも懲りずに生えてきた場合は、もちろん除草剤。容赦はしない。ふふふ。

いやあ、ラウンドアップ、効果絶大だわv(^0^)。これを嫌う人、絶対損してるよ。

でも、このスギ苗だけには噴霧せずに様子見している。かけて、枯れるか枯れないかを確認してみたい気持ちもあるけれど。

どこまで育つかなあ。いや、あまり育つと否応なしに伐採するけど。

2021/08/10

混交林は木材生産性が高い?

「気候変動」と並んで「生物多様性」は、地球的課題として大きく取り上げられる。残念ながら日本では後者はあまり関心を持たれないようだが。実は両者は親和性があり、気候変動を抑えるには生物多様性を保全することが効果的だという。

ただ、生物多様性は経済的にはあんまり歓迎されないようだ。これを林業で言えば、さまざまな樹種が混在(加えて異齢)している森となるが、木材生産がやりにくくなる。同じ樹種の木材を大量に収穫できないからだ。それに皆伐などができずに作業効率も落ちる。スケールメリットがなくなり経済性を劣るように感じてしまう。

だから混交林や異齢林を嫌がり、スギ一色、ヒノキ一色の人工林をつくりたがるのだろう。

ところが、こんな研究が出ている。[Fores-Try

南ドイツを中心としたヨーロッパの単純林と混交林を比較した研究では,その最大本数密度が混交林で高くなることが示されました。

立地環境と樹木の平均サイズが同様である単純林と比較して,なんと混交林では平均16.5%も高い最大本数密度を示すことが分かりました。

どうやら混交林には樹木間の競争を緩和したり、成長を高め合ったりする相乗効果があるらしい。それは「すみわけ」とか「助け合い」があるからだという。つまり、混交林の方が、木材生産力が高いことになる。
同じ面積で16%以上も木材生産が増えるというのは魅力的ではないか? まだ作業効率の点は残るが、だいたい皆伐を前提にするのが間違っているように思う。

また植物の多様性は、農業生態系における殺菌剤耐性の進化的発達を改善する効果もあるらしい。ようするに、恐ろしい病害虫が出てきづらくする可能性がある、と考えていいのかな? 

たしかにスイスで見た林業地は、日本人には雑木林にしか見えなかった(笑)。だが、ちゃんと木材生産しているらしい。

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実は、日本でも戦前は一斉林はそんなに多くなかった。一斉林にするには密植しなければならない。一方で疎植にすると、間に必ず広葉樹などが入ってきて混交しだすからだ。また密植で有名な吉野では、スギとヒノキを混ぜて植えていた。生長速度が違うので、こまめな管理が必要だろうが、吉野はそれを苦としなかったのだろう。生産力を増す方が得だと見切っていたのかもしれない。
だいたい皆伐だって、そんなに大きな単位ではしなかった。1町歩単位なら、モザイク林になるから異齢林に近い。

それを戦後は全部ぶち壊してしまった……と思うと戦後の林政の大失敗の根源は混交林を止めたことにあるのかも。

 

2021/08/09

東京にて考えた

実は昨日から東京に行っていた。

もう、戦々恐々。新幹線を降りてから、マスクをキュッと鼻ガシラに押さえつけて、息もしない(ほどの)覚悟で、目的地に向かう。

生駒を出たときは青空でとてつもない熱気に包まれていたのだが、関東は台風で荒れている。空を見上げると……

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新型コロナウイルスが空気中にウヨウヨしているではないか! (雨粒か……)

コロナ禍蔓延に、台風だよ。おまけにオリンピック閉会式だ。人は集まるのかね。。。それでも講演会場にたどりつくと、意外やぎっしり。これでも減った方なんだそうで。
なんでも朝から水産業に農業の講義をみっちりやって、私の林業編が最終だそう。約8時間もの勉強したら、疲れているだろうに。すでに農業でも水産業でも絶望的な現状を聞きましたから……というから、私はトリでしっかり「絶望」させねば。それで目が覚めるだろうか?

その中には女子高生もいた。事前に自己紹介と質問をメールでいただいていたのだが、「なんで、ここまで林業に入れ込むのだろう?」という思いがこびりついている。林業にその魅力ありや? 林業にその資格ありや? そもそも、その歳で将来を決めていいのか?
そして林業側は、そうした外野の熱い視線に甘えていないか。それが改革の足を引っ張っていないか。

林業に向ける熱い外野の視線は、林業を堕落させる覚醒剤かもしれない。

 

終わると、夜8時を回る。食事をするところはあるだろうか……と街を歩くと、案外と居酒屋などは開いている。酒は飲まなくてもよいから食事を……と覗くと、なんと満席! 酒もじゃんじゃん飲んでるやん。これではコロナ感染者も減らないわなあ。

私は、おとなしくテイクアウトしてホテルでボソボソと食べましたよ。トホホな晩飯だけど。

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コロナウイルスを生駒に持ち帰っていないことを祈る。

 

 

2021/08/08

外国資本による森林買収に関する調査

まだやってんの? と言いたくなるのが、林野庁の「外国資本による森林買収に関する調査の結果について」。

外野がうるさくて、止められないんだろうなあ。でも、数字を見ると毎度のことながら無意味さを感じる。

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合計12件、22ヘクタール。

平成18年から令和2年の事例の累計は278件、2376haだそうで。相変わらず1ヘクタール未満も多いし、はっきり別荘建設としているものまで森林買収に入れるべきかね?
なお、国内の外資系起業と思われる者による森林買収は26件、404ヘクタールである。こちらの累計は240件、5765ha。

詳しくはリンク先へどうぞ。

せっかくだら、国内の森林取引の実態も合わせて報告してほしい。そして外国資本と対比させたら、その規模が一般にも伝わるのではないか。1ヘクタール未満を入れたらちょっと多くなりすぎるかな……昨年はプライベートキャンプ場にするための森林買収が伸びたから、その影響も見てみたい。
どうせなら使える・考えさせる報告にするべきだ。素人は、1ヘクタールの土地……ええと、3300坪か、そんなに広い土地が外国人の所有になっちゃったの~と住宅地と同じ感覚で見てしまうだろうから。

だいたい森林の取引を増やして流動性を持たせることが、林業にもプラスに働くと思う。目的はなんであれ、所有者が移ることでマネーフローが増えて関心も向く。そして、金を払って手に入れたら寝かすことはあまりなく、何らかのアクションを起こすだろう。それが林業的なものか、プライベートな趣味なのか、まったく新たな事業なのか。

 

 

2021/08/07

「現場主義は麻薬」

朝ドラ『お帰りモネ』を見ているが、あんまり面白くない。気象予報の世界を多少かいま見られる点はよいとして、主人公が真面目すぎてつまんない(笑)。ま、朝の惰性でテレビをつけているが。

ただ昨日だったか、「『あなたのおかげで助かった』という言葉は麻薬」というフレーズが出てきて、思わずにんまりした。

いや、このドラマがどうだと言いたいのではない。全然関係ないフレーズを連想したのだ。それは「現場主義は麻薬」である。

マスコミの、それも報道的な仕事をしていると、現場を訪ねること、見ること、話を聞くことの重要性を繰り返し訴えられる。私も若い頃から自身に言い聞かせてきた。そして「現場を知らないと、わからない」という論調を信奉する。

が、今の私は鼻先で笑っている。そして思うのは「アホは現場を見てもわからない」。

念のためだが、現場を取材することが無駄なんではない。いや現場は大切だ。現場を踏まずして取材にはならないのは言うまでもない。ただ現場は必要条件であって十分条件ではない。現場でわかった気になることが危険なのである。

現場を訪ねると、何だか他人の知らないことを知った気になる。情報より体感が重要になる。そして現場で知ったことは正しいと思い込みがちだ。ドラマ内のセリフ的に言えば、「単純に(現場を知らない人より優位に立った気がして)気持ちいいでしょう」となる。

それが局所的な事件だけを追いかけているのならそれでよい場合もあるが、社会現象的なものを読み取ろうと思ったら、自分の訪ねた「現場」の圧倒的なリアリティに飲み込まれてはダメだ。自分が見たから、自分が聞いたから、正しいと思い込む落とし穴に落ちる。

それはオレは幽霊を見た、だから霊魂は存在する。オレはUFOを見た、だから宇宙人は地球を訪れている、というのと変わらない。だいたいフェイクニュースが蔓延している世の中で、「自分が見た」ことの信憑性はどんどん下がっている。
それに現場に行っても、あらかじめ想定した結論に誘導することも無意識に行いがちだ。いわゆる認知バイアス(都合のよい情報だけを集める・都合の悪い情報は聞かなかったことにする)に囚われる。本来は事前の情報と違うものを見つけなくてはならないのに、意外とそれが難しい。

現場取材で話を聞けるのは、せいぜい数人。それで世界を語るなよ、ということだ。数百人ぐらい取材したら、統計的な意味も出るだろうが。
それに、見た(聞いた)内容から真意を読み取る力も重要なんだが、実は視覚や聴覚・触覚などのインパクトが強いと中身の吟味が難しくて表面しか見えなくしてしまう。これも無意識のバイアスなのだろうか。

たまに、たった一回の取材で裏に隠された本質を見抜く目の持ち主もいる。そういう人は莫大な背景の知識を持っているのだろう。そして自分を突き放した視点がある。だから正反対の情報・意見も網羅し、現場でも世間の常識と違う情報を積極的に探す。自分の意見さえ信じず、あっさり引っくり返す。

……だんだん話が大きくなってしまったが、ここで報道論や取材技法を語ろうというのではない。ハマる、ということの危険性を感じるのだ。いかに客観的視点を維持しつつ論理的思考を行えるか。最近、そのことを模索している。そして。

往々にして、真面目な人間ほど麻薬にハマるよなあ、と永浦モネちゃんを見て思ったの(笑)。

 

2021/08/06

森林は二酸化炭素を吸収する?排出する?

こんな記事が出ている。

アマゾンの熱帯雨林は現在、吸収量より多くの二酸化炭素を排出している。ブラジル研究チームが発表

ブラジル国立宇宙研究所が率いる研究チームは2010年から2018年に掛けて、アマゾンの熱帯雨林の上空4.5キロの高さで、約600回にわたり二酸化炭素濃度と一酸化炭素濃度を測定する調査を行った。その結果、熱帯雨林は吸収量より多くの二酸化炭素を排出していることが判明した。その量は年間10億トンにも上るという。また、アマゾンの熱帯雨林の東部は西部より二酸化炭素排出量が多く、特に南東部は大幅に増加していることが分かった。

問題は、その理由だ。実は以前にもおなじような記事を紹介した記憶があるのだが……そちらとは理由が違う。
前回は、気温上昇によって、植物の光合成能力が落ちる一方で呼吸量が増えて、二酸化炭素の排出の方が吸収より増える、というものだった。

今回の元ネタは「ネイチャー」であるが、ようするに森林伐採と野焼きを原因としている。そして森林の減少が雨の減少につながり、気温が高くなることで森林の劣化が進む……という指摘もしている。

実は、もう一つの「森林は二酸化炭素を排出」論がある。その研究は複数あって、どこに論文があるかすぐには見つけられないのだが、理屈は簡単。気温が上がると、土壌中の有機物の分解が早くなる、ということだ。これは熱帯より温帯、亜寒帯の森林に言える。なぜなら腐葉土として多くの有機物(炭素)を土壌に溜め込んでいるからだ。それをどんどん分解されたら、植物の吸収する二酸化炭素よりずっと排出の方が多くなる。つまり地上は吸収源の森林が、地中で排出源になるという、そして排出量の方が多いという状態。

結局、3つの理屈より、森林が排出源になることはあるわけだ。アマゾンのような熱帯雨林では、そもそも土壌内の有機物はすぐに分解されているので、改めて増えるほどではないかもしれないが。

そして、それぞれの効果の有意性に関しての科学的評価は私の手に余るのだが……少なくても「アマゾンは地球の肺」なんて言葉は使わない方がよさそうだ。

本当は日本の森林のケースはどうなのか。とくに人工林は、二酸化炭素の吸収と排出のどちらが多いのか。どこかに計測した研究はないだろうか。私は日本だって怪しいと思っているのだが……。

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写真は、腐葉土をひっぺがしてみたら、白い菌糸がいっぱい広がっていて、落葉を分解していたもの。菌類は森の分解者としての役割を果たしているんだが、この過程で二酸化炭素を排出しているんだろうなあ。

 

2021/08/05

自著に「林業本」は何冊ある?

もし森林がなくなったら、森林ジャーナリストは成立するか……という命題を考えてみた。

昔話を語るしかなくなるな……。ただ林業はなくなっても私は平気(^_^) 。林業界記者ではないからね。

改めて宣言しておくと、私は「森林ジャーナリスト」だ。よく肩書を間違えて「林業ジャーナリスト」とか「林業ライター」と記されることがあるのだけど、その度にムカッと来ていることをここに表明しておく。

私は森林を語る過程で、(とくに日本の)森林は林業の影響を外して語れないと思ったから林業についても深く足を踏み入れた。現場で下刈りから地ごしらえ、植林、間伐、枝打ち……と一連の仕事も一通り体験させてもらったし、聞き取りもかなりの人数行った。おかげで一時期林業にハマったこともあるのは白状しよう。
が、それも含めて、森林を語る前提としての林業である。林業は森林の必要条件ではあるが、十分条件ではない。だから「森林をよくする林業は応援するが、森林を破壊するような林業はとっとと退場してもらいたい」と常々言っている。

そこで自著を総点検した。私の著作は約30冊ばかりある。ほとんどのタイトルに「森」という言葉が入っているが、実は林業だけをテーマに記した本はほとんどなかった。森林のことを書きつつ、そのうちのいくつかの章が林業に触れているという構成なのである。
また、まったく森林とも林業とも離れた著作もある。

著作一覧を見てほしい。ほぼ処女作の『不思議の国のメラネシア』は旅行記。『チモール知られざる虐殺の島』は国際紛争問題。
田舎で起業!』『田舎で暮らす!』は田舎暮らしと地域づくり系。
森を歩く 森林セラピーへのいざない』や『ゴルフ場は自然がいっぱい』は、森林の利用系か? レジャー系かもしれない。 
樹木葬という選択』も森のオルタナティブな利用だろう。お墓本でもある(^o^)。
森は怪しいワンダーランド』は、森とはいうものの、探検記の要素を加えたエッセイ集だ。
そして『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』は伝記というべきか。実は『山は学校だった』も伝記系。
ほかにも『元気になる! 日本の森を歩こう』と『生駒山 歴史・文化・自然に触れる』は共著だが山のガイド系か。
鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』『獣害列島』は動物系。ほかに『イノシシと生きる』なんて共著もある。
そのほかの本は、多くが森林系だ。

こうして見ると、はっきり林業にテーマを絞って書いた本は、『森林異変』と『絶望の林業』の2冊だけだった。ただし、『だれが日本の「森」を殺すのか』は木材建築系ともいうべき林業の派生分野。『割り箸はもったいない?』も、林業分野の一部に焦点を絞った拡大版。

つまり林業本は、2冊、範囲を広げても4冊にすぎない。

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そして上記2冊を見てもわかるとおり、私が林業だけを書くようになったのは「とっとと退場してもらいたい林業」が増えたからなのである。その状況が変わらぬ限り、今後も林業批判を続けて行くことになるだろう。その時ばかりは、森林ジャーナリストではなく林業批判ジャーナリストかもね。(業界の明るい話題ばかりを探してヨイショ記事を書くような輩はジャーナリスト失格だから、言語矛盾だけど。)

そして、また新たな分野を模索している最中である。

 

2021/08/04

全然わからんけど「自然関連財務開示タスクフォース」

自然関連財務開示タスクフォース(TNFD)というのを知っているだろうか。

国際的な金融の仕組みづくりなのだが……日本では、おそらくほとんど紹介されてないのではないか。

具体的には、企業や金融機関が自然への依存度や影響を評価、管理、報告するための枠組みを検討するための国際イニシアチブ、だという。自然関連のリスクを測定し、世界の資金フローを自然環境に対してポジティブにしていくことを目指している。
……私もよくわかっていない(^^;)。全然具体的じゃないな。

もともとは、今年6月に英国で開催されたG7サミットで採択された「2030年自然誓約」に基づく。生物多様性が失われている中で、30年までに自然の損失が進む流れを反転させ、「ネイチャー・ポジティブ」にすることを宣言したものだ。この点については、私も紹介している。

ほとんど知られていない国際的な「自然への誓約」

ともあれ、この誓約を受けて「自然関連財務情報開示タスクフォース」が発足したのだ。企業が事業活動を通して自然にどれだけ依存し、影響を与えているかを把握し、開示する枠組みをつくる役割を担う。最終的な成果は、環境リスクや影響を可視化し、自然や人々にとってマイナスとなる資金の流れを減らすことだという。

ようするに森林や農地、海洋などの自然資源の持続的な利用に際して、金融界と産業界が「自然資本」に十分投資することが重要だとした。
運用資産総額は、8兆5000億ドル(940兆円)

肝心なのは、国連やイギリス政府、金融機関が主導して立ち上げたこと。いわゆるNPOやNGOではない。作業部会には欧州の金融機関が多く参加している。企業が情報を開示することで金融機関の投融資を促すという。

なんだか国際金融機関も、生物多様性保全のための投資に乗り出したということらしい。わからんままでも、メモ程度に記しておく。

日本政府は、こうした動きをわかっているのかなあ。少なくても政治家で知っている人は何人いるのだろう。

2021/08/03

焚き火カフェはおいくら ?

東京で「焚き火ラウンジ」が人気だそうだ。

場所は昭島市の「スノーピーク 昭島アウトドアヴィレッジ」内ということで、都心というわけではなさそうたが、駅から徒歩5分とか。
驚くのは2時間5500円という価格と、追加の薪は別料金(1束880円)らしいこと(笑)。
それに見たところ、焚き火台を使用していて、直火ではなさそうだ。

ちなみに大阪には、以前からあった。こちらは中之島だから都心中の都心。

「焚火屋火火」(たきびやびび)。金土日祝と祝前日だけ営業する。
基本チャージ(17~20時入店) 3,000円/人、(21時以降入店)2,000円/人 中高生1,000円、小学生以下 無料

こういうのが流行る時代になったわけだ。焚き火を鵜囲む魅力自体はアウトドアブームとか、最近はソロキャンプだなんだと広がっているが、わざわざ山間部まで行けない人がいる……というか、わざわざ遠出してまでやらないのだろう。だから都会に焚き火を持ち込む。

実は、私も昔は家の庭で焚き火をしていたのだが、今や煙をたてたら苦情が来る時代である。本当に煙で困ることがあるならともかく、煙が立ったら即ケシカランと反応する輩が増えたのだろう。癒されるための焚き火なのに、そんないざこざを抱えたら癒しどころかむかつくので、こちらもできなくなった。

で、こんなところに行く。

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こちらは、生駒山の焚き火カフェ。駅から車で5分だが、歩くと1時間くらいかなあ。山の中腹にあるラッキーガーデン内に設けられた。
焚き火だけなら無料。薪も積んである。ただ飲食を注文すると、その分は払う。マシュマロは人気だが、とろとろに溶けたのは熱いよ。もともとヒツジの牧場だったのに、ヒツジとヤギは別の場所に追いやって(^^;)、焚き火カフェとなった。
最近は、写真にも写っている小屋が敷地内にいくつか作られた。焚き火を囲むのもよいが、ここを貸し切り(2時間まで)にするのもよい。

そういや、この前女子大生二人とともに貸し切ったんだった。エヘッ



 

2021/08/02

侮るなかれ、樹皮の力

これ、大台ヶ原の西大台で見かけた樹木。

Dsc08628

見た通り、幹に穴が空いて空洞化……というより2中をくり抜かれたかのような状態。わずかに残された樹皮で木は立っているように見えるが……実は、この木、枯れていない。写真ではわかりにくいが上の方には枝があって葉もつけている。弱々しいがかろうじて生きているのだ。

どんな事態が起きたのかわからない。シカに樹皮をはがれて、そこから腐りが入ったのかもしれない。しかし幹の周りの樹皮を全部はがれなかったからかろうじて生き残ったか……?

せっかくだからもう1枚。

Dsc08626

こちらは有名な木。ミズナラの巨木なのだが、根回りが膨らんでいる。その形がカボチャぽいので通称「カボチャの木」と呼ばれている。大台ヶ原のシンボル的な存在だ。ちなみに周囲は柵があり、侵入禁止。どうやら、この木に登って騒いだおバカさんがいるらしい。

ただ、なぜ根回りが膨らんだのかわからない。もしかして、樹皮に傷がつけられ、枝葉で合成された有機物が樹皮の導管を下りてくる際に、ここでつっかえたのかな、とか想像する。ただし、深い傷ではなかったので、かろうじて残った導管の一部で有機物は根まで下りて枯れずに済んだ。そのうち太く育って、導管も復活した……なんてのは、まったくの推測である(笑)。

ともあれ、樹皮の役割とその力について考えてしまったのであった。

 

2021/08/01

総務省がバイオマス発電の影響を調査

総務省が、30日に木質バイオマス発電に関して、製紙業などの木材需給への影響を検証するよう経済産業省と農林水産省に要請したというニュースが流れた。製紙原料の国産チップがバイオマス燃料に回ることで、調達費用が上昇するなどの影響を懸念しているらしい。

これ、各省庁などの政策評価の調査の一環だというのだが、ちと面白い。

このところ再生可能エネルギーに対する風当たりが大きい。メガソーラーしかり、風力しかり。しかし私は、最大の問題はバイオマス発電だと思っている。メガソーラー設置や風車建設では、山林を切り開くことが問題だが、それは開発する最初だけだ。バイオマス発電では、その面積分の山林を毎年切り開いているようなものだからだ。それほど莫大な木材を燃料としている。山林を破壊して、何が脱炭素か、と問いかけたい。
それも最近では近くに木がなくなって遠方からの移送が頻繁になり、輸送のための温室効果ガス排出量をかえって増やしている。もちろん輸入燃料の使用も脱炭素にほど遠いし、海外の山を破壊しているだけだろう。

もちろん、風力では低周波とかバードストライクもあるし、メガソーラーもほかにさまざまな害を及ぼすことが指摘されるが、それらは設置場所や方法の問題である。

私は小規模分散で、たとえばソーラーも建物の屋根や遊休地などへの設置なら歓迎したい。何より気候変動防止のための脱炭素の問題は焦眉の急なのだから。なんとしても二酸化炭素排出を減らさないと、どこぞのメンバーは再び原子力発電に頼るべしと言い出すだろう。(もう言っているか。再生可能エネルギー批判を喜んでいるのは、実はそうした原発推進勢力である。)

だが、菅総理が脱炭素化に向けて舵を切る発言をしたことから、再生可能エネルギーの増強、なかでもバイオマス発電の拡大が見込まれる。

経産省のエネルギー基本計画の改定案では、2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率は36~38%(現行計画は22~24%)だが、バイオマス発電もなりふり構わず増やさないと達成不可能だろう。

ただ、「製紙業への影響」という点に調査を絞っているのは、総務省の遠慮が透けて見える。たしかに製紙用チップ(C材)が、バイオマス燃料に持っていかれてしまう現状は問題なのだが、根本の脱炭素に当てはまるのかどうかを検証しようとは思わないのだろう。それをやると、すべての再生可能エネルギーのパンドラの箱を開けるかのような騒ぎになるから。
それに、調査を「両省への要請」だから、自分で行うわけではない。果たしてどんな結果を示されるか。両省が問題あり、と指摘すれば、自ら推進してきたバイオマス発電の足を引っ張ることにもなる。

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昨日も見てしまった、大規模皆伐地。これで何ヘクタールあるかねえ。こんな山が増えていく。

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