自著に「林業本」は何冊ある?
もし森林がなくなったら、森林ジャーナリストは成立するか……という命題を考えてみた。
昔話を語るしかなくなるな……。ただ林業はなくなっても私は平気(^_^) 。林業界記者ではないからね。
改めて宣言しておくと、私は「森林ジャーナリスト」だ。よく肩書を間違えて「林業ジャーナリスト」とか「林業ライター」と記されることがあるのだけど、その度にムカッと来ていることをここに表明しておく。
私は森林を語る過程で、(とくに日本の)森林は林業の影響を外して語れないと思ったから林業についても深く足を踏み入れた。現場で下刈りから地ごしらえ、植林、間伐、枝打ち……と一連の仕事も一通り体験させてもらったし、聞き取りもかなりの人数行った。おかげで一時期林業にハマったこともあるのは白状しよう。
が、それも含めて、森林を語る前提としての林業である。林業は森林の必要条件ではあるが、十分条件ではない。だから「森林をよくする林業は応援するが、森林を破壊するような林業はとっとと退場してもらいたい」と常々言っている。
そこで自著を総点検した。私の著作は約30冊ばかりある。ほとんどのタイトルに「森」という言葉が入っているが、実は林業だけをテーマに記した本はほとんどなかった。森林のことを書きつつ、そのうちのいくつかの章が林業に触れているという構成なのである。
また、まったく森林とも林業とも離れた著作もある。
著作一覧を見てほしい。ほぼ処女作の『不思議の国のメラネシア』は旅行記。『チモール知られざる虐殺の島』は国際紛争問題。
『田舎で起業!』『田舎で暮らす!』は田舎暮らしと地域づくり系。
『森を歩く 森林セラピーへのいざない』や『ゴルフ場は自然がいっぱい』は、森林の利用系か? レジャー系かもしれない。
『樹木葬という選択』も森のオルタナティブな利用だろう。お墓本でもある(^o^)。
『森は怪しいワンダーランド』は、森とはいうものの、探検記の要素を加えたエッセイ集だ。
そして『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』は伝記というべきか。実は『山は学校だった』も伝記系。
ほかにも『元気になる! 日本の森を歩こう』と『生駒山 歴史・文化・自然に触れる』は共著だが山のガイド系か。
『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』『獣害列島』は動物系。ほかに『イノシシと生きる』なんて共著もある。
そのほかの本は、多くが森林系だ。
こうして見ると、はっきり林業にテーマを絞って書いた本は、『森林異変』と『絶望の林業』の2冊だけだった。ただし、『だれが日本の「森」を殺すのか』は木材建築系ともいうべき林業の派生分野。『割り箸はもったいない?』も、林業分野の一部に焦点を絞った拡大版。
つまり林業本は、2冊、範囲を広げても4冊にすぎない。
そして上記2冊を見てもわかるとおり、私が林業だけを書くようになったのは「とっとと退場してもらいたい林業」が増えたからなのである。その状況が変わらぬ限り、今後も林業批判を続けて行くことになるだろう。その時ばかりは、森林ジャーナリストではなく林業批判ジャーナリストかもね。(業界の明るい話題ばかりを探してヨイショ記事を書くような輩はジャーナリスト失格だから、言語矛盾だけど。)
そして、また新たな分野を模索している最中である。
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