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森と林業と田舎の本

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2021/08/12

コーディネーターは必要?

先日の東京の講演で、私は林業界にコーディネーターの必要性を語っていた。

林業関係者に森づくりと伐採搬出技術に長けていて、さらに市場動向を細かくチェックしており、製材に詳しくて商品アイデアを次々と思いつき、そこにマーケティングや広報宣伝、販促能力もあって……というスーパーマンはいません、分担しないとやっていけない。その代わり全体のコーディネート役がいないと上手く進まない……といった話をしたのである。

すると受講していた女子高生は、コーディネーターになりたいと言ってきた (@_@)。

しかし、コーディネーターとは何か。さまざまな各セクションをつなぐという意味では、各方面の事情を深く広く学ばねばならないし、人脈もコミュニケーション能力も必要であり、広範囲の知識と経験が欠かせない。

林業は広いよ。そのコーディネーターをやるのなら、目先の知識で踊るだけでなく、森林生態学や木材化学など基礎から学ぶべきだろう。経営に関わることなら、より必要なのは経済学や経営学であり、さらに政治学や脳科学・心理学も必要……何より各分野のキーマンに声をかけられる人脈を築かないといけない。
そう考えると、あまり若い人にお勧めしないなあ。

 

よく似た言葉にコンサルタント、略してコンサルがある。あまりよいイメージはないが……。

企業などの経営で、コンサルが出てきたら、阿漕な儲けをむさぼっているイメージが湧く(笑)。実際、私もコンサルによって痛い目にあった街づくりや経営例をいくつも見たり聞いたりしている。薄っぺらなアイデアを披露して、ガッポリ稼いでいるコンサルがいるのは事実だ。

では、コンサルタントはなくてもいいのか、と言えばそうでもなく、みんなが依頼するから存在する。コンサルがいないと進まないプロジェクトも少なくない。ようするに当事者は、結果はほしいけど、そのためのアイデアもノウハウもない、各人の間に入って調整するのも苦手……だからお助けマンとしてコンサルを求めるのだろう。その案件を俯瞰して全体像をつかみ、情報・企画のほか人材の橋渡しや紹介、交渉、アレンジが仕事と言えるだろう。まあ、下手するとアレンジどころかほとんど主催者代行のように押しつけられる例もあるが……。

コーディネーターやコンサルタント以外にも、フィクサー、ブローカー、プランナー……とさまざまな肩書が使われる。

私にも、それに近い依頼が来たことがある。ジャーナリストというのも、ようは情報屋、コンサルの仲間なのからしん。

ときにコンサルから依頼があって、コンサルのコンサルをしたこともある。また、自治体関係者から相談を受けることもある(というか、今も抱えている)。私の記事や著作を読んで声をかけてくるのだから相談ぐらいは乗らないこともないのだが、対価を払わないのなら、それは相談というより雑談になる。相手の態度によって、私の出す情報のランクは変わる。ときに思いつきアイデアをペラペラしゃべりつつ、「聞いて満足するだけ、実行しないだろうな」と心の奥底でベロを出しているのだよ。そこは阿漕なコンサルと一緒の気分(⌒ー⌒)。

私の情報とアイデアがほしいのなら、私にもメリットのある形で依頼しなさい。そして本人が本気出しなさい。そうしたら、本気で実現すべく協力するから。

先日、某テレビ局下請けの制作会社から協力してくれ、と連絡がきた。「それはビジネス?」と問うと、ある分野の情報がほしいけど、情報料は支払えないというのだ。情報は商品なのだ。八百屋の野菜をタダで持って行ったら泥棒なんだが、プロから情報をタダで取ろうと思っているから怖い。

以前、「林業は情報産業」と私は指摘したのだが、なかなか理解されない。

だったら全部自分でこなせるスーパーマンになるのが一番だね(^o^)。

 

 

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コメント

情報はビジネスで、情報こそ価値が高いものだという認識はどうも林業には無いですね。話を聞くだけで金取るのかって。現場に近い人間ほどこの認識が強いように思います。

疑心暗鬼となっている日本の木材業界に必要な人材は、全ての知識と実践を積んだ人物…いや、その部門のプロと言われる方々を民間から集めた団体だと考えます。全ての部門を1人で極めるには人生は短すぎるでしょう。
受講されていた女子高校生の方の様な若い力が必要になるでしょう。大拍手です!高い志を持って進んでもらいたいと思います。長く生きてきて、有り余り程豊富な知識を持つ田中様の様な方は、その技術を後に続く者達へ伝える義務があると思いますよ。まあ…プロですから有償で(笑)

林業界の人は、いわゆる「職人肌」(これは悪い意味で使っている)の人が多いので、現場第一、技術第一になって全体が見えないというか、見たくないというか、それを指摘するとプイと横を向いてしまうというか(^^;)。

だからコーディネーターに必要なのは、その人物に対する信頼ですね。なんか、ものすごくいい事言っているみたい、全然わからんけど、信用してやってみるか!と思わせるもの。
これは知識を身につけるより難しいですなあ。

信頼ですか…良い言葉を聞きました。
業界では「山をやる者は、今はバブルで儲けたおしている!伐りまくっている」とか「製材所は安く買い叩いて何倍にも売っている」とか、疑心暗鬼で足の引っ張り合いを未だ続けています。
私達の業界は、山元に再造林が可能なだけの利益の還元をし、エンドユーザーには良い品質の物を安価で購入してもらい、山林やその中に住む生物の環境を整え、そして水を育む手助けをする事が使命のはずです。それを実行している私の仲間達は、地元の信頼は厚いのですが年中借金に追われています。まあ…次世代が良くなれば貧乏のし甲斐がありますかな⁉︎(笑)

「次世代が良くなれば」……望み薄?

適正な間伐林を管理し、確かな技術を持った事業体は残るでしょうが、皆は残りません。

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