海底噴火、南硫黄島が危ない!
ほとんどニュースにならないのでやきもきしているのが、小笠原諸島南方海上の海底火山の噴火。東京から1000キロ以上離れているが、小笠原諸島の南の硫黄島の南約50キロの「福徳岡ノ場」で8月13日に噴火が起こっている。
その噴火たるや凄まじい勢いで、海底火山なのに噴煙が高度1万6000メートルまで上がったとか。そして、いよいよ海上に顔を出し新島が誕生している。まだ直径1キロほどの馬蹄形の陸地なので、波に削られてしまうかもしれないが、今後噴火が続けば大きな島に発達するかもしれない。
私が気にしているのは、この噴火した新島から約5キロのところに南硫黄島があること。リンク先に飛んでいただければ、どんな自然があるか少しはわかる。固有種の楽園である。進化の実験場ともけ言われ、ミニ・ガラパゴスでもある。何しろ海の真ん中に誕生してから一度も大陸など大きな陸と接続していないうえ、人間も長期に滞在することはなかった。そもそも滞在する平地さえない島だ。生物の伝播や進化が如実にわかるのである。
気象庁のネットから拝借した写真を見てもらいたいが、ほんのすぐ側だ。
これまで海底火山だったから、爆発が大きくても噴煙は水蒸気だろうな、と思っていたが、陸地になってそこから噴火したら火山灰も吹き上げるだろう。それが南硫黄島に降り注げば、島の環境が大きく変わる。その特異な自然が危機なのだ。
南硫黄島は、学生時代から憧れていた。まったく人が居住した形跡のない人跡未踏の地だから。原生自然環境保全地域に指定されているから、一般人は上陸さえできない。でも、行きたいなあ……と思っていた。実際、地形条件はよく似ているが、戦前少し人が住んだことのある北硫黄島には大学の探検部が上陸した記録があるのだ。
とはいえ、夢物語……と思っていたら、近年になって国の調査チームが幾度か上陸するようになった。NHKなどの番組になっているから探してもらえばよいが、なかなかのスペクタルであった。上陸時に一切外部のものを持ち込まないようにしなければならないし、平地のないような急峻な山々なのだから……。面白いのは北硫黄島の自然と比較していたことだ。その結果も面白いのだが、それはまた別に。
最悪、新島の火砕流が南硫黄島まで届くことだってないとは言えない。いや、火山灰だって1メートルも降り積もったらエラいことになる。
一方で、以前より噴火を続けて島を大きくしていた小笠原諸島の西之島も14日に改めて噴火したそうだ。こちらの噴煙は小さいが、この海域の地下で、何かが蠢きだしたのは間違いなさそうだ。今後、海底で何が起こるか。
いっそのこと、四国ぐらいある巨大な島でも隆起して日本の新領土になるという展開も面白そうではあるが……。
ここからは妄想だが、私は現在の温室効果ガスの増加による気候変動、とくに地球温暖化を止めるのは無理だと思っている。いかに世界中の国の人々が頑張って二酸化炭素の排出を減らしても、とても温暖化を止めるほどの成果は達成できないだろう。もはや人智の及ばない次元まで進んでいる。だが、ここで巨大火山の噴火があれば……そして噴煙が地球全域を覆えば……一気に寒冷化するのではないか?噴煙の微粒子が太陽光を遮るからだ。ただし噴火に伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの噴出もあるから、さて、どちらの効果が強いか。その前に寒冷化しすぎて氷河期みたいになっても困るのだが。
約1400万年前に、紀伊半島にあった巨大火山(熊野カルデラ)が爆発したときは、地球上の気温が10度も下がり、大量絶滅を引き起こしたという。そこまでデカいと困るけどねえ。
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