3割を保全地域化計画
「2030年までに陸域と海域の30%を保全地域とする」。
こんな目標が作られている。日本はG7サミットで「2030年に30%」という目標に合意しており、10月に中国で始まる生物多様性条約締結国会議の目標案として盛り込まれているからだ。陸海ともに30%を達成できると、生物の絶滅リスクは3割減るという試算が出ている。
日本の保護区は現在、陸域20・5%、海域13・3%だそうだ。かなりの嵩上げが必要だが、私は正直、単に保護区に指定するだけなら、そんなに難しくないな、と感じる。森林面積は6割あまり。そのうち里山林も含む天然林と言えるのを6割とすると、天然林は国土の36%。草原は5%以上あるし、山岳地帯など森林限界を超えた地域も相当ある。都市公園や神社などの境内にも自然の広がる空間はある。ざっと40~50%は潜在的に保護区に指定できるのではないか。現在は20%程度指定しているのだから、残りは30%超。それらの中で10%の地域を追加指定したら、30%を達成できるだろう。
海域はどうだろう。海岸にこだわると厳しいが、海域だから、とりあえず無人島の周辺などを指定すれば達成できるんじゃないか(笑)。
小泉環境相は会見で、今後保全地域に指定する例として明治神宮のほか、棚田などを挙げた。農地までも含むなら、もっと広がる。環境省は、23年度に国立公園や鳥獣保護区の拡大のほか、お寺や神社、企業の林など民間で管理している地域100以上を保護認定するとしている。
問題は保全の手法と中身だね。何を持って守ったことになるのか。里山の雑木林は、伐採を繰り返すことで守れる森林だし、里海と呼ぶ海域もある。農地はもちろん手を加えて維持するものだ。何をしたら保全したことになるのか。単に開発規制や人の進入規制をしても守ったことにならない。一方で国立公園の第3種地域なんて、とくに保護している様子がない。開発行為も、たいてい届け出だけでできてしまう。
大台ヶ原の西大台地区。1日に入れる人数が決まっていて、事前予約制+有料。このように入り口には関所がある。こんな国立公園は珍しい。
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