ニューギニア・ダカタウア湖の日本軍
終戦日特集、もう終わるつもりだったが、探し出した写真がまだあぶれているので、もう1日だけ。
今はパプア・ニューギニアの北部・ニューブリテン島に行ったことがある。ここの東端にはラバウルがあり、戦跡はゴロゴロあった。高射砲に飛行機の残骸に上陸用舟艇?の眠る洞窟に……。が、今回はそこから離れて、ダカタウア湖へ。これは、そこでブタ狩りをしたときの写真だ。期せずしてシルエットになってしまったが、むしろ雰囲気が伝わる。
地図の竜の背中にニョロニョロと伸びた半島。これウィルメッツ半島というが、その先に膨らんだ部分にあるのがダカタウア湖だ。見るからに火山の火口湖である。ここにはミゴーともルイとも呼ばれる怪獣が生息するという……。いや怪獣ではなくマッサライ(精霊)だという声もあるのだが、体長は10メートルを越えるような首長竜ぽい姿が報告されている。
まあ、ようするに私は、ここに怪獣探しに行ったわけだ。詳しくは『森は怪しいワンダーランド』をどうぞ。
そしてさまざまな障害を乗り越えて湖にたどりつくと……そりゃ、素晴らしい景色が広がっていた。湖の周囲はジャングルなのだが、カルデラ湖ならではの断崖絶壁に囲まれていて、中心部に噴火口が島になっていて、そこには石器にもってこいの黒曜石が眠っている。どこまでも静かな湖面と鳥の群……と思いきやオオコウモリの群舞だったりするのだが……。そして黒い砂浜には巨大なワニの足跡がくっきり付いていた。
まあ、この湖の美しさや稀少な体験談は『森は怪しいワンダーランド』に任すとして(^^;)、実は本当に驚かされたのは、案内してくれた地元ブルムリ村の青年に、「戦争中、ここには日本軍がいた」と聞かされたことである!
えええ! 探検気分で訪れたのに、なんと日本軍が先にきて駐留していたのかい! 人数はわからないが、数十人はいたような口ぶり。何人かが病気で亡くなったとか……。日本軍の住んでいた一帯とかも紹介されたが、何の痕跡もないからわからない。
しかし、ここで何をしていたんだ。前線よりは下がっているから偵察というよりは、連合国の奇襲を警戒した見張りだろうか。海に飛び出しているから、奇襲上陸を狙う船団が来たら、真っ先に見つけることができるだろう。ただし湖側に入ると外界はまったく見えない別世界だ。ロストワールドに近い。
しかし、実際に戦闘があったとは聞かない。ラバウルは連日の出撃と空襲で戦場となり、西部からアメリカ軍が上陸して占領している。その戦闘の様子などは、水木しげるの体験漫画でも描かれている。(「総員、玉砕せよ!」)
もし、この湖に怪獣がいたら、日本軍vs大怪獣ミゴー!といったスペクタル映画みたいな展開になったかもしれないなあ。
……ところで、あまりに素晴らしく、今なら世界自然遺産に推薦しよう、と言いたくなる自然なのだが、私はこの帰りにパプアの林業大臣と知り合って泊めてもらったので、「ダカタウア湖は保護地区にすべきだ」と力説したのである。
が、帰国後何年かすると、湖まで林道が伸びたよ、日本の企業が木を伐っているよ、という情報を得たのであった。。。
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