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森と林業の本

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2021/09/06

復元家屋の木の種類

生駒山の森林公園で見かけたこの標識。

Dsc00240

ケヤキとな。しかし、この板の木目はどう見てもスギ……と立ち止まって考えて、気がついた。ここで「欅」と記しているのは、背後の樹のことなのだ。この木をケヤキと記す標識の板はスギ板なのであった。おそらく公園内で倒れたスギの有効利用なのだろう。

あまりに当たり前のことに引っかかっていた私は自分をアホかと苦笑いしたのだが、復元した家屋の木材の種類まで同じにするのは難しいだろうと気がついた。地元で復元中の平城宮の大極殿とその周辺の南門も、できるかぎり国産のヒノキを使っているが、全部が全部同じではない。

それで思い出した。佐賀県の吉野ヶ里遺跡。

ここにもかつての弥生~古墳時代の宮殿や家屋が多く復元されている。

7_20210906210001

ただ、事前に読んだ本によると、吉野ヶ里遺跡の建築物の多くはモミの木で作られているらしい。当時、九州ではモミがもっとも普遍的に生えている大木だったらしい。スギやヒノキは少なかったのである。そこで、見た復元建築物は……。

6_20210906210201

どう見てもスギの木で建てられていた。ちょっとがっかりした(笑)。

今ではモミの木を大量に仕入れるのは難しい。それこそ外材のモミならあるが、国産とは若干種類が違うのだろう。別にいちゃもん付けるつもりはないのだが、完全復元というのは難しい。文化財といえども、樹種までこだわらない。(あるいは文化財系の関係者は、形などにはこだわっても素材の樹種には興味を示さないのかもしれない。)
そういや沖縄の首里城も、以前はタイワンヒノキで建てていたし、今度の復元には国産ヒノキを使うそうだ。明治までの宮殿がヒノキで建てられていたという証拠はないというか可能性は低いのに。むしろ沖縄のイヌマキを使いたいところだが、底をついているから無理として、スギは使わない・使いたくないらしい。

ちょっと脱線してしまったが、「これがケヤキだ」と示すのにスギの板を使ってもいいじゃないか(笑)ということである。

 

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