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森と林業の本

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2021/09/07

「2倍速で育つ木……」?違和感満載の日経記事

日経新聞に「2倍速で育つ木、実用化へ ウッドショック対策で林野庁」という記事。

まさか、こんなことを林野庁とあろうもの(笑)が、本気で口にしたとは思えないのだが。

簡単に記事の内容をなぞれば、「ウッドショック」の動きを受けて、林野庁は国産材供給の体制を強化するため、通常より2倍程度の速さで育つ樹木を2023年度にも実用化するという。具体的には「コウヨウザン」や「センダン」早生樹種を想定しているとのこと。交配の研究や最適な植林環境の調査を進めて早期実現するために22年度予算の概算要求に盛り込んだ……というのである。

あまりのおバカな記事なので唖然としたのだが……一過性のウッドショックと、早くても20年以上かかる木材の成長と生産を混乱させている。(ここからは日経記者の勝手な思い込みと思うが)背景には高騰が続く国産材価格がある。日本は輸入材に頼り、19年時点で建築材の総需要量(3800万立方メートル)に占める国産材の利用量は半分弱にとどまる。足元では輸入材の入荷減が国産材価格の高騰も招き、住宅メーカーなどに影響が出ている。

国産材が高騰して林野庁が困ることはあるまい。喜ぶべきだし、住宅メーカーが困っても、それは国交省や経産省のカテゴリーなので気にしないでよい(自慢の省庁縦割り)。だいたい国産材の利用量が半分弱にとどまる、ではなく半分弱にまで高まったのだ。(構造材に限れば、もっと高いと思う。)

それに「2倍速で育つ木」という言葉も恥ずかしいが、コウヨウザンもセンダンも、材質的にスギやヒノキの代替にならないだろうなあ。木材ならみんな一緒と思っているのか。ようするに早生樹種の研究と実用化のための予算を概算要求に取り入れたという記事を煽り記事に仕立てたように思う。

 

ところで、私が驚いたのは、上記のようなトンチンカンの部分ではない。最後の方にこのような文面があるのだ。

政府は6月、30年に国産材の割合を6割強まで増やす目標を設定。輸入材への依存度を下げて中長期的なコスト高のリスクを減らす狙いがある。

2030年に木材自給率を6割強にする……という意味なの? これ、本当? 6月に設定というが、どこに記されているのだろうか。

そもそも25年までに5割というのが目標だったはずで、これは達成できるかどうか微妙な線。約38%から12%を5年程度で上積みするのは大変だろうな……ぐらいに思っていたのだが。

今年6月といえば、森林・林業白書を出したほか、新たな「森林・林業基本計画」を決定して「全国森林計画」の変更をしている。このなかに自給率6割超えの目標なんかあったっけ。

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ようやく見つけたのが、「森林・林業基本計画の概要」の中にある木材利用計画量。R12年の見通し・目標が建材総需要量4100万立方メートルに対して国産材利用量が2600万立方メートル……とあるのを6割強と表現したのか。ちなみに木材全体では需要8700万が国産材4200万となっているが、これだと木材自給率は48%程度。つまり2030年になっても、まだ50%に達せないということになる。

日経記者は、木材の利用と言えば建材用という前提で記事にしたのかもしれないが、ちょっと違和感満載なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

短伐期で小径木を大量に早く生産しようとしていた1960~70年代にも早生樹導入は図られましたが結局定着せず。いくら最短20年で材になる(のか?)といっても経済的に20年先など全く見通せない……第一これだけ人工林がある(仮に半分は不成績だったとしても)のに、どうしてこれから植える木の話になるのか…需要量からみれば、資源維持したままの供給だってできるだろうに…(多分)

早生樹導入は、幾度も試みられて失敗しているという過去に学んでいませんね。
まあ、記事は記者のトバシだと思いますが、ほかにネタはないのか、とツッコミたい。

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