皆伐-再造林の進め方?
奈良県の上北山村に行った際、道沿いに大規模な皆伐地が広がっていたので、パチリ。
だが写真を撮ってから、「ここで以前も写真を撮ったことがある」ことを思い出した。
そこで探し出したのだが、
これだ。日付を見ると2019年の3月だった。何十ヘクタールになるか、奈良県内ではかなりの規模の皆伐地なのだが、このとき気になるのが、真ん中にわずかに緑がかっていること。なぜ、ここ1~2ヘクタールだけ再造林されているのか。でも、まあ、そのうち順々に造林していくのだろう、何かの都合でここだけ急いだのかな……と想像した。が。
これが先日撮ったもの。造林したところは約2年分の生長をしたようだが、その周りはまったく何も変わらず。穴居ル、再造林しないのか。
想像するに、造林したところは所有者が違うのだな。この皆伐地の土地所有者は何人もいるのだろうけど、再造林するように主張したのは、真ん中のごく一部の山主だけだったのではないか。周辺の他の山主は「もう植えんでもええわ。どうせ林業やらんし」ということになったのではなかろうか。しかし、今後どうなるのだろう。植えたところだけ育って、その周りは雑木も生えていない。
そう言えば……こんな写真もある。
これは、場所は少しずれるが、だいたい同じような上北山村。撮影は2010年5月と今から11年も前だ。ここは、逆に一部だけが伐らずに残されている。これは、この土地の山主だけが皆伐を反対したのだろうか。ここだけ残ってもなあ。いや、ここだけでも残ったおかげで、もしかして山が崩れずに済んだかもしれないし、あるいは周辺の天然更新が進んだかもしれない。
山主が反対しても、こっそり伐ってしまうような業者でなくてよかった(笑)。
« Y!ニュース「木材利用促進が林業を狂わす?」を書いた裏事情 | トップページ | 都市樹木地図と動物侵入経路 »
「林業・林産業」カテゴリの記事
- 吉野林業様変わり~驚いたのは…(2025.04.09)
- トランプは森のラストベルトを救うか(2025.03.14)
- 林業機械に林業3原則を植え付けろ!(2025.03.10)
- トランプ、木材にも関税か(2025.03.04)
- 見えないカルテルが、木材価格を下げる(2025.01.13)
集約化が必要と言うことでしょうか?
集約化は確かに必要です。
でも、自伐林家を存続させて下さい。
自伐林家は、自分の山を子供や孫のように大切にしています。
ダメな森林組合に、山を預けたくないです。
集約化をして、山を預かる責任で
森林所有者に、しっかり還元を
してあげて下さい。
と、林野庁と県庁にいって下さい。
投稿: 和気 | 2021/09/30 23:11
はあ? どこに集約化なんて書いているの。そんなもの必要ない。
そもそも、こんな大規模皆伐がクソなんですよ。
自伐林家が全部「山を子どもや孫のように」なんてことも有り得ない。クソのような山主いっぱいいますから。
投稿: 田中淳夫 | 2021/09/30 23:17
拡大造林の頃はこうした皆伐跡地も公団(当時)なり造林公社なりで植えることも(条件次第では)していたはずです。それが見込めない今、皆伐跡地を天然更新と称して放置した山どうなっていくのか気になります。シカが増えている今なんとなく想像つきますが。(木にならない)
投稿: 0 | 2021/10/01 08:29
天然更新なんてのもデタラメですが(本気で天然更新をするつもりなら、伐採時からそれなりに考えて行うべきだし、まったく手を入れないのではなく必要な施業があります)、そもそも植えるつもりがない山主も多いんでしょうね。
投稿: 田中淳夫 | 2021/10/01 09:27
シカ肉の活用
女子栄養大学教授と味の素(株)のひとの共同編集の学術論文集『祝品のコクとは何か』恒星社厚生閣・2021年で227頁から鹿ブイヨンと鹿コンソメの調理という記事があります。かなりいいブイヨン・コンソメになるようです。鹿の資源としての利用が期待されるかもしれません。
投稿: 岡本哲 | 2021/10/10 16:47
シカ肉で、鰹節ならぬ鹿節をつくる試みもされていますよ。こちらもいい出汁が取れるそうです。
いろいろ挑戦はされていますが、問題は作り手と販売とコストですかねえ。
投稿: 田中淳夫 | 2021/10/11 09:11
んー?
写真の画像がちょっと見辛くてわかり辛いのですが、真ん中を植林したって割には過密で植え過ぎてませんか?
因みに、針葉樹が適してる地に針葉樹を植林したら天然更新より成長が早いのは当たり前です。
何故か天然更新を毛嫌いされてる節が見受けられますが、草が生えて来る所で木が生えない訳も無いですし、生えてこないなら下草刈りなんかも存在せずに日本の材もオーストリアやフィンランド当たりと木材の価格競争に参加出来たでしょう。
記事にするなら同じ場所に毎年訪れて大雑把に草とか木とかではなく、どんな植生が生えて来てるのかデータを取るくらいはした方が良いと思います。
二年目の実生なんて草と見分けつかないくらいにしか育ってませんよ。
論文とかを発表される方は証拠付きでそれくらいの調査はします。
辛口のコメントになってしまいましたが、個人的にはこのブログの主様を応援しています。
投稿: 山師10年目 | 2021/11/03 12:25