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森と林業と田舎の本

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2021/09/16

刃物を支える石

先日、草彅剛がMCを務める「最後の○○~日本のレッドデータ~」という番組を見た人はいるだろうか。

ここでは「人知れず消えつつある数多くの職人の技や、生産物など“日本のレッドデータ”を紹介する番組だが、そこで取り上げられたのは、天然砥石だった。

日本刀がブームになったが、そこで注目されたのは古来の名刀である。そこから、それをつくる刀鍛冶……までは誰もがすぐに連想するのだが、実はその先に研ぎ師がいる。研がねば、どんな刀も名刀にならない。……ま、そこまではギリギリ連想する。が、その先に研ぎ師の使う砥石がある。今や一般には人造砥石が席巻しているが、日本刀には天然砥石しか向かない。その粒子の細かさやはがれ具合は、合成樹脂で固めた人造ものでは再現できないからだ。

で、天然砥石になる石は、日本列島はわりと全国で採れるのだが、それは二級、一級品まで。日本刀向きの特級品は京都でしか採れない、と言われている。包丁にこだわる料理人も、天然砥石を選ぶ。海外からも京都の砥石を求めて訪れる人がいる。
そして、今も砥石の原石を掘っているのはただの一人。この人がいなくなると……という番組である。日本刀から砥石の採掘まで行き着くのはなかなかの想像力がいる。

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実は、私も砥石の取材はしたことがあって、この裏話は何かといっぱい聞いている(⌒ー⌒)。ただ、実際に掘っているのはこの人しかいないのは事実だ。掘らなくなって、オレの山の方がもっとよい砥石が出る、と言うのはみっともない。

で、私も砥石鉱山に潜ったことがある。ただし、上記の現役鉱山ではなく、廃坑だけど。怖いよ、廃坑に入るのは……(笑)。

だが、日本は木工王国だと言われるのだが、それはよい砥石があるからだという。砥石がなければ刃物も活きない。

いや、刃物だけではない。漆芸も多くが砥石なしでは成り立たない。ただし、こちらは研ぎ炭と呼ばれる木炭だ。アブラギリの白炭が最高級なのだが、これを焼く職人が、これまた全国に何人もいない……。これはICチップやレンズ磨きにも必要とされる。

これらも山と森の産物だと言えなくもない。とてつもなく貴重な森林資源だ。

チェンソーに鉈、ノコギリ……林業用刃物で、そこまで砥石にこだわる声は聞いたことはない。工芸品・芸術品と日常品の差と言えばそれまでだが、技術を支える縁の下の石ころにも忘れないでおきたい。

 

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