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森と林業の本

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2021/09/13

世界中で消える草原生態系

かつて草原ジャーナリスト見習いだった片鱗がうずく話。

過去300年間の菅平高原の植生を追跡 ~国立公園化後に草原の減少は速まった~

具体的には、長野県上田市の菅平高原は、おそらく4000年前から草原で、少なくとも1722年には草原だったことが確認できるが、それが急速に失われつつある。その原因が国立公園への指定によって草原の減少を早めた可能性を指摘している。それはやはり、国立公園にある開発規制が、人の手を入れることを禁じたことによると思われる。
そして今はスキー場維持のために、草原が保たれているという。

まあ、これ自体が皮肉というか、ありそうな話だな、と思わせる。以前、京都の嵐山の美しい紅葉を守ろうと人の手を入れるのを禁じたら、余計に照葉樹林化して紅葉が消えてしまった話もあったが、人の手が維持する自然も多いのだ。

ただ私が興味を持ったのは、この記事の冒頭に「草原は近年、世界的にも日本国内でも過去に類を見ないほど減少」と記されていることだ。日本だけじゃないのか? 砂漠化の進行が問題になっているのだから、森林が疎林化して、さらに草原化するところも増えているかに思えたのだが、実は世界中で草原は減っているのだという。

おそらく、これは火入れの禁止など規制もあるが、より大きいのは植林の増加ではないか。中国やインドの森林面積が爆上がりしているが、これは従来樹木が生えていなかったところに木を植えたからだろう。でも砂漠へ植林しても、水がなければ育たない。その点、草原なら多少の水があるわけで、植林しやすいのではなかろうか。

Photo_20210913212301 
中国の砂漠で日本人が進めている植林事業。(写真はお借りしました。)一見美しい話だが、草原が森林になったら、草原生態系はなくなるわけで、それで絶滅する動植物もあるだろう。それでも本当に地球のためと言えるのか。


 

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