無断伐採監視システムは機能するか
林野庁のモクレポに目を通していたら、「衛星画像を活用した無断伐採対策」という記事があった。
ようするに、ある期間ごとに衛星画像を照らし合わせてリモートセンシング技術などを使って伐採(皆伐)された地域を見つけ出し、そこに伐採届が出ているか、届け出範囲を越えていないかとチェックすることで無断伐採を見つけ出すというもの。
農林水産省が、山林だけでなく農地での違法案件も早期発見するシステムづくりとして昨年より進めていたことは知っていた。具体的にはグーグル社の衛星画像のクラウドサービスを使って、市町村ごとに一定期間に伐採された箇所を抽出し確認できるプログラム「FAMOST」を開発したのだ。今は試行中らしい。
ま、たしかに無断伐採(盗伐とは言わないのね)絞り込むのには役立つだろう。市町村職員がやる気になれば。しかし伐採届の有無とか範囲を細かくチェックするには仕事を増やす相当な覚悟がいる。
それに、九州で行われている盗伐など違法案件のほとんどは、発見しても警察が被害届を受理しない・立件しないことが問題の根幹だ。発見されても罪にならないから業者は平気でやるのだ。その理由はいろいろ言われている。裏で業者と警察がつながっている噂が根強くあるし、森林窃盗の立件は手間ばかりかかるから仕事を増やしたくない警察が嫌がるという話も聞く。その点をどうするのか。
私が何より憤るのは、これまで林野庁はまったくと言ってよいほど、盗伐に関して声を上げなかったことだ。少なくても憂慮する声明を出すとか、県や市町村など自治体を行政指導することはできただろうに、やらない。だから県も本腰を入れない。市町村も見て見ぬふり。
それどころか国会でこの問題が取り上げられたとき、当の長官が「盗伐か誤伐か区別がつきません」と、逃げ腰……というよりは無断伐採した業者を擁護する答弁をしているのだ。誰が見ても意図的な盗伐とわかる案件が山ほどなるのに。それに誤伐であっても違法なの。誤伐だったら仕方ないということはない(刑事罰はなくても罰金はあるし、現況回復を求められるだろう)。それこそ、裏で業者とつながっている?と勘繰られる。
まずは「無断伐採」(盗伐とは言わないのね)は絶対に許さない、という強い意思を示さないと。今回の「FAMOST」も開発するのはよいが、それを使って取り締まるのは現場なのだから。
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コメント
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固定資産税を払わない程度の土地で補助金で下草刈りや間伐や地層崩壊してても材の売り上げがどうとか言い出す地主が、嫌いです。
日本一の村を自称してる村が嫌いです。
かなり死にかけてます。
良く乗せてるちょっとだけ残ってる森は、不明地っ奴じゃないですか?
林業関係者で不明地の在り方で戦争しても良くないですよ。
崩壊地で伐採しててもこの杉は幾らになるか自称地主に訪ねられる事は結構あります。
この崩壊で土石流になっても責任が取れるのかと聞きたいですが、取り敢えず責任は取らないけど売り上げで幾ら儲けるのか聞きたいと聞きたがる人が多いです。
マッカッサーはいらない事をしたと思う今日この頃です。
投稿: 山師10年目 | 2021/11/03 21:25