都市樹木地図と動物侵入経路
グーグルが、AIによる都市の樹木密度を分析した地図づくりを、2022年には東京や横浜を含む世界の100以上の都市に拡大すると発表した。
AIで木を1本1本まで正確に把握し、都市のなかで樹木の密度が低い部分を示せるのだという。それで植樹が必要な場所を効果的に割り出せるとか。ロサンゼルス市などでは、昨年から樹木マップを提供しており、植樹計画に役立てている。
これも気候変動対策の一つという位置づけだ。都市のヒートアイランド現象が広がっていることから、自治体に樹木マップを無償提供して、植樹を進めてもらおうという提案だそうだ。気候変動とヒートアイランド現象は微妙に違う気がするのだが、それは置いておこう。
おそらく公園などの緑地と街路樹を想定しているのだろう。日本の場合は、神社なども緑地に入るかもしれない。奈良市の樹木地図をつくったら、ただでさえ都心部に世界遺産の森があるのに、神社の鎮守の森もあって緑地の方が多いかも……。木を一本ずつ判別できるのなら、シカも写ってAIがシカ!と割り出してくれると楽しいのだが(^^;)。昼間の街に何頭シカが歩いているのか知りたい。
ただし、都会だからといって今以上に緑を増やすことがよいのかどうかは慎重に考える必要があると思う。たとえば街路樹は、すでに日本には675万本の街路樹があるが、維持経費が馬鹿にならないから困っている。公園もそうだ。だんだん荒れている都市公園、児童遊園が増えているように感じている。
それに今の日本は、こうした緑地や街路樹が、野生動物を都心に引き込む役割をしている。ちょうど先日の「クローズアップ現代+」で、「史上最多ヒグマ被害“都市出没”の謎を追う」という番組をしていた。札幌都心部にヒグマが浸入する問題なのだが、結局、浸入路は河川や街路樹などの緑地だった。安易に都会に樹木を植えたら痛い目に合うかもしれない。こうした問題は、アメリカにはないのだろうか。
ちなみに、これって、私が今年1月に書いたネタなんだよね。
『獣害列島』でも取り上げたのだけど、もう少し野生動物の動向に気をつかうべきだろう。でも都市樹木マップを使えば、動物が入らない街づくりに使えるかもしれない……。
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