『獣害列島』は異論か?
このところ、また急に拙著『獣害列島』に関する反響がいくつかあった。
一つは、某進学塾の問題集に『獣害列島』の一文が引用されたこと。問題そのものを紹介したら面白いと思ったのだが、ちょっとまずいか。でも、使われた部分を少しだけ。
テーマは、野生動物と人間の共生である。奈良の鹿と青森県下北半島のサルの話。後者の下北のサルの話は理想論みたいだが、私は奈良公園のシカに関しては、わりと実現しているのではないかと思う。
そして、今度は某新聞社が正月版に「(仮)野生の逆襲」という特集記事を考えていて、それに関する取材をリモートで受けた。
こちらの仮説は、「人間は自然を壊して暮らす場所を広げ、経済成長を遂げてきたが、「自然の領域」に踏み込み過ぎるとしっぺ返しを食らう」というもので、コロナ禍も含めようとしている。ここで「人間が自然を壊したから」という点に関しては、私は否定する。人間の自然破壊を否定するのではなく、現在の獣害は、人間が自然界から撤退する過程で自然の回復が進み、それが獣害として発露しているというのが持論だ。決して間違っているとは思わないが、世間的には異論扱いだろう。
問題集を読んだ小学生がどう反応するか、そして某新聞ではどんな記事になるのか、楽しみだねえ。
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