サルノコシカケと問い合わせ愚痴
こんなん、見かけました。
ま、普通の切り株なんだが、その切り口にサルノコシカケ系のキノコが繁殖していた。通常、枯れた木の幹から垂直にキノコの傘部分が生えているから「サルが腰掛けられるような」という意味でサルノコシカケという名なんだろうけど、切り株に生えられたら逆に座りづらいじゃないか……。
とまあ、土曜日なんだから、こんなのほほん記事を書いて終わらせる気だったが、ちょっと思うところあって、愚痴を。
このところ学生からの問い合わせが増えている。卒論や授業の研究発表、サークル内のプレゼン……などに必要なのだそうだ。森林に関する情報や意見を求めているということなんだろうが……。
多いのは大学生だが、最近は高校生や中学生もいて、この前はインターナショナルスクールだった(日本なら高校生だろう)。若干おかしな日本語であったり、幼稚な質問もあるのだが、私はできる限り応えるようにしている。それは私自身が若いころ、いろいろな人に問い合わせの手紙を送り、返事をもらった経験があるからである。当時は手紙の送り先を見つけるだけでも、今と違って大変だったのだが、それゆえ有り難かった。また現在も取材という形で、さまざまな人から情報をいただいているからでもある。
今はメールとなり、しかもメールアドレスやメッセンジャーのアドレスなども見つけやすい。私の名で検索したら拙ホームページやブログ、そしてYahoo!ニュースにツイッター、フェイスブックなどがヒットして、つながれるツールが多彩にある。連絡をつけるには簡単になった。
とはいえ、その手軽さが徒になっているのではないか。先日は某大学の学生なのだが、結構失礼な書き方のメールがきた。回答して当然とでも思っているかのような文面。メール以前の文章作法としてよろしくないのだが、そこはぐっと堪える。まだ学生だから……。しかし質問項目がうんざりくる。
ナニナニの面積を教えろだの、割合を教えろだの。そんな数字は自分で当たれよ、コツコツ自分で統計をあたって計算するもんだ。あるいは林野庁にでも問い合わせるべきだろう。そのほかにも用語がヘンで何を言いたいのかわからない。基本的な森林用語、環境用語などが身についていないのだろう。
あまりに気軽に問い合わせ過ぎだ。いや、問い合わせるのはいいが、その前にやるべき自身の調べること、自身で考えることを抜きに、なんでも尋ねて回答を得ようとしているように感じる。自ら文献を当たるより、聞いた方がカンタンと思っているんじゃゅないか。最近はグーグルで検索して出てこないものは存在しないかのように思っている手合いが増えた気がする。検索で出てきたのは、もう調べる必要のない情報で、それ以上の情報(広報的なインフォメーションではなく、インテリジェンス)をつかみ取るのが学問だろう。
こちらも忙しいのだよ。しかも情報というのはタダではないのだよ。それを安易に得ようと思うな。金を払えとは言わないが、安直すぎる。(ちなみに仕事としての問い合わせでも、結果的に情報だけ聞き出して、ギャラの話が出ないケースがままある。)
返信で怒鳴りつけてやろうかとも思ったのだが、その元気もわいてこず無視することにした。情報がほしければ、自分なりに考え尽くした上で行うものだろう。
今年の夏だが、女子中学生から獣害問題に関しての質問がきた。そこには自身の仮説を掲げて、その上で正しいかどうかを問う内容だった。文面も非常にていねいで、そんな言葉遣い、中学生で知っているのか!と思わせるほど。その仮説は私の意見と真っ向から反対なのだが(^^;)、私はていねい且つ詳しく解説して返信した。1本記事を書いた気分で、随分手間と時間をかけた。しかし、こういう問い合わせは大歓迎である。私もやる気になる。それなのに、大学生の方がレベルが低い。
連絡にはすべて返信する、という私の原則は、崩れたのである。ええ加減にせえ! ということだ。もし返信しても、対応は厳しいからね。甘っちょろい質問は叩きのめす。年齢性別関係なし。
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