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森と林業と田舎の本

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2021/11/04

COP26の言葉尻をとらえる

たまには、昨日の文化の日に訪ねた美術館ののほほんとした話題でも記そうかと思ったのだが……。

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美術館の窓から眺めた景色。

イギリスで開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、2030年までに森林破壊を止めるだけでなく回復させるという宣言に100カ国以上が署名した。森林保護や再生(修復)のために出資する金額は、官民あわせて192億ドル(約2兆2千億円)。ここに日本も多少出したというのが、かろうじて岸田首相の自慢。日本や米国だけでなく、中国やブラジル、インドネシアなども署名している。

そういや最近、インドネシア食料農業省の高官が、新規のアブラヤシ・プランテーション開発を今後許可しないと発言している。これまでは「一時停止」だったのだが、その期間は9月19日に終了していた。もっとも明確な代替案は示されていないのだが……。

ともあれ宣言への参加国の森林面積を合わせると、世界の約85%の森林をカバーする。で、気になるのが、ジョンソン英首相のコメント。
「巨大な生態系は私たちの地球の肺だ。森林は、コミュニティー、生活、食料供給を支え、私たちが大気中に放出する炭素を吸収する」。

揚げ足を取るつもりはないのだが、この手の発言にはいつも引っかかる。ここでいう「地球の肺」とは何か。炭素を吸収して酸素を出してくれるという意味なのか。それがなぜ「肺」なのか。森林は二酸化炭素を吸収源だというのは無理があるし、酸素も本当に出しているのか。それどころか温室効果ガスを減らすのに森林は役立っているのか。

また東南アジアの熱帯雨林破壊の最大要因とも言えるアブラヤシ・プランテーションの拡大を止めることはよいのだが、そもそもパームオイルを求めるのはなぜか。今や油脂需要は拡大するばかりだ。発展途上国の生活水準が上がったから……という説明は片手落ちだろう。人口減の日本を始め欧米など先進国でも消費は拡大するばかりだ。人類は、塩や甘味料に続いて油脂の依存症になったのか。

もやもやするのだ。

だから『虚構の森』にもそんなことを書いている。関係している第一章と第六章を紹介しておこう。

第1章 虚構のカーボンニュートラル
1.地球上の森林面積は減少している?
2.アマゾンは酸素を出す「地球の肺」?
3.間伐した森は「吸収源」になる?
4.森林を増やせば気候変動は防げる?
5.老木は生長しないから伐るべき?
6.温暖化によって島国は水没する?
7.砂漠に木を植えて森をつくろう?

第6章 SDGsの裏に潜む危うさ
1.桜樹は日本人の心だから保護すべし?
2.和紙も漆も自然に優しい伝統工芸?
3.木材を使わない石の紙は環境に優しい?
4.再生可能エネルギーこそ地球を救う?
5.パーム油が熱帯雨林を破壊する?
6.農薬や除草剤は人にも環境にも危険?
7.人口爆発のため食料危機になる?

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