米需要を支えていた?フードロス
私の興味は森林だけ、と思っている人がいるかもしれないが、そうではない。農業や水産業にも目を配っている。自然と人の関わりを考えるには、農林水産業は大きなとば口になるからだ。
で、最近気にしているのが、米価。
今年の米価が大きく下落したことを知っているだろうか。銘柄米(1等米)は軒並み前年比2000~4000円(60キロ)程度下落した。 なかには1万円を割り込んだ銘柄もあり、米農家はやってられんだろう。高齢化の進む農家の中には、これを機に離農の動きもあるという。
私は、この米価が落ちた原因に興味がある。いや落ちた謎というべきか。
下がった一義的な理由は、需要が減ったのに農作で供給量が増したから。
では、なぜ需要が減ったのか。一般には、コロナ禍で飲食店が営業できなくなり、客も減ったからと思われがちだ。しかし、ここで疑問が湧く。外食しなくても飯は自宅でも食べるはずだからだ。家庭での消費が増えたら、プラスマイナスゼロになると思えるのだが。多少のぶれはあるにせよ、価格に影響あるほどいきなり需要が急減したのはなぜか。そもそもコロナ禍がなくても、人口減少と高齢化で主食用米の需要は毎年10万トンのレベルで減り続けていたのだから、減少は計算に入っていたはず。実際に21年産米の作付け転換面積は、6万3000ヘクタールと「過去最大規模」になっていた。全体的に供給量は減らしていたのだ。それなのに米価が急落するのは解せん。
需要が減った理由はいろいろあるのかもしれない。ただ、理由の一つとして指摘されるのがフードロスの減少だ。
どうやら、これまでの米の需要に飲食店の廃棄ロスも消費量に含まれていたらしい。それが想像以上に莫大にあった。たいていの店舗で見込み炊飯する。あるいは店頭にないと困るので、始めから捨てる覚悟で多めに用意する。また客の残す米飯も多い。そんな捨てていた米。この「消費」がコロナ禍で消えたというのだ。自宅の米は、食べる分だけ炊くから、そんなにロスは出ない。出てもしれている。……このように考えると、なんと、ロスこそ米需要を支えていた可能性がある。それが失われると農家が困るのだ。
ちなみにパン屋でも、閉店間際でも店頭に並べなくてはならないので、廃棄するパンが非常に多いと聞いていた。それと同じことが米飯にも起きていたのかもしれない。
フードロスを減らすのもSDGsにある。それは原則としてよいことだが、ロスをなくすことが日本の農業に影響を与えるとしたら。。。
よく売れ残りを廃棄せずに無料で配る話もあるが、それも価格下落を誘発しかねないから、経済的には慎重にならないといけない。「食べられない人」に配るのに留まらず、「食べられる人」の口にも回る可能性があるからだ。すると購入量が減る。
もちろんフードロス歓迎!とは全然思わないが、きめ細やかな対策がいる。農水省は、主食用米の保管経費などを支援したり、飲食店や子ども食堂に販売する特別枠をつくったりという対策をするそうだが、その場しのぎというしかない。
そういや、木材分野でも「間伐材使ってやるから安くしろ」と要求する消費者がたまにいるが、これも林業経営を圧迫する。補助金で安くするのも同じ。GO TOキャンペーンなどで旅行や外食を安くするのも、長い目で見ると、旅行業・飲食業を衰退を招く。
ところで今年のアメリカでは小麦やトウモロコシ、大豆の作柄が猛暑で心配されたが、幸い収穫量はむしろ増えたそうだ。大豆は過去最高の作柄、トウモロコシも史上2番目の豊作とか。おかげでアメリカのそれらの作物価格が落ちている。
ところがカナダの麦類(小麦、大麦、オーツ麦) や菜種は3~5割の大減産らしい。日本は菜種(ナタネ油の原料)をカナダに9割以上を依存する。食パン用小麦も全体の3分の1がカナダ産。来年の食用油と食パンは値上げ必至だ!
ウッドショックをいち早く指摘した私がいうのだから信用できる……かどうかは読者が判断してほしい。
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あれ?
どっかにバイオマス発電の記事がなかったでしょうか?
真面目に討論が出来ると思って探したのですが?
あれ?
主旨違いですいません。
投稿: 山師10年目 | 2021/11/03 20:39