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森と林業の本

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2021/11/01

動機が不純?高齢林の生長力を見直す

日経新聞に、高齢林も意外に元気? 農水省があてこむ脱炭素の伸び代という記事が載った。

まずは読んでいただければと思うが、ようするに日本の温暖化(温室効果)ガスの削減目標を高く掲げた(13年度比46%削減)ため、どうやって達成するかを考えた際、森林吸収量を従来目標から一気に3割増の3800万トンと見積もって計算した。勝手に数値を変えられないから、その根拠を「高齢林の二酸化炭素吸収能力が、これまでの算出数値より高く見積もってもいいんじゃないか」に頼った話だ。

従来は、高齢化した森林は成長が鈍り、CO2をあまり吸わなくなると考えられてきた。農水省はもともと30年度に約2800万トンまで落ち込むと推計していた。しかし三重県林業研究所のデータをみると、スギやヒノキが50歳を過ぎてからも従来の想定より1~2割ほど大きくなっている。それだけ成長するからにはCO2もたくさん吸っているはずというわけだ。

おいおい、それは私が4年も前に記事にしているぞ。それも国内データではなく、ネイチャー論文からだ。

老木ほど生長する! 森の扱いを考え直せ

 

ようやく追いついたか……(´Д`)。というか、削減目標を高めるため焦って辻褄合わせ的に採用したというわけか。ちょっと泥縄。必要なら、どんなデータでも使うってか? ま、ネイチャーだからというのではなく、私も正しいと感じる。200年300年と生きる木が樹齢50年くらいで生長力を落とすと考える方が無茶なのだ。経験則というか肌感覚でもわかるだろう。

ちなみに、この従来とは違う理論(異論)についても、あと3週間で発行される『虚構の森』で大きく取り上げている。異論が先に主流になってしまうのか。もっとも、これとは別に「森林は二酸化炭素を排出する」という科学データも紹介しているのだけどね( ̄∇ ̄) 。ふふふ、異論の応酬だ。

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でも、これまで伐期(60年)経ったスギやヒノキは二酸化炭素の吸収が減るから伐って使うのだ、と木材の増産の口実にしてきた林野庁はどうするのかね。林業によって気候変動が起きる、と突っこまれるぞ。

しょせん、森林科学は虚構の上に成り立っているのだよ。

 

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