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森と林業と田舎の本

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2021年12月

2021/12/26

在りし日の林業『新山姥物語』

先月、栃木に行って世話になった帝國造林株式会社。実は山を案内してもらうだけでなく、1冊の本をいただいていた。

新山姥物語~林業経営ありのまま』。現社長・植竹雅弘氏の母親、植竹佳恵さん(故人)の本である。自費出版だろう。

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これが面白い。東京生まれの完全な町っ子だった佳恵さんは、学生ながら見合い結婚で植竹家に嫁ぐ。お相手は8歳年上の秀雄氏だ。もっとも義父は国会議員を務めていて家族は東京住まいだった。そして卒業後に栃木那須塩原黒羽町に移る。それが何年だったか正確には書いていないが、昭和30年代のよう。1957~8年ではないか。それから3人の子育てを続けるが、手が離れると、何かがしたい、でも会社の事務はごめんだ、それなら山仕事をする……となっていく。夫も大賛成。ここがすごい。そして山に通い始めるのは、おそらくアラフォーになってからだろう。昭和40年~50年代である。

それからのことが、この本に書いてあるのだが、日本の林業にとってはもっともよい時代だったのではないか。最初は、ひたすら番頭と山廻り。所有山林を見て歩き、標識を設置し、やがて間伐などの選木を覚え……と淡々と書いてあるのだが、それが軽妙な語り口で読ませる。山里の暮らしや従業員のこと、仕事をやらせる立場ながら、自ら枝打ちを手がけ、また立木取引に丸太の出荷にも立ち会う。夫は口出ししない。

そして平成元年に社長に就任するのである。夫は元気なのに、なぜ譲ったのか書いていないが、妻の実力を認めたのだろう。
その後、大雪害にあったり山火事に見舞われたり……と苦労もするが、山仕事の楽しさ・山林経営の醍醐味を感じさせる。

記憶に残る特殊な事情としては、戦後のどさくさに、沢沿いの土地に勝手に入植した家族が何軒もある話。農地も拓き、じわじわ山林も浸食していくのだが、農地解放と同じで、国も認めていたという。ようするに食えない国民を開拓に送り込む状態だ。民間の山なのだけど。結局、世代が代わって山の中に人は住まなくなり、放棄されていくのだが、それを買い戻すのも仕事だったという。

平成に入ると、林業もなかなか厳しい時代に入る(バブル景気もはじけた)が、それを乗り越えていく様子は何かと楽しそう。執筆時は林業にかかわって35年とある。70歳ぐらいだろう。

木を育てる仕事は「子育てにも通じ、案外、女性に向いている」とか「時はゆったりと廻っている」から「気を揉まずにじっくり構えていられる」とある。そしてこのごろは「大変ですねえ」と憐れみの眼差しでみられるようになったとか。

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あとがきが、また読ませる。森を放棄したらどうなるか。一方で「補助がなければ成り立たない事業など、とても業とは言えない」とある。

古きよき時代の林業とも言える。が、今に続く林業の一時代、一地方の記録として読んでもたくましい。

 

さて、今年はこれぐらいにしておきましょうか。

2021/12/25

書店巡り~『虚構の森』を探せ!

大阪に出た。そこで書店をいくつか回る。もちろん『虚構の森』を見つけるためだ。

まずは、紀伊國屋書店梅田店。あった、あった。

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環境書コーナーの棚。うむ。ちょっと本が曲がっているぞ。帯もずれている。

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ちゃんと並べ直す(^o^)。

 

次は、ジュンク堂書店難波店

こちらも、まず環境棚を探す。あった、あった。

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ん? いやあ、見やすいように(^o^)。そして……。

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なんと、森林学の棚にもある。2か所にあるのはいいなあ。どうせなら新刊コーナーとか、ノンフィクション棚にも……ヾ(- -;)。

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『絶望の林業』もあった。こちらは植物・林業棚といったところか。

ともあれ感謝。ほかにも図書館で入れてくれたところが比較的多いよう。買わずに読みたがる人が多いのはちと困るのだが、全国の図書館の数を考えると、馬鹿にならない部数が捌ける。3000以上あるし、分館も持っている自治体が多いから、もれなく搬入してくださると4000部数以上になるぞ(^o^)。

年越しにどうぞ。

 

2021/12/24

イカペディアの正体は?

「イカゲーム」というのが流行っているそうだ。

Netflix (ネットフリックス の中のドラマらしいのだが、私は全然知らん。興味もない。ただ、韓国発らしく、この「イカ」とは何? と思った。で、ちょっと調べると、文字通りイカのことらしい。韓国でもイカはイカ。

そこで思い出したのが、イカペディア。イカゲームを知っている人でも、こちらは知っているかあ? 私は知っている(笑)。

あっさり言えば、水産庁のHP内にある1コーナー「イカペディア」である。

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なんでも「日本いか連合」と水産庁のコラボ企画だそうで、イカを解説してくれるページらしいのだが、内容は「イカ図鑑」と「イカと言葉」の2つしかなくて、薄い。これじゃあ、二度と閲覧にこないよ。

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では、日本いか連合とは何かと思えば、こちらの方が中身が濃い(^^;)。活動は、イカパーティーの開催と、イカ同人誌の発行、各種SNSにて情報発信(TwitterからFacebook、Instagram、YouTube)そしてブログである。こちらの方が盛ん。

とくにメンバーが濃い。研究者からライター、写真家、アーティスト……と幅広く、ようはイカ・オタクの集まりか(笑)。さかなクンのイカ・バージョンかも。意外やメンバー(幹部、いか伝道師)は女性の方が多いみたい。

まあ、外野からこうして応援してくれる人たちがいるのは心強いだろう。肝心の水産行政はボロボロだけど。ちょうど「魚が食べられなくなる日」(勝川俊雄著・小学館新書)を読んだばかりだからなあ。


 

2021/12/23

どっちが寄生?ヤドリギに観る経済学

これは、平城宮跡で見かけたヤドリギ。

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なかなか見事である(^_^) 。これ、落葉樹に着いたので、冬になると葉があるのは母樹ではなく、ヤドリギ側になるのだろう。(常緑樹に着くヤドリギはあるのだろうか?)
このヤドリギの葉は、冬でも光合成をしているのだろうか。していたら、そこで生成した有機物はどこへ行くのか。

ヤドリギは、一般には母樹から養分をいただく寄生木とされるが、実はヤドリギ側から母樹へと有機物を送ることもするそうだ。となると、どちらが寄生しているのか? 母樹はヤドリギから養分もらって生きているという可能性はないのか。天敵ならぬ点滴を受けるみたいに。
もし母樹の葉を全部むしって、ヤドリギばかりいっぱい枝につけたら、母樹は枯れるだろうか。それともヤドリギが母樹を助けるだろうか。ああ、実験したい(^^;)。

寄生・共生の違いは紙一重なのである。

先日、某大山主の大企業の関係者と対話したとき、「林業は赤字ばかりなので、現在経営をストップさせている」うんぬんの話が出た。とはいえ森林管理はしているので年間数億円の赤字が出る。幸い、母体の企業がデカいので、その程度の赤字はたいしたことない。これって、林業部門が本業に寄生していることになるのか?

 でも、本業が苦しくなったときに、林業部門が儲かる時代が来るかもしれない。その時は林業で得た利益を本体に回すことになるかも。まあ、どちらも赤字で倒れる可能性だってあるんだけどね……。。。

 

2021/12/22

玄関前のスギ苗

前も一度紹介したかと思うが、我が家の家の前、玄関の門の下に、小さなスギ苗が生えている。

こんなところに天然杉苗

石とセメントとの隙間にスギの種子が入ったのが今年の夏。それから4カ月後の経過報告である。

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ちゃんと生えておりまする。前より、若干成長した漢字。赤茶けているのは、冬になって水分が抜けたからだろう。このまま枯れることはないと思う。つい踏んでしまいそうな場所で、事実踏んでいるかもしれないのだが、それも試練と思って(^^;)、まだまだ生きてほしい。どこまで伸びるか追跡したい。春を迎えてまた伸びるのを待つ。でも、歩くのに邪魔になったら伐るか、抜くかせざるを得ないけどなあ。

思えば生駒山は、スギが多い。おそらく大半が植林したものだろうが、森林面積の1~2割は占めているように思う。そして、当然そのスギも花粉を飛ばし、種子をつくって飛散させているはず。それが天然スギも育てているのだが、中にはこんな市街地の舗装された地面の隙間に生えるものもあるんだね。

 

 

2021/12/21

「木材安全保障」と「森林安全保障」

週刊東洋経済誌に「木材安全保障」なる言葉が登場した。内容は、住友林業の社長インタビューである。

日本の脆弱な「木材安全保障」が浮き彫りに

内容は、ウッドショックに絡んでのことだが、ちょっと新鮮な言葉に感じたのは、そもそも現在の岸田内閣が経済安全保障を言い出したことと連動しているのだろう。つまり資源の争奪戦や、知的財産・技術の流出防止などを意味するものと思われる。日本の場合、林業がしっかりしていれば、少なくても外部要因としての安全保障など言わなくても済むはずなのだが……。

が、木材安全保障という言葉自体は昔からあったみたいで、国際熱帯木材機関などは違法木材追放を安全保障としていたはずだ。

これ、ある意味二律背反しているのではないか、という疑問が拭えずにいる。現在の世界的な木材市場は、合法性を厳密にすれば木材の供給が不安定になるのではないかと感じるのだ。
この場合の「合法」あるいは「違法」というのは、単にその国の法律という意味ではない。国によってはどんな荒っぽい木材調達をしても合法であるケースは多いし、なかには明らかに盗伐された木材でもロンダリングしてグレー、いやホワイトにさえしてしまうことが可能だからだ。森林生態系を破壊する林業は世界中に蔓延しているだろう。欧米でも。皆伐が禁止されているドイツをグーグル様で見ると、なかなかの皆伐跡地が見つかるよ。

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日本だって、(環境的な)違法木材を取り締まれば、国産材の生産量は何割か減るんじゃないか……。宮崎県の盗伐は、もはや業者だけでなく森林組合に木材市場、県木連などが絡んでいる疑惑が出てきたし、その裏に県警や県行政まで透けて見える。盗伐を止めたら宮崎県の産業が持たない状況かもしれない。ちなみに盗伐がもっとも多い宮崎3区出身の衆議院議員が古川法務大臣なんだけどね。

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もはや「森林安全保障」を打ち出した方がよいかもしれない。木材ではなく樹木と森林生態系の安全保障をしなければならない事態だ。気候変動対策に、森林を吸収源だ、炭素蓄積だと指摘する声が高まっているのだから。そして緊急事態宣言も必要かもしれない。

そして私が過去に冗談半分で提案した森林本位制と木本位が、現実味を増してこないか。

決して絵空事ではないぞ。

2021/12/20

道なき道の山で発見した

運動不足で身体が重い。平坦なところを歩いてはダメだ。

というわけで、今度は山登り。当然、生駒山。とはいえ、私がフツーの登山道を登るわけはない。道のないところを登るのだ。

道路から、わずかな藪の裂け目を見つけて潜り込む。冬は草が枯れているから木々の間を抜けるのに都合がよい。人の道の通ったルートは避けて、いかに道のないところ、それでいて通れるところ、そして山頂へ向かうルートを見つけるか。

基本は稜線を中心に進むが、少しでも藪が薄いところを狙う。途中、幾度か山道に合流したが、横切る程度にして、できる限り避ける。あくまで道のないところを進むのだ。

すると、意外なところで人の痕跡に出会う。

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倒木の下をくぐって……と思うとその前の木に黄色のテープが巻いてあった(゚д゚)。
さらに落葉に埋もれた急斜面をすべりつつよじ登ると……空き缶に出会う。

なぜだ。測量でもするつもりで入った人がいるのか。それともかつて人が通った道があったのか。いや、道がなくても、そこを突破しようと思うと無意識に通りやすいところを選ぶので、同じようなルートになるのかもしれない。本当はゴミだから捨てるなよ、と思いつつ、なんだか「ここに来たのは、オレだけじゃない」という気持ちにさせられる。

さて、無事に山頂に着いた。生駒山の山頂は遊園地である。

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休園中だけど。無人の遊具が折からの強風で揺れていた。。。なんか、幻想的でいい感じ。

さて、下りも道なきルートを探すが、登りのような目標地点がないから難しい。下りで詰まったら撤退できずに危険でもある。

そこでわずかな人の痕跡を踏まえつつ、森を分け入る。不思議なもので、そこでも私が「このルート!」と思って進んだところにビニールテープの印がある。誰か先に通ったのか……。

やがて、どこからか湧きだした水が沢になり川になっていく。そこに沿うように下っていくのだが。なんと!

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ぎょえ、石造りの遺跡だ。古代遺跡発見! と言いたいところだが、これ、滝に打たれる行場ではないか。こんな人里から離れた山の中に行場があるとは。周りは道があるようでないような、廃道レベルなんだが。おそらく戦前か戦後すぐぐらいにつくられたのだろう。神の山・生駒山には宗教施設がたくさんあるが、これもその一つだと思うが、完全に廃墟。

その後、結構下ってなんとか下の道に出た。いやあ、夏になったら、この行場にもう一度たどりついて滝に打たれてみようか。そんな気持ちにさせられたのである。

 

2021/12/19

割り箸の歴史が1300年に!

奈良・平城宮跡(記念公園)に「平城宮いざない館」という展示施設がある。

わりとお気に入りだ。だだっ広いし、無料だし。展示物はそんなに多くないが、古代遺跡からの遺物が並ぶとともに、復元した朱雀門や大極殿や南門……などの建設物の説明もあって、悠久の古代奈良の世界を感じることができる。

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私が散歩に出ると、どうしても山の中に入ってしまうのだが、たまには平坦な道を歩きたい時もある。野外ばかりではなく、施設を訪ねたい時もある。しかし生駒で平坦地は難しい。その時、平城宮跡はもってこいなのだ。130ヘクタール以上の野原なんて、今どきなかなかないよ。しかも歩けば、常に新しい発見がある。そこで今年も押し迫ってきた日に、またこの展示館を訪れたのである。

今回は「いざない館」で重大な発見をした(゚д゚)。

ごみ捨て場の遺跡の解説があったのだが、そこにこんな説明文が。

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読めるだろうか。お箸が大量に見つかっているのだ。しかも、あまり使い込まれていず、食べた後に捨てたらしい。これって……割り箸の起源ではないか!

割り箸とは、何も食べる直前に割るものではない。最初から割った箸もある。むしろ「木を割ってつくった」という意味と捉えるべきだ。基本は素の木製で、使い捨てであること。この発掘された箸は漆などの塗料も塗られていないし、使ってすぐ捨てたとなると、割り箸の定義に当てはまる。

だとすると、割り箸の起源は1300年前に遡れる???

これまで1837年の文献に登場するから誕生もこの頃とする意見も強かったが、拙著『割り箸はもったいない?』で紹介したとおり、1709年の古文書にも「わりばし」という文言が登場していることが郷土史家によって発見されている。300年の歴史があるとされてきた。
が、700年代の奈良時代の遺跡から見つかっているということは……起源は1300年前以上前になるのだよ( ̄^ ̄)。

すごくない? こういう思いを馳せることができるから楽しい。

 

 

 

2021/12/18

奈良ジュンク堂書店で発見

ようやく見つけました、書店での『虚構の森』。 ジュンク堂奈良店です。

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絶望の林業』と並んでいるのはお愛想v(^0^)。どちらも3冊平積み。隣の『「至極」のラーメンを科学する』も興味を引くが……。

意外と苦戦したなあ。地元および奈良駅前の啓林堂書店にはなかったし。科学書、ノンフィクション、ええいと園芸書の棚まで見たがない。入荷しているのは間違いないのだが、売れた後に補充がないということか。

一応、Amazonの環境本順位では4位とか5位をうろついているのだけど。(よく見ると、上位に「Hanako」のような雑誌が入っている……。)わりと分類の棚がはっきりしない。

地道に行きます。来週は、『虚構の森』をネタにしたオンラインセミナーが2本。どちらも会員制なので、ここでは紹介しないけどね。

 

2021/12/17

Y!ニュース「パーム油は悪か。…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「パーム油は悪か。人類の油脂依存症に目を向けろ」を執筆しました。

年内にもう一本、虚構ネタをアップしたいな、と思って選んだのがこれ。というだけではない(^o^)。

たまたま英語の「Our World in data」というサイトを見たのだ。そこに「Palm Oil」という項目がある。これがなかなか含蓄がある。パームオイルに関して、細かなデータが載っていたのである。オープンアクセスらしい。ぜひお読みすることをお勧めする。あ、もちろん機械翻訳ねv(^0^)。

ただ、このネタは『虚構の森』でも取り上げているから、あえて言えばあとづけ確認である。そういやYahoo!ニュースの自著紹介欄も新刊に変更をお願いしなけりゃイカンな。

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こんなグラフも豊富。使おうかと思ったが、写真で埋まってしまったので、ペンディング。

2021/12/16

フォレスターアカデミージャーナル

このほど奈良県フェレスターアカデミーが奈良県フォレスターアカデミージャーナルを発行した。名前、長すぎ……。

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PDFなので、こちらからダウンロード

内容についてはそれぞれが読んでくれればよいかと思うが、森の中にデッキを建設したというところが、一番目がとまった(笑)。
どこなのか訪れてみたい。そこで寝転がりたい。

ちなみにAgrioという、こちらもPDFの雑誌にも、奈良県フォレスターアカデミーが紹介されていた。主に恒続林づくりについて紹介しているが、恒続林という言葉を使っていないのが面白い(^^;)。あくまで混交林である。混交林から択伐施業で林業やったら恒続林ということになるのかな。

◎放置林を混交林に=奈良県(21/12/01)
奈良県は、施業放置されたスギやヒノキの人工林を、広葉樹など別の樹種も含む「混交林」にする取り組みを進めている。
多様な草木が育成する状態にすることで、崩れにくく防災力が高い森林にするのが狙い。県の森林環境税を財源とし、2025年度までに1100ヘクタールの混交林化を目指す。
事業は市町村に委託して進める。住宅や公共施設が災害に遭う恐れがある場所などを市町村が「森林防災力強化区域」に設定。区域内にある森林のうち、直近10年間で間伐が行われていないなど、一定の条件を満たすものを整備対象とする。

整備に当たってはまず、対象となる森林の一部を皆伐。その場所にクヌギやコナラといった広葉樹の苗木を中心に植栽していく。苗木の生育を促すため、植栽地周辺の間伐も事前に行う。皆伐する場所は、0.25ヘクタールごとに1カ所(約400平方メートル)を基準とする。苗木の数は、400平方メートルにつき約20本。植えた苗木には、専用のカバーを使って獣害対策を施す。
県によると、県内の放置林は木材出荷量の減少に伴って増加傾向にあり、試算では約8万8000ヘクタールにも上るという。森と人の共生推進課の担当者は「新しい取り組みだが、放置林をなくすために根気強く行いたい」と話している。

放置林というのはおそらくスギ林だろうが、ここに広葉樹を混交させる技術はまだ模索中だろう。小規模皆伐後に広葉樹の苗を植えるとあるが、上手く行くかどうか。こまめに観察が必要だろうな。

ちなみに私は、同校の開校後は訪れていない。避けているわけじゃない(^^;)が、改めて訪れるのに敷居が高かった。遠くから見守っていたのだよ。

が、2月に特別講師を務めることになった。1年の締めくくりになるかどうか。初訪問にして生徒たちと初顔合わせとなるか。
先日、吉野町の町長とも話したのだが、せっかく吉野にできたこの学校を上手く展開することで、奈良のみならず全国の林業に影響を与えてもらいたいものだ。

 

 

2021/12/15

国産サカキとコウヤマキ

農産物直売所で見かけた供花の列にあったのがこれ。

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サカキだ。主に神道系の供花……というか依代だろう。が、張り紙にあるように「国産のサカキ」であることが売り物にしている。
そうなのだ、今や市場に出回っているサカキの9割以上が中国産なのであった。国産は珍しいわけだ。神道なのにねえ……。
ちなみに、売っていたのは和歌山県龍神村産でした。生産者の名前入り。

なお、その横に並んでいたのがコウヤマキ。

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これも国産だ。なんたってコウヤマキは日本固有種であり、特産だから。こちらは真言宗の供花代わりに使われる。コウヤと着くのも高野山が由来で、単にマキ(槙)とか本槙と言う方が本物ぽい。ただ天然のコウヤマキ林はほとんどなくなっており、現在は造林したコウヤマキから枝葉を採取している。すると、その森はこんなのになる。

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うねうね、にゅろにゅろ。萌芽が伸びて不思議な姿になっている。私は、これこそ魔界の森だと思ったよ。先日紹介した魔界の森の王の樹も、実はコウヤマキであった。

サカキやコウヤマキの供花生産も、立派な林業になっておりまする。

 

2021/12/14

雑誌のweb化と書店消滅

「グリーンパワー」が12月号を持って発行を停止し、来年度からはwebで公開していくという。これは有料なのかな。。。

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「グリーンパワー」は公益財団法人森林文化協会(朝日新聞社の外郭団体)の発行する機関誌という位置づけだが、書店売りもしていて文字通り森林文化を扱っている。具体的に言えば、林業も含む森林、環境、文化と人間社会との交わり部分を重視した雑誌だ。森林科学・環境化学からベタな林業経営や農山村の地域おこしまで。
実は、私の扱うテーマとかなりシンクロする。森林ジャーナリストは森林文化を扱うのである。林業はその一分野にすぎない……と繰り返してきたが、その路線を重ねているかのような雑誌であった。

以前は私も連載を持っていたし、終了後も単発で時々執筆していた。ただ徐々に厳しくなる。経費が出なくなったので取材ものは書けなくなり、論説中心になってきたし、編集者の交代も繰り返されて遠ざかっていたが……。今回も「情報をいち早くお届けするために」などとweb化を説明するが、まあ、経営難なんでしょう(笑)。財団と言っても昨今の金回りは厳しくなっているはず。

折しも、こんな雑誌特集も。

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創の特集「街の書店が消えていく」。ああ、実感するなあ。身近な書店がないもの。全国の書店数はざっと8000になったと言われ、1996年の2万7000からすると3分の1以下だ。出版の総売上も、ピークの3分の1。ただし書籍は4割減ほど。ようするに雑誌の落ち込みが激しい。これが街の書店を直撃したわけだ。

一方で電子本は伸びていると言われるが、その9割はコミックである。雑誌の電子化も進んでいるが、サブスクが多いから利益が出ているのかどうか。web広告頼りになりがちだ。また電子書籍はあまり売れていないよう。実際、私が出した電子書籍も全然部数は伸びていない。まあ、紙版の焼き直しだから静観しているが、書き下ろしだったら、たまらん。

紙でなくても電子版で読まれたら……と思いがちだが、書店がなくなって紙の本を買わなくなった人が、電子版を購入するようにはならないらしい。そのまま本を買わなくなるのだろう。読むのはネットの細切れ記事ばかり。
出版社と取り次ぎは対策としてネット化を進めるが、すると書店はいよいよ追い詰められる。そこで書店は本以外のグッズを置いたりカフェを併設してその収入を当てにするが、今度は本よりグッズの方が儲かるものだから、徐々に本を置かなくなる(泣)。

……とまあ、書き手として業界の先行きには関心を持ち続けているのだが、ふと目に止まったのが、「出版界の総売上は約1兆4000億円」という数字。そして出版組合の健康保険の加入者は約8万人とか。これが従事者数に近いとされる。

これって、林業界より大きい(笑)。林業の売上はどこまで含めるかによるが(市場以降の流れ、製材~プレカット~建築業界は外すべきかと)、木材とキノコを中心とする林産物と森林利用では1兆円に達していないんじゃないか。林業従事者数も4万人あまりだし。

林業界は出版業界の半分ぐらいの規模? 古くさい流通問題を抱えている点も、下流と上流の情報がイマイチつながっていない点も、ものづくり生産者への還元が少ない点も似ている。

林業界は、出版業界の状況も参考にできるかも。生き残りの模索事例になるかもよ。電子本ならぬ電子木材を売り出すとか(笑)。ヴァーチャルウッドと呼ぶべきか。

私は、生き残るために林業界ライターにはならないけど、出版業界ライターになろうかな。。。

2021/12/13

産経に『虚構の森』書評

産経新聞に『虚構の森』書評が掲載された。(これはネットだけ?新聞本紙にも? 後で確認する。)

書評 『虚構の森』田中淳夫著
本格的な書評一番乗り!である。感謝。

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産経向きの本だという自覚はあった(^o^)が「自分で考えることの大切さ」まで書いてくれたのが有り難い。自分で考えるのは面倒だから答えを教えてくれ、それも自分に都合のよい答えを、という世間の風潮に異議を申し立てるのが目的だったから。まあ、この異議に対して異論があるか、異説が正しいかどうかは、また自分で考えてほしい。

 

2021/12/12

宇野峠の土倉庄三郎顕彰碑

ふと思いついて、奈良県五条市の宇野峠に出かけた。

土倉庄三郎は、奈良の五条から吉野までの東熊野街道の建設にも関わっている。奈良盆地の縁、吉野川沿いルートかと思いきや、山越えルートもあって、巨岩を打ち割って切り開いたとかで莫大な金がかかったそうだ。その顕彰碑が、宇野峠に建てられているのだ。

私は以前土倉庄三郎を取材していたときに、可能な限り庄三郎が関わった場所を訪ねたが、なぜか、この宇野峠だけが抜け落ちていた。正直、碑自体はさほど大きくも詳しいものではなくて、それを見なくても記事は書けるし、その気になればいつでも行ける……という気分があったのかもしれない。

が、昨夜の深夜なぜか思い出して、場所を調べると、すぐにわかった。片道1時間ちょっとだ。ならば行くべ。

というわけで飛び出したのである。宇野峠には渋滞は別としてあっさり着いた。が、碑の場所が意外や難航。標識が小さなこともあるが、車から探していると、なかなか目に止まらない。多少、峠を行き来してようやく発見。

が、これが,また……。

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これはわからんやろ。標識の小ささに加えて、草ぼうぼうで見えない。しかも擁壁の向こう側。新たな自動車道が建設された際に、道筋から外れて、碑が追いやられたのか。

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それでも碑をみようとしたのだが、この有様。幸い冬なので枯れているが、相当丈の高い草が繁っている。高さ3メートルはあるか。

そこで一念発起。顕彰碑を見る前に、草刈りと掃除だ。と車の荷台に積んである鎌などを取り出して草刈りをする。さらに埋もれていた碑の裾部分を掘る。徐々に土が流れ込んで埋もれてしまうとは想定外だった。

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なんとか、ここまで回復。スコップがあれば周辺も均して、水があったら碑を磨くのに。それでも、ちゃんと碑文が読めるようになった。漢文だから、完全に文意をつかめなかったけど。ふいに100年以上前に心がもどる。(街道が完成したのは明治20年。)

何やら年末に良いことした、という気分になれる(^o^)。よい新年を迎えられそうだ。

せっかくの記念碑・顕彰碑も、メンテナンスをしないと忘れられてしまうなあ。そういや川上村大滝の「土倉翁造林頌徳記念」の巨大磨崖碑も、最近掃除をし直したそうだ。まだ終わってからの状態見ていないが、メンテも大切だよ。

 

2021/12/11

『虚構の森』のランキング

Amazonので『虚構の森』の売れ筋ランキングを見てみる。

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10日に環境問題のカテゴリーで2位をつけた。が、

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翌日には6位に落ちた(笑)。多分、環境問題の書籍というのはそんなに出版点数が多くないから、1日に多少多くの人が買ってくれたら順位が上がるのだよ。誰か、Amazonで5冊くらいまとめ買いしてくれ。一瞬だけ1位になるかもしれん(他力本願)。

まあ、出版直前に20位当たりをうろちょろしていたから、これぐらいをヨシとしよう。

ちなみに本日は、谷山浩子のコンサートが開かれた。東京だから直前に配信を申し込んだのだが、リアルタイムでは見られなかった。これからアーカイブにチャレンジするかなあ。

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もし『虚構の森』の順位を上げることに貢献してくださった奇特な方がいらっしゃれば、谷山浩子のアルバムを差し上げます。「浩子の宅録」先着1名様。どうして確認するかが至難だが……。

 

2021/12/10

Y!ニュース「…木を燃やして脱炭素という虚構と欺瞞」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「ありえない!木を燃やして脱炭素という虚構と欺瞞」を書きました。

これ、以前から書いたり発言していることなのだが、その場合は「伐採搬出に使う化石燃料」「輸送に使う化石燃料」、あるいは燃料調達によって破壊される森林の生態系……などに焦点を当てがちだった。しかし、根本的にバイオマス発電は二酸化炭素削減に役立たないんじゃないの、という点にクローズアップしてみたものだ。

ここには記事に書ききれなかった分を補足したい。

現在指摘されているのは、ホットハウス・アース理論である。地球上の平均気温が1・5度以上上がると、連鎖的に気候変動が起きて、もはや後戻りできないティッピング・ポイント(臨界点)を超えてしまう、というものだ。そうなると、いくら二酸化炭素の排出を減らしても、もう温暖化は止まらないし、気候危機が拡大する一方になってしまう。北極や南極の氷も、シベリアなどの永久凍土も溶ける。メタンが発生するので、温暖化はもっと進む。海流のルートも変わってしまい、深層流が消えて季節のバランスが崩れる。気候もガラリと変わる。アマゾンに雨が降らずに草原か砂漠になるかもしれない。

もし平均記憶がプラス4度になったら、地球上は灼熱地獄になるらしい。人は住めるだろうか。。。。

科学者たちがこうした指摘をしたことから、世界中の政治家もさすがに焦って、2050年までにカーボンニュートラル、つまり二酸化炭素の排出を実質ゼロにしなくてはならない……と訴えてCOP26で協定が定められた。しかし、信じない政治家も多いし,守る気のない国も多そう。

が、肝心の二酸化炭素の排出をプラスマイナスゼロにする方法として、バイオマス発電(世界中の再生可能エネルギーの約7割を占める)を推進しても、全然ニュートラルにならないじゃん、と思うのだ。(なぜか東京弁)

2030年まで9年、2050年までとしてもあと30年ないんだよ? 木をどんどん伐採してどんどん燃やせば、二酸化炭素の排出量は増え、森林が光合成で吸収していた二酸化炭素の分も減らない。理論的に回復するのも30年どころか60年以上先。つまり見せ掛けの削減は成功しても、大気中の炭素量は全然減っていない、ことになりかねない。その前にティッピング・ポイントを超えたらどうするのよ、とグレタさんなみに心配しているのだ。

もはや神頼み。魔界の森に行って拝んでこよう。

今どき世界中で増えている火山の噴火に頼るしかないかも。噴煙の微粒子が地球のオゾン層まで達して地球を覆い尽くせば、太陽光を遮って温室効果ガスを相殺してくれるかも。そして寒冷化が始まるよ……。まあ、その時は別の気象災害が頻発するだろうけど。

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魔界の森の王。

2021/12/09

ニオイ木って何?

たまたま目にした記事。山形県置賜農業高校園芸福祉科が、消臭効果があるとされている「ニオイ木」の研究を続けている……というものだ。

すると不快臭の原因となるアンモニアガスと硫化水素ガスに対し、空気清浄効果で有名な観葉植物「パキラ」と比べて、ニオイ木が6倍の吸着能力があることを証明した、というのである。

この記事そのものは面白い。農業高校の生徒が外部から研究依頼を受けて、いろいろ挑戦して,ついに証明した、というのは絵になる。

ただ気になったのは、「ニオイ木」って何? という点。

こんな植物は知らない。おそらく山形県か東北の地方名なのだろうけど。検索しても、グーグル君には登場しない。あえて言えば、この置賜農高の研究を紹介する記事があるだけ。しかも近年は減っているので栽培方法も研究するというのだが、どうも確立した技術がないらしい。

いろいろ断片的な情報から調べると、ようやくクサギのことだとわかった。クサギは臭木と書くが、臭いをニオイと読むのかも。

しかし、クサギとはその名の通り臭い木なのだよ。それが消臭効果というのも面白い。それに減っている? 西日本だとどこでも生えているような気がするけどなあ。もともとパイオニア植物だし、わさわさと生えて、それを切ると臭い……というイメージがある。

それでも置賜農高では、組織培養に成功して効率的な増殖方法を実現した。そして品質や環境に配慮した花卉生産の国際認証「MPS」を取得したという。この認証も初めて知ったが、それを地元の深山和紙を製造する企業に依頼して製品開発するまで進めているという。

雑木林の雑木、というよりほとんど雑草みたいな低木が、ここまで資源となるのはすごい。農業高校もやるねえ。

昭和天皇ではないが「雑草という名の草はない」のであって、それぞれの草木にはさまざまな特徴があり、それを活かせば商品化も可能なのかもしれない。

Photo_20211209220801 ニオイ木ならぬクサギ。

2021/12/08

「回復不可能な炭素」に入れるべき“林業”

ネイチャー系論文誌「Nature Sustainability 」に、

地球の生態系における回復不可能な炭素のマッピング

という記事が載った。難しいので機械翻訳に頼ったけど(^^;)。それでも難しい。

失われた場合、最悪の気候への影響を回避するために正味ゼロの排出量に到達する必要があるときまでに回復できなかった生態系炭素

なんて言葉が並ぶ。日本語になってないけど、なんとなくわかる。それに悪戦苦闘していたら、朝日新聞に要約記事が載った。

生態系破壊で回復が不可能な炭素1391億トン 熱帯林や泥炭湿地

こちらの方がわかるわ(笑)。ようするに2050年までに回復するかしないかを基準に調べた結果だ。

森林破壊や火災、乾燥化に伴って、森や土壌からも放出される。特に、原生林や泥炭湿地、マングローブは炭素が集中。ここを壊すと回収まで数世紀かかるという。
こうした「回復不可能な炭素」を推定。南米アマゾン(約315億トン)、東南アジア(約131億トン)のほか、アフリカのコンゴ盆地や、北米の北西部、西シベリアなどに多かった。CO2に換算すると、18年の世界の排出量の15倍以上にもなった。

まあ、詳しくは論文か朝日の記事を読んでほしいが、私はこれに加えてほしいのがある。

それは林業における間伐だ。

森林吸収分を削減目標に含めるため、「管理された森林」=「間伐した森林」と日本政府は定義つけたが、木を伐るのだから゛伐られた木が行う光合成はなくなり、吸収量は減る。さらに間伐した木はどうなる? 今は搬出されるものもあるが、バイオマス発電などで燃やすのだからCO2排出する。搬出せずに林地に眠らせたら腐ってCO2を排出する。
間伐したら、残された木々の成長がよくなって、たくさん吸収するようになる、と主張するのだが、なに最大限に回復しても、伐った分を回復するのが精一杯で、伐る前より増えることは有り得ない。林地の面積で吸収できる量は上限があるのだ。しかも回復するには数年、数十年かかる。こんなの森林生態学の常識だ。

加えてカーボンニュートラル理論も、ニュートラルになるまで数十年かかる。しかも植林もせずにほったらかしの伐採跡地では、回復はもっと遅れるだろう。

つまり2050年までに回復しない可能性が高い。これでは大気中のCO2を増やしこそすれ、減らすなんて有り得ない。

……詳しくは『虚構の森』には書いているのでよろしく(^o^)。

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2021/12/07

シカにもうつるコロナウイルス

アメリカのCNNによると、アメリカに生息するオジロジカなどの野生生物が、新型コロナウイルスに感染していたらしい。

シカなどの野生動物にコロナ蔓延 新たなパンデミックの可能性、専門家が危惧

ペンシルベニア州立大学の研究チームの発表によると、アイオワ州で2020年9月~21年1月にかけて実施した検査で、シカの3分の1に新型コロナウイルス感染の痕跡があったというのだ。
先に農務省は、7月に4つの州で検査を実施したところ、シカの40%で新型コロナウイルスに対する抗体が確認されたと発表していた。またユタ州のミンク農場で集団感染が起きていたので周辺の動物を検査したら、スカンクやネズミなどの動物が、複数の種類のコロナウイルスを保持していると判明。この場合は新型コロナウイルスではなかったが、コロナウイルスの種類や数は非常に多いと報告している。

つまり、野生動物にコロナウイルスがうつるのは、そんなに珍しくないわけだ。

人が捨てた食べ物や人が吐いたつば、鼻をかんだティッシュなどから野生生物にウイルスが感染する可能性もあるらしい。下水からウイルスは見つかっているのだから流水にも入り込み、シカなど野生動物に広がってもおかしくないだろう。野生生物に新型コロナウイルスが感染したら、動物の間でウイルスが循環し続け、再び人にうつる……ことだってあるかもしれない。その間にウイルスが変異して、より感染力や毒性が高まることだって……。

これも新たな獣害かもしれない。

何やら不穏な話。それにしてもシカが新型コロナウイルスに感染するなら、山に入っている人も心配しなくてはならん。とくに有害駆除や狩猟でシカやイノシシに触る人は要注意かも。『獣害列島』は深く進行している。

もしかして一番怖いのは奈良かも。街の中にシカがいるのだから人間との接触がもっとも多い。奈良のシカがコロナ禍に襲われたら人にもうつるよ(> <;)。鹿せんべいを通して。鹿と日本人は古くからのつきあいだから。そもそも人から奈良のシカにうつした可能性の方が高いかもしれない。
このところ奈良は感染者ゼロを続けているが、シカが発病したら、やはり隔離するのか? 無理だねえ。。。

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行き倒れている奈良のシカ……ではなく、おそらく食い過ぎじゃないか、鹿せんべいの。

2021/12/06

速報・宮崎県の盗伐に新展開

いまだ盗伐は各地で相次いでいる。相変わらず宮崎県では盗伐が相次いでいるが、ここが酷いのは、山主が切られた自分の山を発見して被害届を出しても警察が受理しないこと。50回ぐらい出し続けて、ようやく受理したかと思えば、すぐ不起訴で立件見送り……。どうも警察と盗伐業者が裏でつながっていることを暗示する証拠がチラホラある。

そこに新たな事態。いきなり宮崎地方検察庁が動いたのだ。これまで不受理だった盗伐案件の現場を検事が実況検分したのだという。

これは異例である。通常、検事は滅多に現場に足を運ばず、取り調べは警察が主体となり、その書類を見て判断するものだからだ。もちろん検事には警察の指揮権があるのだが、滅多に発動されない。今回は、検察抜きで検事(事務官含めて4人)が現場を訪れたという。そして被害者から聴取が行われた。

まだ一報なので、詳しいことはわからないが、もしかしたら「山が動く」かもしれない。

それにしても……毎度の繰り返しだが、林野庁も自治体も、動かない。それどころか某長官は「誤伐かもしれない」と業者を擁護する有様。今年になってようやく末端が現場視察を行ったが、幹部は動かない。

林業系の業界誌紙も、まったく盗伐問題を取り上げないのはどうしてかね。メディアも、一般紙がベタ記事扱いなのは仕方ない(世間のニュースバリューが低いため)として、業界を専門とするメディアが見ざる聞かざる言わざるのは……お見事というほかない。盗伐業者も身内というわけか。やっぱりクソだな。

ちなみに古川禎久法務大臣は、宮崎県第3区選出である。都城から日南、串間、えびの……と“盗伐の本場”出身なんだが、地元のどちらの声を本気で聞くかな。被害者か、あるいは盗伐業者か。注視したい。

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盗伐現場と、そこにある地籍杭。これがあっても、「誤伐」扱いされてしまう。

 

※先日触れた盗伐に関して、書き改めてBLOGOSに「盗伐を音で探知する!」を転載した。

2021/12/05

『虚構の森』、品切れ?

福島県の郡山ジュンク堂書店の画像を送ってきていただいた。ありがとうございます!

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じゃん。『虚構の森』が平積みだ。目の高さだから、なかなかよいポジション(^o^)。

それで気づいた。私はまだ拙著を書店で見ていない! これはイカンでしょ。本当に並んでいるのか。はたまたネット空間の幻か。

というわけで確認に走る。と言っても、身近な書店は小さくてこの手の本はなかなか扱われない。そこで車を走らせ奈良ジュンク堂へ。そこで書棚を渉猟するが……植物・林業の棚にない。科学の棚にない。環境の棚にない。。。ノンフィクション棚もなかった。そこで店にある検索機に走る。署名を打ち込んで、と。ほら、出た。

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ん? 在庫0冊……! なんだそれは!! まだ新刊だぞ。発刊されて2週間経っていない。もしかして、品切れになるほど飛ぶように売れているのか? いや1冊しか入荷せずに、それが売れたら、はい、オシマイってケースではあるまいな。(以前出版した版元にはそうしたところがあった。補充しないのだ。)
もちろん、私は「補充を希望」に訴えましたよ。

代わりにあったのは、こちら。

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絶望の林業』が今も平積み。かなり冊数もあったぞ。これで許そう……そんな問題じゃないなあ。新刊なんだから早く補充してくれ!

そして、つい衝動買いした本がこちら。

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3000円超すので、さすがに躊躇したし、その分厚さを手にとって読み切る自信がわかなかったが、ええい、ままよと……。

実は、本庄幽蘭に興味があったのだ。こんな女性好きなんだな(笑)。

新聞記者、保険外交員、ホテルオーナー、女優、辻占いの豆売り、日本語教師、活動弁士、講談師……転職50回以上、50人近い夫を持ち120人以上と交際し、日本列島、中国大陸、台湾、朝鮮半島、東南アジアに神出鬼没、明治・大正・昭和を駆け抜けた毛断(モダン)ガールの本家本元、本荘幽蘭(ほんじょうゆうらん)謎に包まれた生涯を、丁寧に追った傑作評伝。

その証拠に20年近く前に、こんな記事を拙HPに書いている。娼婦になりたかった本庄幽蘭

当時は全然正体が知れなかったのだが、興味津々。しかし、まとまった資料があるわけではないのに、よくぞここまで詳しく調べたことに驚く。すると、これまでの噂のような姿とは少し違うようだ。また読むのはこれからだが、そうとう知的で深慮、才気煥発で、でも豪傑で行き当たりばったりで、そのうえ淫乱だった? しかし、その人脈は頭山満や宮武外骨、出口王仁三郎、女優俳優の数々、そして総理大臣まで広がるのだから凄まじい。

でも、これを読む前に、本屋で『虚構の森』が並んでいるのを見たい。 目撃した人は、証拠写真を添えて送ってください<(_ _)>。

 

2021/12/04

盗伐を音で探知する!

秋田県湯沢市で盗伐が起きた、という情報を得た。すでに“犯人”業者は特定されているようだ。

そして、また宮崎県からも100ヘクタール単位の盗伐が確認されたという連絡も受けた。串間市を中心に広範囲に行われていた。こちらも業者はわかっているのだが、多くの人が出した被害届を宮崎警察は受理されない。それを却下した警部の名前もわかっている。仕方ないので民事で訴えたが、すると「盗伐」ではなく「誤伐」扱いされて、賠償金の額は、1本あたり400円程度になってしまう。50~60年育てた木が400円!
一方で、宮崎地検が動き出しており、警察抜きで実況検分を行う動きもある。警察が受理しなかった被害届を地検が取り上げたとしたら、極めて珍しいことだろう。

盗伐は、今も治まる気配がない。わずかな業者が告発されたものの、それぐらいで止まらないほど、業界のシステムに組み込まれているのだろう。多いのは九州とされているが、さらに東北、北海道へと広がりを見せている。

それにしても、これほど広がっている盗伐を止めないどころか警告も出さない林野庁を始めとする行政官庁に失望する。そして林業を専門とする業界紙誌も、まったくと言ってよいほど触れない。仕事放棄に等しい。いや盗伐者と同じ穴のムジナだからか。

暗澹たる気分。SDGsだ、地球環境だというわりには、森林環境よりは目の前の金なのだろう。

そんなときに、こんな記事を読む。日立の研究なのだが、熱帯雨林の違法伐採を見つけるシステム設計を手がけているというのだ。それはアメリカの環境NGO、レインフォレスト・コネクションとのコラボだ。

日立、熱帯雨林での違法伐採を防ぐ「監視システム」開発

これまでも盗伐発見のために衛星画像を使うとか、なんだかんだと研究はされているが、映像だと伐採跡地を見つけることはできるが、後の祭り。盗伐にあった場所は見つけられるが、それは伐られてから発見するわけで手遅れ。犯人探しをしても、切られた森はもどらない。
だが、ここで開発されたシステムは、音で探知しようというところ。音ならば……。

チェンソー、トラック、銃声……さらには森の動物の鳴き声までをAIで分析して、違法伐採業者の侵入を探知する。そして、すぐにしかるべき機関に通報するという。

「最大の課題の1つは、人びとにできるだけ早く森の中にある脅威に気付いてもらうことです。日立は、森の音が私たちに脅威を知らせてくれるようにしてくれました。チェーンソーや銃を持った人が森に踏み入ったり、トラックが乗り入れたりすると、動物たちの行動が変わり、森の中でいつも起きている音とは違う音が生じます。非常に繊細な形で、動物たちが自分たちの感情や考え、感覚を表現するだけでなく、周囲で何が起きているかを伝えるのです。こうした現象を察知する上で、人工知能を利用することが重要なのです」(ホワイトさん)

違法伐採者が森林の下見に入ったときの音を検知するのだという。森の住人が入るのとは音が違うのだろう。膨大な森の音を収集して、AIで森に危害を加えそうな人の侵入を音で聞き分けるのだ。

もちろん、これは熱帯雨林に合わせた仕様ではあるが、理論的には日本の森でも応用できそうに思う。むしろスギやヒノキの一斉林の場合は、音の種類も少なめで簡単ではないか。ぜひ開発してもらいたい。
もっとも、森を守る意識高い系の林業関係者がどれだけいるのかが問題だけど。装置の設置をしぶる林業家に、そもそも山に関心のない山主。通報があっても動かない行政や警察……なんてのを想像してしまう。現場に足を運ぶのが1週間後とかだったら、あまり意味がない。

それでも、予防効果はある。探知したら自動でサイレンを大音響を流すとか警告を放送するなど、対応も自動にすれば盗伐が始まる前にストップをかけられるかもしれない。

日立よ、小型原子炉をカナダから受注するよりも、こちらの研究の方が価値があるぞ。

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パプアニューギニアのジャングル伐採跡。

2021/12/03

スウェーデントーチ?

ホームセンターで見かけたもの。

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スウェーデントーチだそうだ。単に短い丸太に切り込みいれただけ(^^;)。でも、その切れ込みに火を入れる(紙でもいいし、燃えさしでも固形燃料でも)と、よく燃える。しかも、切れ込み部分が五徳となり、丸太の上面に鍋などをおける。すぐ沸くのだ。また火持ちもよい。丸太の大きさ次第だが、数時間は持つ。

この商品の樹種はわからない。ちょっと細いな。どこでつくっているのかラベルをよく見ればよかった。まさか(スウェーデンからの)輸入物ではないだろうな。

しかし、私がこうした丸太の燃やし方を知ったのは20年以上前。その時から「これは商品になる!」と言って周りに勧めてきたのだが、なかなか普及しなかった。奈良県では森林技術センターで燃焼実験までやったのに。

ただし、当時は「木ろうそく」とか呼んだ。ちょっと耳で聞いただけなら意味がわからないので、切り株コンロと呼んだり、最近はログファイヤーなんて言い方もあるらしい。でも、スウェーデントーチというのはどこから? スウェーデン製があったからか。

私もつくったことがあるが、スギはよく乾燥していないと上手く燃え上がらない。見た目はよくても芯が湿っているのだな。

それにしても……このホームセンターではよく売れているのか、底を尽きかけている。

2021/12/02

ウッドショックが止めたバイオマス発電

昨日のメガソーラー問題の続きということで、バイオマス発電の話。

実は少なからぬバイオマス発電所が止まっている、あるいは止まりつつあることを知っているだろうか。

その理由は、ウッドショックだ。ウッドショックは建材不足から来る価格高騰だが、それに引きずられてバイオマス燃料価格が上がっている。輸入される木質ペレットはもちろん、パームオイルもだ。もともとパームオイルを燃やすというのは邪道なのだが、コロナ禍でマレーシアのアブラヤシ農園の稼働が悪くなり(インドネシア人労働者がいなくなったからだと)、生産量が減ったことから価格も2倍以上に跳ね上がったのだ。

結果、これらの輸入燃料を使うと採算が合わなくなり、稼働停止にするところが続出している。(現在、8カ所。)

たとえば旅行会社H.I.S.グループのパーム油発電所(宮城県角田市・出力41,100kW)は、今年1月に営業運転を開始したばかりなのに、あっさり止まった。の稼動を、運転開始後まもなく停止した。ほか茨城県2カ所も止まっている。
さらにヤシ殻PKSも不足気味で価格も上がっているから、こちらの燃料を宛にしていたところも行き詰まるだろう。

7_20211202212401アブラヤシの実

もともと木質バイオマス燃料は不足気味だった(から、A材でも燃やしてしまうのだけど)が、価格高騰したら、もうFITがあっても採算が合わないわけだ。

しかし、逆にこれらの発電所、電力供給の公共性についてどう考えているんだろうね。赤字ならすぐに止めてよい、というのは社会的な役割を放棄しているのではなかろうか。2020年3月時点で500万kWが稼働していたというが、これらがなくなると電力供給計画が狂うだろう。国も、CO2削減にバイオマス発電を増強するつもりなのだから。

電力は公共財なのだから赤字でも供給しなさい、と尻を引っぱたきたくなる。……まあ、そんな意識はかけらもない業者ばかりなのだろうが。

私はソーラーや風力はまだ場所や規模を選べばよいと思っているが、バイオマス発電は原理的にもCO2削減に役立たない、それどころか増やすと確信している。それがウッドショックで止まるというのは喝采ものだ。

業者も懲りて参入が減るかもなあ。

 

2021/12/01

メガソーラー予定地の小凸大凸

またまた平群のメガソーラー建設予定地に行ってきましたよ。奈良県が工事を止めたと言っても一時停止だから、まだ「予定地」なのだ。

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今回めざしたのは、写真で手前に見えるところ。実は、これは道路沿いからは全然見えない。しかもこれまでも紹介してきた伐採跡地からも独立して飛び出した伐採地だ。そこで手前の大きな部分を大凸と呼んでいる。気づいたのは、この航空写真のおかげなのだが、肝心のこの場所に行く進入路が見つからないのだ。

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こことは別に、もう一カ所飛び出した伐採地もある。写真の左手に細く写っている場所だ。これは従来の伐採地から通路があってつながっているのがすぐわかったが、やはり独立した位置。こちらを小凸と呼んでおく。

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本当は大凸めざしたのだが、小凸に迷い込んでしまった。小と言っても、そこそこの広さだ。しかも意外や急斜面。土砂流出防止のためのフレコンパックがずらずらすと並んでいる。

そこで再アタックで、ついに大凸につながる細いトラック1台分がとおれる道を発見。本当に隠れた道なのだが、なんとかたどりつくことができた。

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空撮写真では、お碗形の丘になっているかのように思ったのだが、現地はむしろ深い谷が入っていた。底から見上げると、何かクレーターみたいである。登るだけで大変。ちなみに稜線部に山道があったので、こちらから近づくこともできるわけだ。

現地の地図を等高線で見ていると、比較的なだらかな丘で、こりゃたしかにソーラーパネルを並べるのに適地かも、と思わせたのだが、実際は全然そんなことはなかった。急峻で深い谷が入り組んでいる。10メートル以下の高低差は地図には現れないのだ。だから、ここにソーラーパネルを設置しようと思ったら大規模な切り土と盛り土によって、平坦に地形を変えてしまわねばならないのだろう。造成だけで億単位の金がかかると想像する。それでも儲かるのか、メガソーラーって……。

となると、業者も諦めずに建設再開を狙ってくるのではないか。止めた奈良県に対して裁判を起こす可能性は十分にある。県も裁判に備えているようだ。そのためには建設が違法行為だったことを証拠とともに示さねばならない。結構シビアな展開だ。国がでしゃばってこないことを願いたい。(ここを地盤とする政治家は、高市早苗だよ……。)

ちなみに、現場には新たに造成したと見える道路がいくつかあった。工事は差し止められているのだから不思議だ。防災工事用だったらよいのだが……。

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