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森と林業の本

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2021/12/02

ウッドショックが止めたバイオマス発電

昨日のメガソーラー問題の続きということで、バイオマス発電の話。

実は少なからぬバイオマス発電所が止まっている、あるいは止まりつつあることを知っているだろうか。

その理由は、ウッドショックだ。ウッドショックは建材不足から来る価格高騰だが、それに引きずられてバイオマス燃料価格が上がっている。輸入される木質ペレットはもちろん、パームオイルもだ。もともとパームオイルを燃やすというのは邪道なのだが、コロナ禍でマレーシアのアブラヤシ農園の稼働が悪くなり(インドネシア人労働者がいなくなったからだと)、生産量が減ったことから価格も2倍以上に跳ね上がったのだ。

結果、これらの輸入燃料を使うと採算が合わなくなり、稼働停止にするところが続出している。(現在、8カ所。)

たとえば旅行会社H.I.S.グループのパーム油発電所(宮城県角田市・出力41,100kW)は、今年1月に営業運転を開始したばかりなのに、あっさり止まった。の稼動を、運転開始後まもなく停止した。ほか茨城県2カ所も止まっている。
さらにヤシ殻PKSも不足気味で価格も上がっているから、こちらの燃料を宛にしていたところも行き詰まるだろう。

7_20211202212401アブラヤシの実

もともと木質バイオマス燃料は不足気味だった(から、A材でも燃やしてしまうのだけど)が、価格高騰したら、もうFITがあっても採算が合わないわけだ。

しかし、逆にこれらの発電所、電力供給の公共性についてどう考えているんだろうね。赤字ならすぐに止めてよい、というのは社会的な役割を放棄しているのではなかろうか。2020年3月時点で500万kWが稼働していたというが、これらがなくなると電力供給計画が狂うだろう。国も、CO2削減にバイオマス発電を増強するつもりなのだから。

電力は公共財なのだから赤字でも供給しなさい、と尻を引っぱたきたくなる。……まあ、そんな意識はかけらもない業者ばかりなのだろうが。

私はソーラーや風力はまだ場所や規模を選べばよいと思っているが、バイオマス発電は原理的にもCO2削減に役立たない、それどころか増やすと確信している。それがウッドショックで止まるというのは喝采ものだ。

業者も懲りて参入が減るかもなあ。

 

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コメント

お、損保ジャパンが燃料費を……。ケシカランですね(笑)。せっかく止まっているのに。

でも、今度は損保が損をするかもですよ。

そもそも外国から輸入した原料を燃やすバイオマス発電に対して、日本国民の私がなぜ再エネ賦課金を払わなければならないのでしょうか?このまま廃炉になって頂きたい!

遠距離輸入する事自体が、CO2排出削減に反しているのだから。日本の富の海外流出です。
それにソーラーも風力も、バイオマスさえも実は海外資本が多いから建設自体が日本を貧乏にしていますね。

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