「木材安全保障」と「森林安全保障」
週刊東洋経済誌に「木材安全保障」なる言葉が登場した。内容は、住友林業の社長インタビューである。
内容は、ウッドショックに絡んでのことだが、ちょっと新鮮な言葉に感じたのは、そもそも現在の岸田内閣が経済安全保障を言い出したことと連動しているのだろう。つまり資源の争奪戦や、知的財産・技術の流出防止などを意味するものと思われる。日本の場合、林業がしっかりしていれば、少なくても外部要因としての安全保障など言わなくても済むはずなのだが……。
が、木材安全保障という言葉自体は昔からあったみたいで、国際熱帯木材機関などは違法木材追放を安全保障としていたはずだ。
これ、ある意味二律背反しているのではないか、という疑問が拭えずにいる。現在の世界的な木材市場は、合法性を厳密にすれば木材の供給が不安定になるのではないかと感じるのだ。
この場合の「合法」あるいは「違法」というのは、単にその国の法律という意味ではない。国によってはどんな荒っぽい木材調達をしても合法であるケースは多いし、なかには明らかに盗伐された木材でもロンダリングしてグレー、いやホワイトにさえしてしまうことが可能だからだ。森林生態系を破壊する林業は世界中に蔓延しているだろう。欧米でも。皆伐が禁止されているドイツをグーグル様で見ると、なかなかの皆伐跡地が見つかるよ。
日本だって、(環境的な)違法木材を取り締まれば、国産材の生産量は何割か減るんじゃないか……。宮崎県の盗伐は、もはや業者だけでなく森林組合に木材市場、県木連などが絡んでいる疑惑が出てきたし、その裏に県警や県行政まで透けて見える。盗伐を止めたら宮崎県の産業が持たない状況かもしれない。ちなみに盗伐がもっとも多い宮崎3区出身の衆議院議員が古川法務大臣なんだけどね。
もはや「森林安全保障」を打ち出した方がよいかもしれない。木材ではなく樹木と森林生態系の安全保障をしなければならない事態だ。気候変動対策に、森林を吸収源だ、炭素蓄積だと指摘する声が高まっているのだから。そして緊急事態宣言も必要かもしれない。
そして私が過去に冗談半分で提案した森林本位制と木本位が、現実味を増してこないか。
決して絵空事ではないぞ。
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